◎コーダ あいのうた(CODA)
家族の三人ともが聾唖の俳優だとわかったときに、画面と手話のリアルさが頷けた。なるほどね、いや、それだからこそ性的な会話も手話もまったくスムーズにこなせてるんだね。父親トロイ・コッツァーと兄ダニエル・デュラントの自然な演技はかなり手慣れてるんだけど、やっぱりアメリカは聾唖のためのシアターとかが充実してるんだろうか?
しかし驚きは、母親マーリー・マトリンだ。おぼえているかぎり『愛は静けさの中に』では清楚のかたまりみたいな女優さんだったのが、騎乗位であられもない喘ぎをあげるばかりか、言葉づかいも顔をゆがめた品のない演技もやってのけるとはおもわなかった。
エミリア・ジョーンズも手話が上手だった。よほど練習したのか、実にリアルに演じてた。女優賞ものだね。
ぼくは『エール!』は予告編しか観てないからわからないけど、舞台がマサチューセッツ州グロスターに置き換えられててどんなふうに違いが出てきたんだろう。監督シアン・ヘダーの故郷だったとかって聞くけど、なるほど、彼女の思い出まじりの風景なのねって気はした。