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一昨年の今日のブログです。『完本コーヒーカップの耳』の装幀。
二年前、ワクワクしていたのでした。
東京神田町のブックカフェでの出版記念イベントを朝日新聞出版社さんが準備してくださっていて家内と行く予定をしていました。
ところが、思いもしないコロナ禍。
二度延期になり、ついに中止となってしまいました。
ドリアンさんは今も、「コロナが収まったらやりましょう」と言ってくださっています。
是非、そんな日が一日も早く来てほしいものです。
『コーヒーカップの耳』 おもしろうてやがて哀しき喫茶店。
今年も次々と年賀欠礼のハガキが舞い込む季節になりました。
その中で昨日は「百四歳で」というのがありました。
驚くなかれ「百四歳」、今年二枚目です。
一枚目は『KOBECCO』9月号に「百四歳の人」と題して書いた人、竹本忠雄さんです。
そして二枚目は『完本コーヒーカップの耳』に「鹿塩豊さんのこと」(182ページ)と題して載せた、鹿塩さんのお母さんでした。
豊さんは2000年に56歳でなくなったのでした。若すぎました。
お母さんは短命だった豊さんの分を長生きされたのだ。
その中で昨日は「百四歳で」というのがありました。
驚くなかれ「百四歳」、今年二枚目です。
一枚目は『KOBECCO』9月号に「百四歳の人」と題して書いた人、竹本忠雄さんです。
そして二枚目は『完本コーヒーカップの耳』に「鹿塩豊さんのこと」(182ページ)と題して載せた、鹿塩さんのお母さんでした。
豊さんは2000年に56歳でなくなったのでした。若すぎました。
お母さんは短命だった豊さんの分を長生きされたのだ。
今日はかかりつけのクリニックでの予約受診日。
予約時間が午前11時45分とほぼお昼。
待合室はもう待つ人は減っているかな?と思っていたら、とんでもない。
たくさんの人だった。
家内と並んで座っていたら、家内がその向こうに座っている女性と話している。
「松本さんはお元気かな?」と尋ねられている。
「お亡くなりになりました」と答えている。
6月に95,6歳で亡くなられた。
うちの店の開店当初からの常連さんだった。
『完本コーヒーカップの耳』の32ページの「握り飯」に登場する人。
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その家内と話している人が、会計窓口に呼ばれて行ったので、家内に、
「だれ?」と訊いてみた。
「○○さんやないの」と言われた。
もうだいぶ昔だが、一時よく見えてたお客さんだった。
いつも一緒に来られてた木谷さんも『完本コーヒーカップの耳』に何度か登場の人。
特に印象的な話は、62ページの「お父ちゃん」だ。スゴイ話です。
「あ、そうか。うちの店で加賀さんに『眉毛、入れ墨してはっしゃりますやろ』と言われて、『してない!』ときつく怒った人やったな」と、わたし。
この加賀さんも、やはり『完本コーヒーカップの耳』に登場する。
巻末に付録のように書いた「塀のうちそと」の人なのだ。
それにしても家内はよく人の顔を覚えているものだ。
わたしは全く分からなかった。
ところで、診察室に呼ばれたのは、予約時間から一時間ほど遅れた12時40分ごろだった。
先生二人でフル回転しておられて、よく繁盛しているクリニックである。
他にエコーや内視鏡の検査室も忙しい。
みなさん40代ぐらいの働き盛りの先生たち。
あ、書き忘れてはいけない。
前に受けた、胃と大腸の内視鏡検査の結果。
それぞれ一カ所の疑問点はどちらも異状なかったとのこと。
やれ一安心。
予約時間が午前11時45分とほぼお昼。
待合室はもう待つ人は減っているかな?と思っていたら、とんでもない。
たくさんの人だった。
家内と並んで座っていたら、家内がその向こうに座っている女性と話している。
「松本さんはお元気かな?」と尋ねられている。
「お亡くなりになりました」と答えている。
6月に95,6歳で亡くなられた。
うちの店の開店当初からの常連さんだった。
『完本コーヒーカップの耳』の32ページの「握り飯」に登場する人。
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その家内と話している人が、会計窓口に呼ばれて行ったので、家内に、
「だれ?」と訊いてみた。
「○○さんやないの」と言われた。
もうだいぶ昔だが、一時よく見えてたお客さんだった。
いつも一緒に来られてた木谷さんも『完本コーヒーカップの耳』に何度か登場の人。
特に印象的な話は、62ページの「お父ちゃん」だ。スゴイ話です。
「あ、そうか。うちの店で加賀さんに『眉毛、入れ墨してはっしゃりますやろ』と言われて、『してない!』ときつく怒った人やったな」と、わたし。
この加賀さんも、やはり『完本コーヒーカップの耳』に登場する。
巻末に付録のように書いた「塀のうちそと」の人なのだ。
それにしても家内はよく人の顔を覚えているものだ。
わたしは全く分からなかった。
ところで、診察室に呼ばれたのは、予約時間から一時間ほど遅れた12時40分ごろだった。
先生二人でフル回転しておられて、よく繁盛しているクリニックである。
他にエコーや内視鏡の検査室も忙しい。
みなさん40代ぐらいの働き盛りの先生たち。
あ、書き忘れてはいけない。
前に受けた、胃と大腸の内視鏡検査の結果。
それぞれ一カ所の疑問点はどちらも異状なかったとのこと。
やれ一安心。
『完本コーヒーカップの耳』32ページに登場する松本さんがお亡くなりになったとの情報が入る。家族葬で済ましたと。
たしか大正15年のお生まれ(ご自分では「昭和元年生まれや」と言っておられたが)なので、95歳か96歳のはず。
「輪」の最も古いお客様の一人。
コロナの間に親しかった人が次々と逝かれてしまう。
淋しくて仕方がない。
たしか大正15年のお生まれ(ご自分では「昭和元年生まれや」と言っておられたが)なので、95歳か96歳のはず。
「輪」の最も古いお客様の一人。
コロナの間に親しかった人が次々と逝かれてしまう。
淋しくて仕方がない。
オリンピックの時しか見ることのないレスリングをテレビで見ていて思い出した。
『完本コーヒーカップの耳』に登場する原さんの「レスリング」。
その後半です。
《俺がグレずにすんだんは レスリングやなあ。高校でレスリングに熱中したんや。(略)インターハイで四位になったことがある。その時は惜しかったなあ。これに勝ったら三位以内が確定という試合で 審判のミスで負けにされたんや。俺はグレコローマンスタイル(下半身は使えない)やったんやけど 相手を完全に抱え上げて 後はフォール勝ちというときに そいつが足を思いっきりバタバタさせよって それが俺の足にからんで倒れてしもたんや。グレコは足使たら反則やから その時点で俺の勝ちや。そやけど審判が見落としよった。世の中 なんぼ真面目に清く正しくやっとっても報われるとは限らんからなあ。まあ相手にすれば 最後まで諦めずに頑張ったらエエことがあるということやけどな。そやけど俺は 後になって思た。あの時 勝たんで良かったと。もし優勝でもしとったら 誘われて大学に行きたくなったかもしれん。それは俺には耐えられんことやから。今 こないして たまに売られたケンカを買うてるんが 俺には似合うてるんやな。》
「大学に行きたくなったかも…」ということの事情は前半にあり、そこがこの話の核でもあるのだが、それは省略。
『完本コーヒーカップの耳』に登場する原さんの「レスリング」。
その後半です。
《俺がグレずにすんだんは レスリングやなあ。高校でレスリングに熱中したんや。(略)インターハイで四位になったことがある。その時は惜しかったなあ。これに勝ったら三位以内が確定という試合で 審判のミスで負けにされたんや。俺はグレコローマンスタイル(下半身は使えない)やったんやけど 相手を完全に抱え上げて 後はフォール勝ちというときに そいつが足を思いっきりバタバタさせよって それが俺の足にからんで倒れてしもたんや。グレコは足使たら反則やから その時点で俺の勝ちや。そやけど審判が見落としよった。世の中 なんぼ真面目に清く正しくやっとっても報われるとは限らんからなあ。まあ相手にすれば 最後まで諦めずに頑張ったらエエことがあるということやけどな。そやけど俺は 後になって思た。あの時 勝たんで良かったと。もし優勝でもしとったら 誘われて大学に行きたくなったかもしれん。それは俺には耐えられんことやから。今 こないして たまに売られたケンカを買うてるんが 俺には似合うてるんやな。》
「大学に行きたくなったかも…」ということの事情は前半にあり、そこがこの話の核でもあるのだが、それは省略。
今朝お見えになったH淵さん、お帰りになるとき、「これから手話のサークルに行きます」と。
コロナで休みだったが再開したのだという。
手話をやっておられるのだ。偉いなあ。
ところでこの「手話」だが、買っていただいた『完本コーヒーカップの耳』の中にこのタイトルの話がある。
ちょっと聞いてえ。めっちゃ腹立ってねえ。この前から手話の勉強に行ってるてゆうてたでしょ。今日 身体障害者のこと習ったんやけど どう表現すると思う? 自分の手で自分の手を切るみたいなマネするんよ。手を刀にして パッパッて。それから こともあろうに 割り箸をへし折るような恰好するんよ。役に立たんていわれてるみたいやん。
