団塊の世代のつぶやき

誇れる日本を取り戻そう

★ラピダス事業が成功しなければ、日本の半導体産業の蘇生はない

2023年12月05日 | 日本再生

 日本の半導体の復活を狙ったラピダスは本当に大丈夫なのでしょうか。その成功が日本の将来の鍵になるようです。

  そんなことを書いた本を宮崎さんが書評でとりあげてくれています。官僚が関わった事業の成功は期待できないだけに不安ですが、最後のチャンスと頑張って貰いたいものです。

  「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)12月2日(土曜日)
        通巻第8032号 
     
  書評 

 ラピダス事業が成功しなければ、日本の半導体産業の蘇生はない
  開発主導権を奪回しなければ、あらゆる日本の産業は停滞・低迷を続けるだろう

 片岡利文『ラピダス RAPIDUS
    ニッポン製造業復活へ最後の勝負』(ビジネス社)


 迂闊にも本書が七月に上梓されていたことを知らなかった。慌てて読んで驚くことが多く、NHKのエグゼクティブ・ディレクターである著者が、この分野の取材に長い時間をかけた苦労がのみ込めた。
取材先の信頼を勝ち得たことと半導体の基礎知識と人脈があってこそ、いま私たちがもっとも知りたい「国家プロジェクト」の謎の部分が明らかとなった。
 ラピダスは「最後の勝負」、TSMC、サムスン、インテル、SKハイニックス、マイクロンから日本が王座を取り戻す闘いであり、技術ジャーナリストや大前研一が批判するように「できっこない」などと最初から勝負を捨てては精神が死んでしまう。
 周知のように半導体は嘗て世界一だった日本が米国に潰され、気がつけば台湾TSMCと、韓国サムスンが、本家のアメリカのインテルなどを抜いて世界一となっていた。
 日本はルネサスとキオクシアの奮闘があるものの、技術は周回遅れ。とても世界一の座の奪回は難しい状態となった。そもそも若い技術者の払底が大問題のひとつだ。

 再び日本が復活する可能性があるのか?
 業界のレジェンドふたりが立ち上がった。東京エレクトロンの東哲朗と日立製作所を出発点とした小池淳義がコンビを組んだ。偶然の切っ掛けが出発となった。
 米国のIBMから東のもとへかかってきた一本の電話から始まった。
次世代ビジネス、日本経済の捲土重来は半導体にかかっている。日本政府は補助金を増やして、起死回生に動き出した。23年秋時点で1兆円弱、二年以内に3兆円に達する補助金を政府が決断した背景には国際情勢の劇的な変化がある。
 NTT、ソニーなど日本企業八社が73億円を出しあって22年に設立したラピダスに政府は破格の9200億円を拠出することとなったのだ。
この会社、まだ半導体を製造していないどころか北海道千歳の美々工業団地で土木基礎作業を始めたばかりだ。
 新規事業に消極的だった日本政府がころりとスタンスを変えた背景に米国企業IBMの積極支援と半導体に理解が深い日本の政治家の俊敏な動きがあった。
 IBMは2ナノ半導体のノウハウと設計の総てをラピダスに提供する。経産省は不退転の決意で支援を決めた。協力に推進したのは甘利明と萩生田光一である。
 ラピダスの投資総額は官民合わせて2兆円規模となり、エンジニア千名を呼び込み、2027年から最先端の2ナノ半導体を製造する。産業界も証券界も大きな期待を寄せるのは将来の夢があるからだ。
 2ナノ半導体が実現すると何が変わるのか?
 2ナノとは十億分の2メートルで「地球の直径を1メートルとすると、1ナノはパチンコ玉の直径ほどになる。
2ナノが実現すると、
 ●携帯電話のバッテリー寿命が四倍
 ●データセンターの二酸化炭素排出量を削減
 ●ラップトップの機能を大幅に高速化
 ●自動運転車のような自律型の車両について、物体の発見や反応時間の高速化に貢献

 だからこそ、次世代産業の死命を制するとまで言われるAI開発に密接に絡むばかりか、これは国家安全保障に直結する。ここで、IBMが全面協力の謎がとける。
 著者は言う。
 「おそらくIBM単独の考えではなく、米中摩擦を見据えて半導体産業を強化しようという国の思惑が働いているに違いない。アメリカは新しいものを発想する力はすぐれているが、それを製品に仕立てて大量生産にのせるのは、あまり得意ではない」(73p)
 すでに具体的な動きはでており、ラピダスの幹部社員百名がアメリカのIBMにいて、準備を進めている。
 2023年バイデンが来日し、日米共同声明で「次世代半導体の開発を検討するための共同タスクフォールを設立する」と明言されている。ラピアスの動きが、この日米共同声明の背景にある。
 翌日、甘利会長が率いる半導体戦略推進議員連盟は、半導体の製造基板の強靱化を目指して、「今後十年で官民合わせて10兆円規模の追加投資を行う」とする決議をまとめた(165p)。
 夢の話ではない。現実のプロジェクトなのである。

  さて、どうなるのでしょうか。寄せ合い所帯の責任のがれが足を引っ張ることにならないことを願いたいものです。
  この事業が日本の将来を握っていることを理解して真剣に取り組んでくれることを願いたい。


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