◎ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(2011年 アメリカ 102分)
原題 The Hangover Part II
staff 監督/トッド・フィリップス 製作/トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ
脚本/スコット・アームストロング トッド・フィリップス クレイグ・メイジン
キャラクター創造/ジョン・ルーカス スコット・ムーア
撮影/ローレンス・シャー 美術/ビル・ブルゼスキー 音楽/クリストフ・ベック
cast ブラッドリー・クーパー エド・ヘルムス ザック・ガリフィアナキス ケン・チョン
◎飛べ、異国の地へ!飛ぶな、昨夜の記憶!
記憶がない。
というのは恐ろしいことで、実は、この映画はずいぶん前に観た。
というより、封切られてすぐに観に行った、はずだ。
ところが、2年前のメモのどこにも観たという記録が見当たらない。
どういうことなんだろう?
ともかく、まあ、3を観る前に観直しておこうとおもって、また観た。
と、やっぱり、観てた。
どうして感想を書いてないのか不思議なんだけど、ちゃんと覚えてた。
前作もそうだったけど、
このシリーズは作劇のうまさにある。
目が覚めると、
アジアのどこかのうらぶれたホテル、
ひとりは頭が坊主に刈られ、
またひとりは下着姿で、顔の半分にマイク・タイソンの刺青が彫られ、
ベストを着て煙草をふかす小さな猿がいて、
婚約者の弟の指が指輪をしたまま切られて冷やされてて、
謎の中国人が裸で寝そべってて、
狼軍団の悪友のひとりの姿がない、
なんて事態がいきなり起こるんだけど、最後まで回想場面がない。
フラッシュや録画、あるいは少年期の主人公たちに戻った奇妙な回想しかなく、
それでいて、徐々に、
問題のバンコクの夜になにが起こったのかがありありとわかってくる。
前作もそうだったけど、
通常、回想というのは物事を説明するために利用されるんだけど、
その回想をわざと見せずに観客に想像させるという手腕は見事なもので、
観客は、
登場人物もまるで憶えていないエンドロールの写真を観て、
ようやく、
想像よりも凄まじくおもしろい事実があったんだってことを知らされ、
おもわず、吹き出す。
もちろん、そこにいたるまでに、
ふんだんにコミカルな場面とアクションが注ぎ込まれる。
たいしたもんだわ。
どれだけ、このいい加減で場当たり的におもえるコメディが、
端の端まで繊細に考え抜かれているかがよくわかるよね。