バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

知らないようで知っている、知っているようで…

2010年04月18日 18時08分55秒 | バス運転士

お昼前に某駅を発車した。最初のバス停に接近して行くと、バス停では3名の乗客が待っていた。一組の老夫婦が歩道を歩いていたが、バスに乗るという雰囲気ではなかった。私が乗客3名の着席確認後に扉を閉めたところ… 歩いて来た老夫婦がバス停を見始めたのである。

私が再び扉を開けると、おじいさんは「○○駅まで行くバスはあるかねぇ?」と言った。私は「直接行けるバスはありませんが… 途中で乗り換えれば行けますよ」と答えた。すると、おじいさんは「それじゃ、乗せてもらおうか」と言っておばあさんと一緒に乗り込んだ。

自分が今いる場所から、一本のバス路線では行けない場所まで… どうやって行けば、最良の選択となるのか? ただでさえボケな私なのに、途中のバス停での“立ち話”という時間のない状況では、すぐに答えを導き出せるはずもなかったのである。

私はバスを走らせながら「乗り換えれば行けるのは確かだが、その路線は1時間に1本しかなかったような… それならば、このバスが○○駅に最も接近する場所で降りてもらう方が良いのか…」などと考えて、途中の長い赤信号待ちで地図を見て確認した。

約10分後、私は△△停でバスを止めて「○○駅まで行かれるお客さん、ここが一番近くて400mくらいになります。もちろん、乗り換えのバスも来ますが…」と言いかけたところで、おじいさんが「あぁ、いいよ。(××駅に近い)☆☆停まで乗って行くから…」と言った。私は「まったく知らない土地ではなかったんだ」とホッとした。

それにしても、信号待ちで地図を見ているバスの運転士なんて… それを見たドライバーや歩行者は「こいつ、大丈夫か!?」と思ったに違いない。