月よりの使者⑥

かぐや姫の事もあるから、先ずは子供達がどうしているかを見ることにした。 (休憩)

おじいさんやおばあさんにこよなく可愛がられ大事にされたかぐや姫、その頃は「子供は遊びをせんとや生まれけむ。」と殿も歌い、どこへ行っても子供の元気な声が聞こえたと言う。

今日本は、経済大国と言われある意味で先進国中の先進国、その中のヒトが集まる大都市中の大都市,≪」東京≫の西の方に、ある意味で世界や日本、都市のの縮図のような町がある。

そこを訪ねた。

月から見て、地球を回って見たあの光景の下、3っつの安全が脅かされ、今は解決の手段を持たないと言われてる地球で、ヒトが集まる代表的な町【H市】 そこの子供達だ、何となく胸がどきどきする。(休憩)

(続き)断っておくけど月よりの使者が突然現れると、またもやメディアが大騒ぎし、どこかの知事か大統領にでもなってほしいと頼まれると、いづれつきに帰らなければならない身だから、透明人間化、話をしたい時は変装することにした。

生まれたての赤ちゃんが見たかったから、H市で1番の大きな

病院へ行った。なんとこの病院はお医者さんがいないから

赤ちゃんは産めないというので、小さな病院を探し窓ガラス越しにのぞいた。

お母さんがベッドに座り赤ちゃんにお乳を上げている。

ぐいぐい元気におっぱいを吸う赤ちゃんをいとおしそうにジーと見つめるお母さん。大声で泣いたり、仕合わせそうに眠ったり、目も見えず耳も聞こえないのにおかーさんが抱っこした子守唄を歌うのもこれまで月で見ていたのと同じだった。

透明人間になった二人はさっきまでの心配を忘れてにっこり目で確認した。

今日は日曜日で天気もいいから外で遊んでいるだろうと見て回ったがさっぱりだ。川原や校庭のグランドで野球やサッカーの練習や試合をしている子供達もいたが、どれもユニホームを身につけ、かなり多くの大人が指導している。何人かのおかーさんはベンチで応援している。時々ハッパをかける声も飛び大人も子供もしんけんだ。

明らかに病室で見た光景とは雰囲気が全く違う。

それならということで、近くの川や山へ行ってみた。殆ど子供がいない。やけに静かで気持ち悪かった。それどころか川の底をのぞいても魚1っぴき見つからない。田んぼへ行ってもカエルはいない、山へ行ってもトンボを見ない。野山の生き物は何所へ行ったんだ?

月やロケットの窓から見た風景を思い出し、なるほどとおもいながらさらに子供を追跡した。(休憩)

4月26日(土)

じゃー、都合があって住んでいる家にいるに違いないと考え、

山の斜面の住宅地から高層住宅も、片っ端から二人はチョウチョに成って窓から中をのぞいて回った。

すると、日曜日なのに家族揃っているところは少なく、テレビやゲームに興じてる子どもが多い。なかにはどこかの宿題なのかドリルで勉強している子供もいる。

珍しく家族全員いるうちも、殆ど談笑することもなく、それぞれ別のことをやっている。中にはテレビやゲームも別々にやっている。一人ぼっちはさびしくないのか?我々月の常識と違う。

こう言うのを≪月とすっぽんの違い≫と地球のヒトが言うと、地球大辞典に書いてあったことを思い出した。

でもおかしい。少子化といっても、このH市には子供がもっといるはずだ。この町は約人口17万だから、子供といわれる15歳ぐらいまでの子供の数は3-4万はいるはずだ。特に小学校や中学校へいってる子供たちのかずがどうも合わない。かぐやのベースに問い合わせると、塾やスポーツ、お稽古に言ってるとのことだ。

そこを訪ねて見ると、確かに沢山子供達が来ている。

≪チベットに自由を≫とあちこちで騒いでいるが、見てきた子供達のやってる事が≪子供の自由≫なのかと、月の子供達との違いをここでも≪月とすっぽん≫だと驚いた。

どんな好きなことも、大人が付きっ切りでやらされたら、月の子ども達はもたない。マサミは「月並みでない」と駄洒落を言ってごまかしているのが分った。

確実に進行し何時来てもおかしくない地球の3つの危機《気候・食料・疫病)に囲まれた中で、我々が見た子供達や、それをススメ励ます大人たちは、頑張っている。3つの危機を解決のために子供も大人も頑張るなら分るのだが、自らやってきたりやりたいと願ってきて今日の危機を招いているのに、可愛い子供に同じものを求めている。子供達の顔は、口には出せないが、体のどこかでズレを感じている顔ではないか。

親や大人のの気持ちは分るけど、今、がんばって伝え教え一緒に解決にしなければならないのは、あなたたちが(地球人)既に3つの危機に覆われているのだから、何とかすることだと、月よりの使者は、月並に考えた。

ちょっと心配だが、明日は学校で子供達がどうしているかを見てこよう。(休憩)

(休憩後)

大きな川を背にしたある小学校を訪ねた。まず、1階から3階まで1巡りした。学年を問わず殆どの教室はプリント学習をしていて静かだ。黙々とドリルをこなしてる。月のように、先生の声や可愛い子供の声が聞こえるかと期待していたがちょっと無菌の冷蔵庫のような感じだ。

それにしても空席がいくつかあった。

あまりにも意外だったから、校長先生に尋ねると、あのプリント学習が学力アップに良いという。空席は欠席しているからで、

市内の小中学校は勿論、日本中どこも、それどころか地球の上の先進国では普通のことだと言う。子供が学校に合わせるのは当然で、学校が子供に合わせていては,【教育】にはならないと言う。

地球上の陸地が狭まり、こげ茶色のヒトが住めないところが増えていたが、この町の学校も同じように子供たちが来れない茶色部分が広がっているのだなと、1本筋が通っているのだと、

二人は目が点になりそうだった。

尋ねないのに、校長先生はこの町の自慢はコンピューター教育だと、鼻穴をヒクヒクさせて胸を反らした。

それではと、パソコン室へ行ってみた。確かに一人1台のパソコンに向き合っている。子供達はドリル学習以上に集中しているかに見える。

しかし、月よりの使者は見逃さなかった。あの目は家でテレビやゲームに食いついている時と同じだ。

何と!机間巡視している先生は子供の目を見ず、子供同様、ディスプレイを覗き込んでいるので、先生の目もあの子供がゲームをしているときと同じ目玉になっている。地球人が異星人に見えてきたのでそうそうと、退却した。

それにしても、学校は地球の3つの危機とは全く無関係な空間だった。あの人たちの目と地球の危機とはどういう関係になるのか、月よりの使者は皆目分らなかった。しかし、あの目の奥に

何かがあるだろうと、さらにこの町を探索することにした。(休憩)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )