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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

欲望のバージニア

2013年07月09日 13時08分32秒 | 洋画2012年

 ◎欲望のバージニア(2012年 アメリカ 116分)

 原題 LAWLESS

 staff 原作/マット・ボンデュラント『The Wettest County in the World』

     監督/ジョン・ヒルコート 脚本/ニック・ケイヴ

     撮影/ブノワ・ドゥローム 美術/クリス・ケネディ

     衣裳デザイン/マーゴット・ウィルソン 音楽/ニック・ケイヴ ウォーレン・エリス

 cast トム・ハーディ ゲイリー・オールドマン ミア・ワシコウスカ ジェシカ・チャステイン

 

 ◎1931年、禁酒法の時代

 シャイア・ラブーフが三人兄弟の末っ子を演じ、

 その語りによって、兄弟とその恋人たちの遭遇した悲劇を追っていく。

 悲劇というのは、密造酒の取締官が赴任したことで、

 かの地の密造酒組合が壊滅的な打撃を受け、

 ことに、中心的な存在だったボンデュラント家の3人兄弟が狙われるってものだ。

 で、その攻防を、

 ボンデュラント兄弟の末っ子の孫が小説化したんだけど、

 それがまた映画化されたのがこの映画だ。

 なんたって、長男を演じたトム・ハーディが渋い。

 こんなに渋みのきいた発声をするとはおもわなかった。

 ずんぐりむっくりとした体形で、

 とても語られるに値する人物とはおもえないような風貌なんだけど、

 なんとも抑制のきいた渋さで、ふしぎな存在感をかもしだしてる。

 ジェシカ・チャステインは、なんとなくキム・ベイシンガーをおもわせ、

 街で娼婦に近いような赤い羽根をつけた踊り子をやっていたのが嫌になり、

 兄弟の経営している酒場の女給に応募してくるところから、

 なんとも好い女を演じてる。

 ただ、こうした渋めの映画ってのは、

 当時の風俗や事実をできるかぎり映像化するっていう主題はあっても、

 いまの社会に対して主張することがあまりなかったりするものだから、

 どうしても、古典的な絵を観ているような感じになっちゃう。

 難しいところだね。

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アンフェア the answer

2013年07月08日 15時31分26秒 | 邦画2011年

 ◇アンフェア the answer(2011年 日本 109分)

 staff 原作/秦建日子 監督・脚本/佐藤嗣麻子

     撮影/佐光朗 美術/林田裕至 音楽/住友紀人

 cast 篠原涼子 佐藤浩市 山田孝之 阿部サダヲ 加藤雅也 大森南朋 寺島進 香川照之

 

 ◇夫の仇討ち?

 このドラマの持っている宿命というか、

 誰が悪者なのか、誰が裏切り者なのかっていう命題は、

 シリーズが続くかぎり引っ張られ続けるんだろうから仕方ないんだけど、

 もう、周りの人間がどんどん死んでいって、

 結局、最後の最後には篠原涼子しか残らないんじゃないかって感じになってきた。

 まあ、ドラマの作りとして、

 いちばん信じている、あるいは愛している、もしくは頼りにしている者が裏切り、

 その裏切りによって身も心もぼろぼろになった後に、

 増幅された怒りによって事件が解決に導かれるわけなので、

 あとから登場してきた人間で、

 篠原涼子に近しい者から順に悪者になっていかざるをえないんだよね。

 でも、今回の場合、

 夫の香川照之が殺されることで、ほんとだったら、

 いくら別れたとはいえ、未だに信頼し合っている観のある夫が殺されるわけだから、

 その悲しみに後押しされて行動しても好さそうなものなんだけど、

 なんだかそうじゃなくて、

 ネイルガンによる連続殺人とかいった殺人の方法もそうだけど、

 過激さだけが増しているような気もしないではない。

 これもまたシリーズの宿命なのかもしれないけど、

 それにしても、つぎつぎに裏切り者が出続けるのも、

 ちょっと食傷気味ではあるかな~。

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マイティ・ハート 愛と絆

2013年07月06日 01時30分27秒 | 洋画2007年

 ◎マイティ・ハート 愛と絆(2007年 アメリカ 108分)