それから もっと腹立ったことがあってん。手話習ってる仲間とバイクに乗ったまま歩道で喋っててん。手話でね。そしてらそこへお巡りさんがやってきてね。私を見て片足をトントンと踏み鳴らすの。そして 両手でバツ印するんよ。歩道でバイクに乗ったらあかんていうつもりでね。その動作が いかにも人を見下げた感じがして 腹が立ってね。わたしにというより 聾唖者に対しての侮辱でしょ。「あんた なにしてるのん?」てゆうてやってん。そのお巡り「なんや 話せるんか」てびっくりして 今度は怒りだしてね。バカにされたように感じたらしくて ケンカになってん。そうなったらわたし 負けてないやん。立て板に水 壊れたブレーキ 止まらへん。「謝りなさい。侮辱やわ。わたしはこうして喋れるから抗議できるけど これが聾唖者やったら悲しいよ。聾唖者に謝るつもりで わたしに謝りなさい」て さんざん叱ってやってん。 (高井さんの話)
㊟ 「手で手を切る」などは彼女の誤解。
「障害」を表す手話には、内に向けた左掌に、右手を突き当てる動作があるが、彼女には切るように見えたということか。
コロナで休みだったが再開したのだという。
手話をやっておられるのだ。偉いなあ。
ところでこの「手話」だが、買っていただいた『完本コーヒーカップの耳』の中にこのタイトルの話がある。
ちょっと聞いてえ。めっちゃ腹立ってねえ。この前から手話の勉強に行ってるてゆうてたでしょ。今日 身体障害者のこと習ったんやけど どう表現すると思う? 自分の手で自分の手を切るみたいなマネするんよ。手を刀にして パッパッて。それから こともあろうに 割り箸をへし折るような恰好するんよ。役に立たんていわれてるみたいやん。
それから もっと腹立ったことがあってん。手話習ってる仲間とバイクに乗ったまま歩道で喋っててん。手話でね。そしてらそこへお巡りさんがやってきてね。私を見て片足をトントンと踏み鳴らすの。そして 両手でバツ印するんよ。歩道でバイクに乗ったらあかんていうつもりでね。その動作が いかにも人を見下げた感じがして 腹が立ってね。わたしにというより 聾唖者に対しての侮辱でしょ。「あんた なにしてるのん?」てゆうてやってん。そのお巡り「なんや 話せるんか」てびっくりして 今度は怒りだしてね。バカにされたように感じたらしくて ケンカになってん。そうなったらわたし 負けてないやん。立て板に水 壊れたブレーキ 止まらへん。「謝りなさい。侮辱やわ。わたしはこうして喋れるから抗議できるけど これが聾唖者やったら悲しいよ。聾唖者に謝るつもりで わたしに謝りなさい」て さんざん叱ってやってん。 (高井さんの話)
㊟ 「手で手を切る」などは彼女の誤解。
「障害」を表す手話には、内に向けた左掌に、右手を突き当てる動作があるが、彼女には切るように見えたということか。
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兵庫県の図書館情報を時折チェックするのですが、
『完本コーヒーカップの耳』が常時数人の人に貸し出されています。出版されてから、もう一年半にもなるのに。
一人でも多くの人に読んでいただきたいので、ありがたいことです。
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昨年の今日、木津川計さんがNHKラジオで『完本コーヒーカップの耳』を語ってくださったのだった。
「ラジオエッセイ」という番組で。
「これが面白い!巷は笑いの洪水であり、面白い話の宝庫であります。」と言ってくださってます。
『完本コーヒーカップの耳』
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『完本コーヒーカップの耳』が点字図書になっているのを知りました。
「神戸市立点字図書館」に2冊あるとのこと。
目の不自由な人も読めるということです。
うれしいですねえ。
どんな本なのでしょうか、手にとって見てみたい気がします。
毎朝、サンテレビの「じゃりン子チエ」を見ているが、今朝の放送では「ムショ」という言葉が再三出た。
これにはわたし違和感が。
というのも、うちの店に昔、毎日のように出入りしていた元ヤクザさんが言っていたことがある。
「ワシらムショとは言いまへん。チョーエキだ」
なので『完本・コーヒーカップの耳』の「塀のうちそと」では「ムショ」という言葉は使っていない。すべて「チョーエキ」としている。
少なくとも大阪ヤクザは「チョーエキ」なのだろう。
「ムショ」は素人が使う言葉なのだろう。
これにはわたし違和感が。
というのも、うちの店に昔、毎日のように出入りしていた元ヤクザさんが言っていたことがある。
「ワシらムショとは言いまへん。チョーエキだ」
なので『完本・コーヒーカップの耳』の「塀のうちそと」では「ムショ」という言葉は使っていない。すべて「チョーエキ」としている。
