日沖宗弘さんの本「プロ並みに撮る写真術2.-一人で仕事をする研究者・ライターのために、勁草書房、1993年」でもフィルム時代の京セラコンタックスのレンズは評価されていた。コンタックスで圧倒的な支持を得たツァイスレンズは、固有の色とボケ方は他の機材とは明らかに違っていた。
そのコンタックスもデジタル化で失敗し、今は京セラもカメラ事業から撤退してしまった。コンタックスの中でT シリーズと呼ばれた小型カメラがあった。チタンで外装されたTシリーズはまさしくZeissレンズである。私がZeissの色というのは、コンタックス・ツァイスの色のことである。
今はSONY ZEISSになり、レンズ設計はSONYの手によるが、当然京セラ・コンタックスの色とは異なる。私が記憶しているのは、京セラコンタックスの色だ。いまでも唯一コンタックスの色で撮れる手元の機材が、このT3だ。またリバーサルフィルムをつめて旅に出たいと思う。
画像は、日沖さんの本を参照したフィルム&デジタルのハイブリッド・システム案である。PC用モニター解像度を考慮すれば、そんなに高画質にする必要もない。データサイズが調度よいオリンパスで十分だろう。手元にあったE-M1Mark2には、大変解像度が高いZUIKO DG12mm/F2.0、OEMであるがLEICA DG Macro Elmarit45mm/F2.8はとても使い道が広く、接写からポジフィルムの複写までこのレンズを使用している。そして標準レンズの役割を果たすのが、このコンタックスT3 Sonnar35mm/F2.8T*だ。ここが決め手だ。
京セラコンタックスの色への思い入れを反映させ、画質の悪いズームレンズは使わない(iPhoneだってズームレンズは使用していない)とする日沖さんの原則に従い、比較的リーズナブルでありながら性能が良い単焦点レンズ中心のハイブリッド・システムだ。E-M1を初期の中古E-M5にすればさらにコストダウンできる。これでも性能は大きく変わらないし中古カメラ屋ではすこぶる安い。どんな機種でもバッテリーグリップが付属品であれば、付けておいた方が電池の減りを気にしなくて済む。
このシステムで広角-標準-望遠と揃い、F2.0の明るいレンズがあるので夜でも撮影可能だし接写もできる軽量でリーズナブルな撮影システムができあがる。もっと望遠側が必要ならば、E-M1のデジタル拡大機能で2倍(180mm相当)になるあたりがデジタルの恩恵だろう。すべて中古で揃えれば、ニコンD850ボディ以下のコストで高性能なシステムができる。今は一般的な撮影機材が中古ではすこぶる安い。
それにコンタックスT3の35mmという焦点距離がとても使いやすいので撮影機会も多いだろう。リバーサルフィルムはベルビア100でよい。これは個人的にお気に入りのシステムになりそうだし、格好いいシステムができると旅に出たくなる。さてどこへゆこうか・・・。
ただし考慮すべ点があって今リバーサルフィルムが1,200円/本、現像代が700円/本ほどするから、少し後処理にコストがかかる。そんな無駄骨をしりつつ、ここでは少しフィルムを使ってみようというわけだ。フィルムの色の良さは見直されてもよいと思う。
リバーサルフィルムのポジネガをデジタル化するのは簡単だ。先日ストリップフィルムフォルダー(NikonES-2)が届いたので、ポジネガのスリーブ(6枚ごとにカットしたモノ)をデジタル・デュープするのが容易になった。簡単な複写システムがあると発色の良いリバーサル・フィルムも使いたい。
もう一つ日沖さんの本で、「1台は機械式シャッターを内蔵したボディとすること」、という原則がこのシステムでは満たされない。このシステムは全てバッテリーが必要なのである。だからコンタッスT3を機械式シャッターを内蔵するボディに置き換えればよい。例えばベッサR2(R3以降は電子シャッター)+レンズとか、ライツCL+ライツレンズとか、いっそM4-P+ライツレンズとか次第に高価(昔ほどではないが)になる。全てが電子化されている時代にバッテリー不用機材の存在は大きいと思うけど。
それにしても、このシステムのコンタックスT3がデジカメには負けませんよ、といっているかのような存在感がある。
今日は、撮影システム紹介(私案だが)ブログになってしまった。やはり日沖さんの本の影響が大きいわけです。
α6000,Carl Zeiss Vario-Tessat16-70mm/F4.0、ISO2500,焦点距離70mm,露出補正0,f/4、1/160