 原題 A MIGHTY HEART

 staff 原作/マリアンヌ・パール『マイティ・ハート』

     監督/マイケル・ウィンターボトム 脚本/ジョン・オーロフ

     製作/ブラッド・ピット デデ・ガードナー アンドリュー・イートン

     撮影/マルセル・ザイスキンド 衣裳デザイン/シャーロット・ウォルター

     美術/マーク・ディグビー 音楽/ハリー・エスコット モリー・ナイマン

 cast アンジェリーナ・ジョリー ダン・ファターマン ウィル・パットン デニス・オハラ

 

 ◎2002年、ダニエル・パール誘拐事件

 事件に関する概略はこうなってる。

 ダニエル・パールは、米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者で、

 1月23日、カラチでの取材中に誘拐された。

 2月21日、ダニエルの殺害の模様を映したビデオがインターネットで公開され、

 遺体は5月に発見され、アメリカに搬送された。

 そして1か月後、

 アフメッド・オマル・サイード・シャイフ他3人の容疑者が告発され、

 7月15日、パキスタンで有罪判決を受け、シャイフは死刑宣告を受けた。

 そもそも、ダニエルは国際テロ組織アルカイダに関して取材していて、

 誘拐した集団は、

 アメリカが拘束しているテロ容疑者の釈放や、

 パキスタンからの米軍撤退などを要求していた。

 映画は、この事件の被害者ダニエルの妻マリアンヌの手記に基づいて、

 夫の行方を追っていく身重の妻をリアルに描写してる。

 こうした映画は臨場感が命なんだけど、それは充分に観てとれた。

「おや?」

 とおもったのは、彼女が「南妙法蓮華経」の題目を唱えていたことで、

 法華宗にでも入信しているのかなと。

 で、あとで知ったんだけど、

 マリアンヌのミドルネームはサチというらしい。

 幸せのサチって意味なんだろうか。

 まあ、彼女の宗派についてはともかく、

 パキスタンの現状について、なんとなく想像がつくし、

 アメリカが国際社会の中でどのような立場に置かれているのかも、

 おぼろげに見えてくるという意味においては、

 充分に時事性を備えた映画なんだろうな~とおもえるし、

 真に迫った感じはよく出てたんじゃないかしら。

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ブリューゲルの動く絵

2013年07月05日 12時46分09秒 | 洋画2011年

 ◎ブリューゲルの動く絵(2011年 ポーランド、スウェーデン 96分)

 原題 The Mill and the Cross

 staff 製作・監督/レヒ・マジュースキー

     脚本/レヒ・マジュースキー マイケル・フランシス・ギブソン

     撮影/レヒ・マジュースキー アダム・シコラ 美術監督/スタニスワフ・ポルチェク

     美術/カタジーナ・ソバンスカ マルセル・スラヴィンスキ

     衣裳デザイン/ドロタ・ロクエプロ メイク/ダリウス・クリシャック モニカ・ミロフスカ

     SFX・VFXスーパーバイザー/パヴェウ・ティボラ

      音楽/レヒ・マジュースキー ヨゼフ・スカルツェク 

 cast ルトガー・ハウアー シャーロット・ランプリング マイケル・ヨーク

 

 ◎1564年『十字架を担うキリスト』

 16世紀、フランドル絵画の代表画家ともいえるピーテル・ブリューゲルは、

 農民画家とか呼ばれてるけど、けっこう、SF的なものを扱った観がある。

 また、人物の描写はきわめて写実的ながら、

 全体の構成は、けっこう、シュールだったりする。

 そんな不思議な印象を与えてくれる画家なんだけど、

 その数ある作品の中でも『十字架を担うキリスト』は超大作だ。

 この絵を、そっくりそのまま映像化しようとしたのが、この映画だ。

 しかも、絵の中に入って、絵のその瞬間に至るまでの話を描いている。

 いや、それだけじゃなく、

 この絵をブリューゲルが書くきっかけとなった、

 スペイン国王によるネーデルランドの民衆への迫害に対する怒りも描かれてる。

 つまり、

 絵を描くことにいたったブリューゲルの日常と、

 絵の中に封じ込められた民衆の迫害されるありさまと、

 さらにネーデルランドの状態について、

 キリストが磔にされた際の状態と酷似しているのではないかという、

 ブリューゲルの感想と、

「その感想をそっくりそのまま描いてはどうか」

 と勧める銀行家に美術収集家ヨンゲリングについて、

 なにもかも一緒くたにしたのが、この映画だ。

 ブリューゲルは絵の中で、ふたつの時代を混合してみせたけど、

 この映画はさらに画家そのものの時間もまた混合してる。

 台詞は少なく、あってもおもわせぶりなものが多く、

 聖母のマリアの祈りは、

 すなわち、フランドルの民衆の祈りでもあるという二重構造になってる。

 だから、なんとも小難しい構成にはなってるんだけど、

 そんなことはもういいわってくらいに絵が綺麗だ。

 4年を費やして製作されたCGと実写はあまりにも見事で、

 どのショットもまるで絵画を観ているような感じがする。

 よく撮ったもんだ。 

 

