バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

乗車時によくある質問

2011年07月02日 18時19分08秒 | バス運転士
某駅前で発車時刻を迎えたところで、一組の老夫婦が乗ってきた。そして、某宅配業者の配送伝票に書かれた住所を私に見せながら「ここへ行きたいんだけど…」と言った。幸い、バス停の目の前の信号は赤になったばかり… 私は「信号が青になるまで約一分… 久々に地図が役立つ時が来たぁ~!」と思いながら、カバンから地図を取り出した。

私は地図を開いて示しながら「え~っと… バスはここを通って行きますので、この○○停で降りてまっすぐ行けばいいと思います」と説明した。老夫婦はお礼を言いながら、バスの中ほどの席に着いた。その時ちょうど信号が青に変わり、バスは約二分遅れで発車した。が、昼間の場合は途中で早くなることもあるので… これくらい遅れて行った方が、ちょうど良かったりするのだ。

一つ目のバス停から数名の乗車があり、二つ目のバス停に向かって走り出した時… 私は“老夫婦から運賃をもらっていない”ことに気が付いたが、「黙っていても、老夫婦は降りる時に払うだろう」と思った。しかし… “知らない場所へ初めて行くこと”で頭が一杯で、運賃のことなどすっかり忘れている可能性がある。

私は「静かな車内に向けていきなり“運賃を…”などと言わず、何とか自然な流れで伝えられないか?」と考えて、運行途中の長い赤信号で再び地図を開いてみた。すると、最初に見せられた住所の後に書かれていた“△△住宅”を発見したのだ。私は「そんなのは出ていないだろう」と高を括っていたのだが… 嬉しい誤算であった。

早速「△△住宅へ行かれる方… 地図に出ていましたので、また後で説明します。それと、運賃もお願いしますね」と言った。すると、お婆さんが慌てて席を立ったので、私は「あ、危ないですから、降りられる時でいいですよ。おひとり200円になります」と言った。そして、めでたく○○停でサヨウナラ…

さて、今回は気付いたけれど… このような場面は、これまでに何度もあったはずで… ひょっとすると、私がすっかり忘れている場合もあり!? また、一人の乗客の応対中に、その後ろを次々と乗り込んで行かれることもあるけれど、正直言って“すべてをチェック!”なんて出来ていない。運転士は一人なんだKARA!