◎欲望のバージニア(2012年 アメリカ 116分)
原題 LAWLESS
staff 原作/マット・ボンデュラント『The Wettest County in the World』
監督/ジョン・ヒルコート 脚本/ニック・ケイヴ
撮影/ブノワ・ドゥローム 美術/クリス・ケネディ
衣裳デザイン/マーゴット・ウィルソン 音楽/ニック・ケイヴ ウォーレン・エリス
cast トム・ハーディ ゲイリー・オールドマン ミア・ワシコウスカ ジェシカ・チャステイン
◎1931年、禁酒法の時代
シャイア・ラブーフが三人兄弟の末っ子を演じ、
その語りによって、兄弟とその恋人たちの遭遇した悲劇を追っていく。
悲劇というのは、密造酒の取締官が赴任したことで、
かの地の密造酒組合が壊滅的な打撃を受け、
ことに、中心的な存在だったボンデュラント家の3人兄弟が狙われるってものだ。
で、その攻防を、
ボンデュラント兄弟の末っ子の孫が小説化したんだけど、
それがまた映画化されたのがこの映画だ。
なんたって、長男を演じたトム・ハーディが渋い。
こんなに渋みのきいた発声をするとはおもわなかった。
ずんぐりむっくりとした体形で、
とても語られるに値する人物とはおもえないような風貌なんだけど、
なんとも抑制のきいた渋さで、ふしぎな存在感をかもしだしてる。
ジェシカ・チャステインは、なんとなくキム・ベイシンガーをおもわせ、
街で娼婦に近いような赤い羽根をつけた踊り子をやっていたのが嫌になり、
兄弟の経営している酒場の女給に応募してくるところから、
なんとも好い女を演じてる。
ただ、こうした渋めの映画ってのは、
当時の風俗や事実をできるかぎり映像化するっていう主題はあっても、
いまの社会に対して主張することがあまりなかったりするものだから、
どうしても、古典的な絵を観ているような感じになっちゃう。
難しいところだね。