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ハングオーバー!!! 最後の反省会

2013年07月04日 00時49分37秒 | 洋画2013年

 ◇ハングオーバー!!! 最後の反省会(2013年 アメリカ 100分)

 原題 The Hangover Part III

 staff 監督/トッド・フィリップス 製作/トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ

     脚本/トッド・フィリップス クレイグ・メイジン

     キャラクター創造/ジョン・ルーカス スコット・ムーア

     撮影/ローレンス・シャー 美術/メイハー・アーマッド 音楽/クリストフ・ベック

 cast ブラッドリー・クーパー エド・ヘルムス ザック・ガリフィアナキス ケン・チョン

 

 ◇もうしません

 作品がパワーアップするということはどういうことなのかというと、

 なにも予算が膨れ上がったから、

 ど派手なアクションをするとか、海外ロケをするとか、高額ギャラのゲストを呼ぶとか、

 そういうことじゃないってことが、この頃のハリウッドは忘れてしまってるらしい。

 脚本にお金と時間をかけないとダメなんだよね。

 そうしたことからいうと、

 1作目の脚本を担当したジョン・ルーカスとスコット・ムーアのセンスは、

 けた外れだったんじゃないかなっておもえてくる。

 たしかに2作目は、1作目を踏襲して、なんとか頑張ってた。

 ど派手なアクションはどんどん出てきたけど、

 舞台をバンコクに持っていったことで妙な熱気が入り込んで、

 グロさもあるものの、ぎりぎりのところで笑っていられた。

 でもそれは、いちばん最初に「ハングオーバー」してるからだ。

 この作品の要はハングオーバーつまり二日酔いすることで、

 それが飽きられようとも、続編にするからには二日酔いから始まるのが、

 いってみればお約束ってものなんじゃないかな~と。

 ちなみに、ぼくはネタバレという言葉が好きじゃない。

 ネタというのは話の核心のことで、

 物語の後半とかラストのことをいうんじゃないんだけど、

 どうも、そういうふうにおもわれてないらしい。

 ま、なんにしても、

 流行り言葉はむなしい。

 略語もむなしい。

 だからあんまり使いたくないんだけど、

 そうおもわれないよう先に断っておけば、いまから書くのは話の核心でもオチでもない。

 物語が終わった後、

 まあ、いってみれば、おまけの場面になって、

 結局、呑み助どもの「もうしません」なんてのは口先だけってことが判明し、

 とんでもない状況での新たなハングオーバーを迎えてたのねと、

 多少の未練を残したかたちで終幕させるんだけど、

 やっぱり、

 訳が判らないパニック状況ってのは、冒頭に持ってこないとダメだよね。

 なるほど、たしかに娯楽作品としては、ちゃんと成立してる。

 はちゃめちゃなパワーとエログロまじりのギャグも健在だ。

 どっと笑えるような感じじゃなく、含み笑い的な感じにはなったけど、

 やっぱり、シリーズのフアンとしては、

 ハングオーバーしてない物語には肩透かしを食らった気分だろう。

 ぼくは、このシリーズの失策はふたつあったとおもってるの。

 ひとつは、ザック・ガリフィアナキスを異常者にしてしまったこと。

 もうひとつは、ケン・チョンをひきずってしまったことだ。

 ザックは、ジョン・べルーシーの再来のような気がしてたから、

『アニマルハウス』のときだって、べルーシーは異常者の役じゃなかった。

 けど、どはずれた面白さがあった。

 ザックには、そうした役割を2と3で演じてほしかった。

 キャラクターは強烈なのもいいんだけど、強烈すぎると過激にならざるをえない。

 でも、それは決して得策じゃない。

 その人物の設定がどんどん変わって収拾がつかなくなっちゃうからだ。

 それは、ケン・チョンにしても同じことがいえる。

 品の無さと凶暴性がどんどんとエスカレートしてしまってる。

 ただでさえ嫌味で、あまり好かれないタイプの役がらなのに、ね。

 どうして、

 ザック・ガリフィアナキスとケン・チョンをこんなふうに演出したんだろう?

