◎永遠のマリア・カラス(2002年 イタリア フランス イギリス ルーマニア スペイン 108分)
原題 Callas Forever
staff 原案・監督/フランコ・ゼフィレッリ
脚本/フランコ・ゼフィレッリ マーティン・シャーマン
撮影/エンニオ・グァルニエリ
美術/カルロ・チェントラヴィーニャ ブルーノ・チェザーリ
衣裳/カール・ラガーフェルド 特撮/クラウディオ・ナポリ
音楽/アレッシオ・ヴラド 音楽監修/ユージーン・コーン
cast ファニー・アルダン ジェレミー・アイアンズ ジョーン・プローライト
◎1977年9月16日、マリア・カラス没
マリア・カラスは53歳で他界したらしい。
そんなに若かったんだ、てのが偽らざる感想だけど、
ここまで世界的な名声を博しちゃうと、
ものすごく前の時代の人のように感じちゃう。
年齢ってのは、ほんと、わからないもんだし、
実際のところ、彼女の絶頂期は10年ちょっとだったらしい。
ちなみに、マリア・カラスの最後の公演は日本で、
1973年と1974年にあって、スター千一夜にまで出演してる。
これも「へ~」って感じだ。
ま、そのあたりのことは映画でも触れられてるけど、
この映画は、
「カラスと旧知の仲だったフランコ・ゼフィレッリの私小説ならず私映画じゃない?」
てなふうにもおもえちゃう。
カラスに対して、最後に映画に出てくれないか、と説得したことがあって、
その思い出を、まるきり実話とは関係ないような、虚構の話に仕立て上げたんじゃ?
それは、ゼフィレッリしか知らないことなんで、憶測はやめとこう。
けど、
往年のスターを最後にもう一度だけ輝かせたいと願うのはフアンの心理だし、
そのスターを男女をこえた関係で愛している人間の話にしてる。
このあたり、ゼフィレッリはよく考えてるよね。
ジェレミー・アイアンズって人は、なんだか危険な匂いがして、
やけに色気があって、
性的に崩れてゆく役を演じさせたら右に出る者はいないんだけど、
それがファニー・アルダン演じるカラスに徹頭徹尾つくすんだから、
ホモっていう設定にしないと、観客は余計なことを考えちゃう。
いや、ゼフィレッリ、たいしたもんだわ。
でもまあ、
なにより、ファニー・アルダンが好演してる。
マリア・カラスと似てるようで似てないんだけど、
どっから観ても「マリア・カラスってこんな人だったよね」って感じになってる。
この役は決まるまでにかなり難航してたみたいだけど、
もともとゼフィレッリの頭の中にはファニー・アルダンがあったんじゃないかしら。
にしても、80歳で、こんな色気のある映画を撮っちゃうなんて、
ゼフィレッリ、やっぱり凄いわ。