「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもの。
さっきまで明るかったのに、ふと気がつくと暮れている。
昔、子どもの頃、近所の仲間と甲山辺りの山へよく遊びに行った。
途中で実っている柿を採って食べたら渋柿だったりしたことも。
目的はドングリの実を採りにだったが、そんなことはどちらでもよく、要するに山で遊びたかっただけ。
そのころみんなが自転車を持っているわけではなかったので歩きだった。
ある時、まだまだ明るいと思って遊んでいて、気がついたら暮れかかってきた。
あわてて下山して帰ったのだが途中でとっぷりと日が暮れた。
家に帰ったら、大人たちが騒いでいた。山で迷ったのではないかと思われたのだ。
わたしは父親にこっぴどく叱られた。わたしが一番年長だったのだ。
納屋に閉じ込められて鍵をかけられた。
そんなことを思い出した。
いつも永井ますみさんからお贈り頂いている詩誌「リヴィエール」。
万葉に材を取っておられるが、無教養のわたしには難しい。と言っておらずに勉強しなければいけないのだが。
今号でもっともわたしの心を動かしたのはこの詩。
山下俊子さんの「風鈴」
多分ニュースかなにかをヒントにされたもので、ご自分には直接関係ないことがらなのだろうが、このように、その人の身に添って書けるというのは、力がお有りなのだろう。
そしてこれは、この詩誌の主宰者、横田英子さんの「時の在処」
誠実に言葉を集め、選び、キッチリと一篇の詩に作りあげておられる。流石ですね。
このように主宰者が誠実に書いておられると同人の方々も、言葉をもてあそぶというようなことなく、誰にも受け入れられる詩を書かれることになる。「リヴィエール」は嫌味のない好感の持てる詩誌です。