朝の8時ちょっと前… バスは5分以上遅れていた。あるバス停の20~30m手前に、携帯電話で話しながら立っているオバサンがいた。そして、バスに気が付くと同時に、バス停へ向かって走り出した。
そのオバサンの話し方がとても“激しかった”ので、私はてっきり「バスが来なぁ~い!」と営業所に怒りの電話をしているのだろうと思い、「何か言われるかな?」と心構えをして… 大きな旅行カバンを引きずりつつ、電話で話しながら走って来るオバサンをバス停で待った。
それでも、私は「電話を切って下さいね」と言おうと思っていたのだが… オバサンは相変わらず激しい口調で「今、バスに乗ったんだわ!」「新幹線に間に合わんかもしれん!」「どうすればいい?」「もしもあれだったら先に行っちゃって!」などと話していた。
私は「これは… 一種の非常事態と言えるのかな? 単純にオバサンの朝寝坊かもしれないけれど… かなりパニックになっているので、そっとしておいた方が良さそうだ」と思って、バスを発車させた。
次のバス停を通過した頃、オバサンの話も何とか一段落したようで電話は終わった。そこで、背後席のお婆さんが「何時の新幹線なの?」と声を掛けて“最善策”を検討しているようだった。私は「やはり、背後席のお婆さんも“やむを得ない”と思っているのだろう」と分かってホッとした。
肝心のオバサンは話をしている間も落ち着かない様子で、席を立ったり座ったりを繰り返していた。結局、オバサンは「ここからタクシーで行くわ。その方が早いよね!?」と自分で結論を出して、その次のバス停で降りていった… 車内の空気をかき乱して… ハハハ…