◎インドシナ(1992年 フランス 159分)
原題 Indochine
staff 監督/レジス・ヴァルニエ
脚本/ルイ・ガルデル エリック・オルセンナ カトリーヌ・コーエン レジス・ヴァルニエ
撮影/フランソワ・カトンネ 美術/ジャック・ビュフノワール
衣裳デザイン/ガブリエラ・ペスクッチ ピエール=イヴ・ゲロー
音楽/パトリック・ドイル
cast カトリーヌ・ドヌーヴ ヴァンサン・ペレーズ リン・ダン・ファン アンリ・マルトー
◎1930年代、仏領インドシナ
仏印といえば、ベトナム、ラオス、カンボジアで、舞台となっているのは、そこで植民地支配の中心だったベトナムだ。カトリーヌ・ドヌーヴはサイゴンで生まれ、育ち、ゴム園を受け継いだ。ベトナム華僑の養女をとり、フエの王室とも繋がるなど、そりゃもう、徹底した支配者階級で、代々にわたって搾取してきたのかどうかはわからないけど、世の中が近代に突入している中、そうじゃいけないっていう先進的な考えもまた抱き始めてる女性だ。欧米の植民地をあつかった女性映画では、ちょっとばかしステレオタイプなんだけど、でも、そんなことはいい。
ドヌーヴが、どうしようもなく美しい。
若い人から見たら、ちょっと高圧的で気どったおばさんに見えるのかもしれないけど、やがてベトナムから追い出されてゆく運命をなんとなく感じとっていることで、そこはかとなく哀愁と翳りに満ちて、退廃的ながらも傲然と生きる美しい女性を演じられるのは、おそらく、ドヌーヴ以外には考えられない。
毎回、そんなことをおもいながら観ちゃうんだけど、自分の乳繰り合った愛人が養女と駆け落ちするってのはどうよ?てなことをおもいながら逃避行のくだりに入っていくと、ちょっと退屈する。
「え、この映画って、やっぱり反資本主義映画なわけ?」
ほんのちょっとだけだけど、そんな雰囲気が漂うんだ。でも、宗主国フランスの上流階級にとって、植民地がどうのこうのってよりも、娘や孫がどうしたこうした方が大切で、さらにいえば、いかに自分が毅然として生きたかを晩年にいたったときに考え、満足するかどうかってことを優先するのかな~?ゴム園を棄てざるを得なかったドヌーヴはどうだったんだろう?ラスト、シルエットの中でどうおもったんだろね。