家内が、「30分したら鍋の火を消しておいてね」と言って出かけた。
その通りにした。
帰って来て、
「ちゃんと消してくれはったんやね。偉かったね」と言ってくれた。
褒めてくれたのである。
今読んでいる小説『散り椿』の冒頭にこんな場面がある。
死にゆく妻、篠が、夫の新兵衛に言う。
「あなたにお願いしたいことがございます」
その後、話があって、新兵衛が言う。
「わしはそなたに苦労ばかりさせて、一度もよい思いをさせてことがなかった。そなたの頼みを果たせたら、褒めてくれるか」
「お褒めいたしますとも」
妻の眼には、いつ知れず涙が滲んでいた。
そして新兵衛は妻が死んだ後、命がけで事に当たる。
400ページを超える長編小説。
あと少しで決着しそうだが、終盤になって急展開し、いまワクワクしながら読んでいる。
新兵衛は泉下の篠に褒めてもらえるのだろうか?
多分褒めてもらえるのだろう。
「偉かったね」と。
その通りにした。
帰って来て、
「ちゃんと消してくれはったんやね。偉かったね」と言ってくれた。
褒めてくれたのである。
今読んでいる小説『散り椿』の冒頭にこんな場面がある。
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死にゆく妻、篠が、夫の新兵衛に言う。
「あなたにお願いしたいことがございます」
その後、話があって、新兵衛が言う。
「わしはそなたに苦労ばかりさせて、一度もよい思いをさせてことがなかった。そなたの頼みを果たせたら、褒めてくれるか」
「お褒めいたしますとも」
妻の眼には、いつ知れず涙が滲んでいた。
そして新兵衛は妻が死んだ後、命がけで事に当たる。
400ページを超える長編小説。
あと少しで決着しそうだが、終盤になって急展開し、いまワクワクしながら読んでいる。
新兵衛は泉下の篠に褒めてもらえるのだろうか?
多分褒めてもらえるのだろう。
「偉かったね」と。