昨夜、kohを送って行く車の中で、タヌキの話になった。
近所にタヌキが出たという話。隣の用海小学校の敷地内にタヌキが棲んでいるのを見たという人があるのだ。
関連してキツネの話になり、昔わたしが経験した話をしてやった。
もう50年ほどの昔、夜遅く戸を叩く人があった。
開けると、「どうかわたしが、あの向こうの広い通りに出るまで見ていて下さい」と言うのだった。
わけを聞くと、
「あちらへ向かって歩いて行くのですが、どうしても知らぬ間にこのお地蔵さんの前に来てしまっているんです。何度行ってもまた知らぬ間にここに帰って来てしまうんです」と。
その男の人、別段酒に酔っているふうでもなかった。
見ていてあげたら、何事もなく歩いて行かれた。
という話。これは実話である。
koh、興味津々に聞いていた。
そして、わたしはハタと思うところがあった。
これまで予想もしてなかったこと。50年間、考えてもみなかったこと。
そのことkohに話した。
「もしかしたら、キツネに化かされたのは、その男の人ではなく、わたしだったのかも。実はその男の人がキツネだったのかも知れないなあ」と。
koh喜んだ。
そして家に着いて、「バイバイ」と帰る時、kohがわたしに言う。
「さっきのキツネの話、お母さんたちに話してもいい?」と。
さて、kohはどんな風に話したのだろうか?