 やっぱり、2が原因だとおもうんだけど、

 かれらは(スタッフとキャストは)おもいきり成功して、おもいきり儲けた。

 でも、それを吐き出すようなことはしないで、

 もっとおもしろいものを作ろうと頑張ってほしいんだよね。

 かれらは、インタビューで「ぼくらは、20年、苦労した」と正直にいってた。

 それをいえる勇気と自信ができたんだから、3で盛り返してほしかった。

 なんてことを、ハングオーバーフアンとしては、なんとなくおもった。

 4、作ればいいのに。

 反省会は、それからだ。

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ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える

2013年07月03日 19時40分00秒 | 洋画2011年

 ◎ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(2011年 アメリカ 102分)

 原題 The Hangover Part II

 staff 監督/トッド・フィリップス 製作/トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ

     脚本/スコット・アームストロング トッド・フィリップス クレイグ・メイジン

     キャラクター創造/ジョン・ルーカス スコット・ムーア

     撮影/ローレンス・シャー 美術/ビル・ブルゼスキー 音楽/クリストフ・ベック

 cast ブラッドリー・クーパー エド・ヘルムス ザック・ガリフィアナキス ケン・チョン

 

 ◎飛べ、異国の地へ!飛ぶな、昨夜の記憶!

 記憶がない。

 というのは恐ろしいことで、実は、この映画はずいぶん前に観た。

 というより、封切られてすぐに観に行った、はずだ。

 ところが、2年前のメモのどこにも観たという記録が見当たらない。

 どういうことなんだろう?

 ともかく、まあ、3を観る前に観直しておこうとおもって、また観た。

 と、やっぱり、観てた。

 どうして感想を書いてないのか不思議なんだけど、ちゃんと覚えてた。

 前作もそうだったけど、

 このシリーズは作劇のうまさにある。

 目が覚めると、

 アジアのどこかのうらぶれたホテル、

 ひとりは頭が坊主に刈られ、

 またひとりは下着姿で、顔の半分にマイク・タイソンの刺青が彫られ、

 ベストを着て煙草をふかす小さな猿がいて、

 婚約者の弟の指が指輪をしたまま切られて冷やされてて、

 謎の中国人が裸で寝そべってて、

 狼軍団の悪友のひとりの姿がない、

 なんて事態がいきなり起こるんだけど、最後まで回想場面がない。

 フラッシュや録画、あるいは少年期の主人公たちに戻った奇妙な回想しかなく、

 それでいて、徐々に、

 問題のバンコクの夜になにが起こったのかがありありとわかってくる。

 前作もそうだったけど、

 通常、回想というのは物事を説明するために利用されるんだけど、

 その回想をわざと見せずに観客に想像させるという手腕は見事なもので、

 観客は、

 登場人物もまるで憶えていないエンドロールの写真を観て、

 ようやく、

 想像よりも凄まじくおもしろい事実があったんだってことを知らされ、

 おもわず、吹き出す。

 もちろん、そこにいたるまでに、

 ふんだんにコミカルな場面とアクションが注ぎ込まれる。

 たいしたもんだわ。

 どれだけ、このいい加減で場当たり的におもえるコメディが、

 端の端まで繊細に考え抜かれているかがよくわかるよね。

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SAYURI

2013年07月02日 20時24分05秒 | 洋画2005年

 ◇SAYURI(2005年 アメリカ 146分)

 原題 Memoirs of a Geisha

 staff 原作/アーサー・ゴールデン『Memoirs of a Geisha』

     監督/ロブ・マーシャル 脚本/ロビン・スウィコード ダグ・ライト

     製作/ルーシー・フィッシャー ダグラス・ウィック スティーヴン・スピルバーグ

     撮影/ディオン・ビーブ 美術/ジョン・マイヤー

     衣裳デザイン/コリーン・エイトウッド 音楽/ジョン・ウィリアムス

 cast チャン・ツィイー ミシェル・ヨー コン・リー 渡辺謙 役所広司 桃井かおり

 

