国道350号を両津の町から金井・佐和田方面へ走っていく。長江から秋津へと向かう途上、振り返ると加茂湖を見下ろせる長い坂道があるが、その辺で道路右手奥の水田の中にこんもりとした林が見える。写真を見てもらえばわかるとおり、一目で何かあるなとわかる。熱串彦神社を覆う林である。
手元にある『新・にいがた歴史紀行 12佐渡市』では、熱串彦神社について書いた下記の文が載っている。
...加茂湖の北岸は湊としてつかわれた。『和名抄』にある賀茂郡は長江を含んで加茂湖の北部一帯であった。長江に式内社の熱串彦神社がある。長江川周辺に条里地割がみられたから、この近くに賀茂郡衙があったであろう。
これ以上この神社についての詳細はわからないが、350号を通るたびに目に入る風景であったので、気にはなっていた。8月14日(2005)。とにかく行ってみようと決め、初めて現地へと向かった。向かったのはよいが、目的地は見えているのになかなかたどり着けない。田中の農道が狭く、どの道をたどれば安心していけるのかがわからない。結局はおそるおそる長江川づたいの細い道をたどって現場に着いた。
たどった道はちょうど神社への裏参道になるようだ。二本の太い木にしめ縄がくくりつけられていて、まっすぐ境内へと向かっていた。道路は境内をちょうど抜けるようになっており、とりあえず降りることなく来た方向と反対側へと抜けてみた。
抜けてほどなく狛犬がある。従って写真に見るように、こちら側が表参道となるようだ。車から降りてここから徒歩で神社へと歩いた。
境内を通り抜けてきた道がわかっていただけるだろうか?こんな道路を伴う神社は初めてのことであるが、興味深いのはその道を挟んで能舞台を伴っていることだ。本殿と一体化するわけでもなく、きちんと独立した能舞台である。
能舞台手前に二筋のわだちがあるのが認められる。右側にわずかに本殿が見える。この写真からだとわかりにくいが、背後の木立の向こうは広がる水田地帯である。そのことを感じさせない別の空間がここには感じられる。能などを奉納する際にはそういう意味で周囲とは別の世界を形作れるようになっている。
最後に別の角度から撮影した写真を紹介する。今でも能が行われることがあるのかどうか。あるとしたら嬉しいが、車で来るのはよした方がよい。先の狛犬の間を抜けて出ていく道もそう広い道ではなく、路駐は難しい状態だ。
熱串彦神社。気になっていた風景の現場に立つことはなかなか楽しいものがある。実家からはそう遠くはないが、初めての訪問であった。
佐渡ならではと言えるかもしれませんね。
私もたぶんこの林は目に入っていた事でしょう。
しかし、特に気にもしていませんでした。
周りを田んぼで囲まれた林の中に存在する神社。
風情を感じます。
ただ、佐渡には神社が多いので、それ程特殊な珍しい風景では無いかもしれません。
ところが、神社には独立した能舞台が存在するんですね。
一見地味なこの神社ですが、人々が集まり能が演じられている姿を想像すると、ある種の感慨深さすら感じます。
島内には「こんな所に・・・」という場所に能舞台が存在しますね。
私も今度訪ねてみたいと思いました。
ただ静かに佇む神社があるだけでしょうが、だからこそここが好きになりそうです。
神社内を堂々と通過しているわだちには驚きました(笑)。
良い月が出てきました。
明日は中秋です。
>神社内を堂々と通過しているわだちには驚きました(笑)。
ですよね。私もそう思います。
ちゃっかりそこを私も通りました。
ここは気になっていた場所でありましたので、
結果的にはもっと早く来れば良かったなと思います。
目の肥えた佐渡通には訪問しておかれることをすす
めます。大した神社ではないですが、佐渡ならでは
と言った風情は、ねこいらず様の表現通りでしょう。
またお越しください。お待ちしております。