◎クィーン(2006年 イギリス、フランス、イタリア 104分)
原題 The Queen
staff 監督/スティーブン・フリアーズ 脚本/ピーター・モーガン
撮影/アフォンソ・ビート 美術/アラン・マクドナルド
衣裳デザイン/コンソラータ・ボイル 音楽/アレクサンドル・デスプラ
cast ヘレン・ミレン マイケル・シーン アレックス・ジェニングス ジェームズ・クロムウェル
◎1997年8月31日、ダイアナ事故死
この事故の報道と、その後のいろんな憶測や報道については、
いまだにけっこう鮮やかに覚えてるのは、
それだけ、過剰っていってもいいくらいに報道されたからだろう。
いちばん記憶に残ってるのは、
たしかダイアナの葬儀のとき、エリザベス女王が葬儀に出席してる間、
半旗が掲げられたことだ。
バッキンガム宮殿に半旗が掲げられる習慣はないはずで、
これはおそらく大英帝国の歴史の中でもなかったんじゃないかしら。
ぼくは、この一連の報道にちょっと辟易してるところがあって、
極東の英国とはなんの関係もない一介の凡夫にしてそうなんだから、
英国王室としても好い加減にしてくれってな感じだったろう。
そのときの日々を映画化したものだ。
いやまあ、よくも映画にしたよねって話ではあるけれど、
国民の信頼を得、
絆を深めてゆくことを第一義としなければならない立場の女性ってのは、
世界中さがしてもなかなかいるもんじゃなく、
中でもイギリスの王というのは、英連邦すべての王であるわけで、
現在でも、
エリザベス女王に直接的ないし間接的に統治されてる国は、
地球上いたるところにあって、
そのために、
いろんなストレスを犠牲にしなくちゃいけないって展開になってる。
この映画が英国王室や英国議会のプロパガンダかどうかって話もあるけど、
まあ、それについてはともかくとして、
ヘレン・ミレンはものすごく嵌まってた。
好演してるし、なにより女王よりちょっと痩せてるだけで、まじ、そっくりだった。
実際のエリザベス女王もこういう人なんだろな~、
と、おもえた。
それに、製作者側もよく調べてて、
女王がひとりでクルマをかっ飛ばしていく件りは、
戦時中、英国女子国防軍に入隊して、
弾薬の補給や管理から軍用トラックの運転までこなしたのがよくわかり、
いやあ、かっこよかった。
ま、いろいろな意見はあるにせよ、
人間、いろんな立場があって、その立場が公なものであればあるほど、
自分の意見や好悪は押し隠していかなくちゃいけないけれど、
どんな人間だって、午後の紅茶は愉しむし、笑顔で語り合えるし、
家庭にあってはその立場の者として、
子どもや孫やときには嫁に対しても愛情を注ぐんだよってな話でした。