 ◇独立した物語と捉えたい

 小さい頃、うちにはたまに芸者さんが遊びに来てた。

 花柳界の人はやっぱり素人さんとは違ってて、

 それがたとえでっぷりと太った芸者さんだったりしても、

 所作や喋り方が小粋で、いうにいわれぬ迫力があった。

 祖母や母親から、

「あの人は、こんなふうに苦労もしてね」

 と聞かされたことがあったりして、

「へえ、そうなんだあ」

 と納得したりもしたけど、

 ぼくに声をかけて、笑い話とかしてるときは、まるで苦労してるようには見えず、

 おおきくなってから、あの人たちは気丈な人達だったんだなとおもったもんだ。

 でも、

 その明治や大正生まれの芸者さんたちは、もうみんな過去の人になっちゃった。

 で、この映画だ。

 個人的には、きわめて面白かった。

 ただ、原作がそれなりに物議をかもしたことがあって、

 それと、キャスティングについてもそれなりに物議がかもされたりして、

 なんといったらいいのか、神経質に見てしまいがちな作品ではあるんだけど、

 映像化された作品そのものは、

 日本という国が欧米に勘違いされて解釈されていた時代とはやや違って、

 ぼくは、納得した。

 もちろん、

 舞台はあくまでも戦前の京都だし、

 たしかに置屋や舞妓や芸者の世界を扱っているから、

 ほんとのところどうだったんだろうってことは、

 ぼくみたいなすっとこどっこいの知るはずのないところなんだけど、

 でも、映画という監督の芸術的な領域を尊重する銀幕世界においては、

 それなりのリアリティと、非常に美しい映像と、納得のゆく展開で構成されてた。

 リドリー・スコットが日本でロケーションした『ブラック・レイン』もそうだったけど、

「どうしてハリウッドが日本で撮影すると、こんなに凄い映像になるんだろう?」

 と、素朴におもった。

 上手な映画だったし、

 チャン・ツィイー、ミシェル・ヨー、コン・リーの三人は、

 日本人の役を彼女らなりにしっかりとこなしてた。

 美術も、音楽も、これまた然りだ。

 ただし、戦後の日本は、戦前の日本とかなり違っていて、

 ことに花街の状況は一変してしまっているはずで、

 当然、芸者さんや舞妓さんの立場もかなり変化しているわけだから、

 そういうところは、心して見ないといけないよね。

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G.I.ジョー バック2リベンジ

2013年07月01日 22時54分41秒 | 洋画2013年

 △G.I.ジョー バック2リベンジ(2013年 アメリカ 110分)

 原題 G.I. JOE: RETALIATION

 staff 監督/ジョン・M・チュウ 脚本/レット・リース ポール・ワーニック

     撮影/スティーヴン・ウィンドン 美術/アンドリュー・メンジース

     衣裳デザイン/ルイーズ・ミンゲンバック 音楽/ヘンリー・ジャックマン

 cast ブルース・ウィリス イ・ビョンホン エイドリアンヌ・パリッキ チャニング・テイタム

 

 △こいつは困った

 なんも、おもいつかん。

 たしかに、観た。

 よぶんなことを考えながらだけど、一睡もせずに観た。

 CGをふんだんに盛り込んだアクションは、なかなかだった。

 とくに予告編でもよく観た崖っぷちのアクションは、ふむふむとおもった。

 イ・ビョンホンが刀を右肩に2本差ししているのは、

「抜きにくいんじゃないかな~」

 とおもい、

「両肩にしょえばいいのに」

 とおもったが、

 画面の中に「ほいほい、にいちゃん」と声をかけるわけにもいかないからやめた。

 だいたい、こういう類いの話は悪役に人気が出てきちゃったんで、

 途中からやけに好いもんになってくるってのがお決まりなんだけど、

 やっぱ、イ・ビョンホン、おまえもか~て感じの展開もまた予想どおりだった。

 さらにいえば、

 高過ぎるギャラのブルース・ウィリスまで投入するほど「1」はあたったのね~、

 と感心したものの、前後篇みたいな作りは、

 この「2」から観る人がいたら、ちょっと戸惑わないかな?

 と心配もした。

 あ、それと、

「この頃、大統領が捕まる映画は多いな~、

 アイアンマン3とかエンド・オブ・ホワイトハウスとかさ~」

 とかもおもったけど、そんなことはどうでもいいか。

 ただ、

 悪役の配役はほぼおんなじなのに、

 肝心の主役たちが妙にいれかわってるのは、

 続編であって続編じゃないじゃんってな印象をもたれないかしら?

 てな心配もしてしまった。

 なんで、こんなにこの映画の味方をしてんだろ、ぼくは。

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