少なくとも大阪ヤクザは「チョーエキ」なのだろう。
「ムショ」は素人が使う言葉なのだろう。
「兵庫PTA」という新聞の最新号が送られてきました。
兵庫県PTA協議会が発行しているものです。
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これの第8面に「文学を訪ねて」というコラムがあり、拙著『完本・コーヒーカップの耳』を取り上げてくださっています。
←クリック。
筆者は兵庫教育大学大学院の元教授、廣岡徹氏。
取材に来られたのは昨年11月11日のこと。
店は休んでいましたが、わたしが郵便受けを見るために店から外へ出たとき、見知らぬ紳士がわたしの店を撮影しておられました。
それが廣岡氏だったのです。
廣岡氏には『兵庫文学散歩』という好個の著書があり、わたし読ませてもらいました。
そこにはなんと、わたしが親しくさせていただいているドリアン助川さんの著書も紹介されていて、そのこと『星の降る町』と題してブログを書いています。
またこの「兵庫PTA」にはこんな記事も。
←クリック。
「子育て・三行詩募集」。わたしが子育て中なら、きっと応募するだろうな。
廣岡さん、的確な文章で拙著をご紹介くださいましてありがとうございました。
兵庫県PTA協議会が発行しているものです。
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これの第8面に「文学を訪ねて」というコラムがあり、拙著『完本・コーヒーカップの耳』を取り上げてくださっています。
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筆者は兵庫教育大学大学院の元教授、廣岡徹氏。
取材に来られたのは昨年11月11日のこと。
店は休んでいましたが、わたしが郵便受けを見るために店から外へ出たとき、見知らぬ紳士がわたしの店を撮影しておられました。
それが廣岡氏だったのです。
廣岡氏には『兵庫文学散歩』という好個の著書があり、わたし読ませてもらいました。
そこにはなんと、わたしが親しくさせていただいているドリアン助川さんの著書も紹介されていて、そのこと『星の降る町』と題してブログを書いています。
またこの「兵庫PTA」にはこんな記事も。
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「子育て・三行詩募集」。わたしが子育て中なら、きっと応募するだろうな。
廣岡さん、的確な文章で拙著をご紹介くださいましてありがとうございました。
今テレビで「あさイチ」やってますが、松岡修造さんが笑うことの重要性を話してはります。
そこで笑える話。
『完本 コーヒーカップの耳』より「悪友」。
マスター ちょっと聞いて。
この人 ほんまひどいんや。
こないだ 休みの日ィ 一緒にパチンコ行ったんですわ。
この人 負けてスッカラカンになって 奥さんに電話して軍資金持って来させはりますねん。
ぼく 久しぶりに奥さんに会うたから 挨拶しましてん。
ほんで 奥さんが帰らはった後ですわ。
この人 「うちの嫁はん歳いったやろ」て言わはるから いやそんなことない てゆうたんです。
あんまり変わってはらへん て。
そやのに いや 遠慮せんでええ ほんまのことゆうたらええ て しつこいんですわ。
ぼく しまいに面倒くさくなって 誰かてちょっとぐらい歳いきまっせ てゆうたんです。
そしたら 帰って 奥さんにゆうてはるんですわ。
原さんがお前のこと 歳いった ゆうてたぞ て。
ムチャクチャでっせ。 (原さんの話)
『完本・コーヒーカップの耳』には泣ける話もたくさんありますが、笑える話もいっぱいあります。
そこで笑える話。
『完本 コーヒーカップの耳』より「悪友」。
マスター ちょっと聞いて。
この人 ほんまひどいんや。
こないだ 休みの日ィ 一緒にパチンコ行ったんですわ。
この人 負けてスッカラカンになって 奥さんに電話して軍資金持って来させはりますねん。
ぼく 久しぶりに奥さんに会うたから 挨拶しましてん。
ほんで 奥さんが帰らはった後ですわ。
この人 「うちの嫁はん歳いったやろ」て言わはるから いやそんなことない てゆうたんです。
あんまり変わってはらへん て。
そやのに いや 遠慮せんでええ ほんまのことゆうたらええ て しつこいんですわ。
ぼく しまいに面倒くさくなって 誰かてちょっとぐらい歳いきまっせ てゆうたんです。
そしたら 帰って 奥さんにゆうてはるんですわ。
原さんがお前のこと 歳いった ゆうてたぞ て。
ムチャクチャでっせ。 (原さんの話)
『完本・コーヒーカップの耳』には泣ける話もたくさんありますが、笑える話もいっぱいあります。