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ロスト・ドーター

2022年08月21日 22時11分11秒 | 洋画2021年

 ◎ロスト・ドーター(The Lost Daughter)

 

 48歳には見えないな~。オリビア・コールマンの実年齢らしいけど。55歳くらいで早期定年して浜辺にバカンスに来てるって設定かとおもってしまったわ。若い頃を演じたジェシー・バックリーとは顔がかなりちがうけど、歯茎が出ちゃう口元はおんなじだ。キャスティング、ちゃんとしとるわ。

 でも、この中身はなかなか難しいぞ。評論家好みかもしれないけど、素人向きじゃないな。

 フラッシュがインサートされて過去に海辺で娘が行方不明になったことが見えてきて、だから娘さんは?と訊かれたときに25と23って年齢は答えられても、今どこにいるの?と訊かれたときには答えられないわけだよね。不仲なんだな。そういう細かい伏線があって徐々に過去が膨らんでくるんだけど、まあ観客として心の準備はできるわけだからいいか。

 ところがバイトの24歳の青年に晩飯をおごって話をしたとき姉や妹の消息はわかってるんじゃん、なんだよって。こりゃあ、引っ張られるな~。ストーリーがほとんどないような、でもちょっとだけあるようなかったるさもあるんだけど、それでも観ちゃうのは妙な心模様と画面の強さがあるのかもしれないね。管理人のエド・ハリスがやけにいいし。

 けどな~娘と不仲になったのいつでどんなふうに?ってだけだと、半分ももたないな~。おもわず、育てられなくなった娘のかわりに盗んでしまった人形がいつ見つかっちゃうのかってちょっぴりはらはらするんだけど、まさか途中で棄てちゃうとは。意外だな~とおもってたらごみ箱から拾っちゃうし。これはこれで、またはらはらが始まるんだけどね。

 てなことをおもってる内に伏線で登場してた学者の知り合いの不倫相手ピーター・サースガードと逃げて娘ふたりを棄てて3年間別居してたってことがわかってくる。こういうあたり、上手い仕掛けになってるわ。で、これ、どうやって結末つけるんだろとおもってたら、彼女の見立てみたいな若い不倫妻ダコタ・ジョンソンが逢い引きのための部屋を借りに来たときに盗んだと告白して、露店で買ってあげた髪止めででぶった脂肪の腹を刺されるという、それでファーストカットの波打ち際に倒れるところに戻るという、でも死なずに目が醒め、娘からの電話でまた生きる気になるという、うん、上手いわ。

 なんつっても、ソフィア・ローレンとアルマンド・トロヴァヨーリの唄ったTin Aftoが挿入されるのがいいね。ギリシャの島が舞台だからなんだろうけど、いい感じだ。ジュリー・ロンドンの吹替え盤Boy on a dolphinじゃないのがまたいい。

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