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マイノリティ・リポート

2013年07月23日 00時31分30秒 | 洋画2002年

 ◎マイノリティ・リポート(2002年 アメリカ 145分)

 原題 Mignority Report

 staff 原作/フィリップ・K・ディック『小数報告』

     監督/スティーヴン・スピルバーグ 脚本/スコット・フランク

     撮影/ヤヌス・カミンスキー 空中撮影/ラリー・ブランフォード

     特殊メイク/K.N.B.EFX Group Inc. ジェイク・ガーバー グレゴリー・ニコテロ

     特殊効果/ウィリアム・ショート 特殊効果監修/マイケル・ランティエリ

     視覚効果/Industrial Light & Magic

             アサイラムVFX ドナルド・エリオット

     プロダクション・デザイン/アレックス・マクドウェル

     美術/レスリー・マクドナルド セス・リード 美術監修/クリス・ゴラック

     衣裳/デボラ・リン・スコット 音楽/ジョン・ウィリアムズ

 cast トム・クルーズ コリン・ファレル マックス・フォン・シドー キャサリン・モリス

 

 ◎2054年、ワシントンDC

 ディックの世界はどうしても陰鬱なものになってしまうので、

 これもそうだろうな~とおもっていたら、やっぱり、ダークな未来像だった。

 けど、さすがにディックらしいっていうか、

 犯罪を犯してしまう人間を探し出すという、

 一見すればものすげー科学的な設備なんだけど、

 なんのことはない、予知夢なのだ。

 いってみれば、

 邪馬台国の時代に卑弥呼が宣託を口にするようなもので、

 要するに予知能力という超能力に頼っているわけだ。

 それがたとえ遺伝子の突然変異によって生まれたにせよ、

 あくまでも夢であり、それによって、

 人類が支配されるとまではいかないにせよ、なんらかの束縛を受けている。

 そんな世界での話で、いや~なんともディックらしいじゃないか。

 さらにいうと、

 こういうディック世界に引き摺られたのか、

 スピルバーグもかなり陰鬱な印象を伝えようとしてか、

 トム・クルーズが離婚して息子にも会えず、しかも麻薬の常習者という、

 なんともスピルバーグ作品の主人公らしからぬ設定になってる。

 これを好しとするかどうかは観る者次第なんだろうけど、

 空間上のノータッチパネルっていう凄いモニターを駆使しながら、

 転がり出てくるのは木造りの焼き鏝をあてられたような球っていうアンバランスさは、

 外の世界でも同じように演出されてて、

 空中を移動する警察関係の車輛や背負いのジェットとかのほかには、

 現代とほとんど変わることのない未来像になってる。

 リアリティは、ある。

 主題は「自分が自分を信じないで誰が自分を信じてくれるんだ」ってのと、

 人間は未来永劫、権力欲や支配欲を切り離せない生き物で、

 自己の存在を肯定するためには、最後まで闘わなくちゃいけないんだ、

 って感じなんだろうけど、

 予知夢が不完全なかけらで、

 それを人間が色眼鏡で纏める未来予測ってのが、なんともおもしろかったわ~。 

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