◎エール!(La Famille Bélier)
リメイク作品の『コーダ』とはどうも雰囲気が違ってて、エリック・ラルティゴの当作は、からっとした明るさが目立つ。これが本家なのか?って気もするけど、主役のルアンヌ・エメラはまるまるした体つきと太い眉が印象的なんだけど、歌がとにかくうまい。ここはさすがに面目躍如だね。お母さんのカリン・ヴィアールはひたすら綺麗で、やりたいざかりが死ぬまで続きそうなフランソワ・ダミアンとのやりとりはおもしろいがここがリメイクとの大きな差になってる。
ただまあ、聾唖者の父母に育てられ、その代わりに商売の口上や酪農の経営にいたるまで、すべてのことをするようになるまでの苦労話はいっさいないんだけど、これを描いたらもうとっても大変な話になったろうなあって気がする。まず、彼女に言葉を教えていった恩人のような人間の存在がなかったらできない話だよね。