先週の金曜日、歯医者に行ったら、
歯医者の本箱に、
ちょっと変わった題名のこの本があった。
受付の人に言って、借りて帰った。
学校に上がったばかりのトレーシーが
学校に慣れるまで、
天気の悪い日、スクールバスを待つ間、
アンナがしてくれる「お話ゲーム」の物語。
ハイジという名前のヒットラーの娘は、
顔に大きな赤いあざがあり、
片足がもう片足より短かった。
完璧な人種を繁栄させようとしていたヒットラーは
ハイジのことを秘密にしてかくまっていた・・・という設定。
この話を聞くマークが
「ヒトラーがお父さんだったら」とか
「どうしたら善悪の違いがわかるだろうか」とか
「自分のまわりの人たちがみんな間違っていたら、
自分はどうしたらいいのか」とか
私たちに疑問を投げかける。
最後に「ただのお話」「空想のお話」とアンナが言う。
訳者あとがきで、
「ナチスが支配した社会の中での
ユダヤ人の苦しみを書いた本は、
日本でも多く出版されてよく読まれているが、
きっと昔の歴史をふりかえるような気持ちで
読む人が多いと思います。
そして今はもうそんなひどい時代は終わって
みんながより幸せな暮らしを
することができるようになったのだと
わたしたちはつい思ってしまいがちです。
ほんとうにそうなんでしょうか?
あのときのユダヤ人と同じように
理不尽な弾圧や攻撃を受け苦しんでいる人たちは
まだたくさんいるのではないでしょうか?
今の時代だってヒットラーのような人が
またあらわれるかもしれません。」となげかけている。
「自分とはあまり関わりがない」
「自分一人ではどうしようもない」という自分がいて、
マークのように素直に「自分だったら」と
考えない自分がいる。
すずき出版とは初めて聞く出版社のこの本
子供向けの本だけど、
大人が読んでも、おもしろい・・・・
「おもしろい」とは不謹慎かもしれないけど。
虫歯はなくて、痛みは歯槽膿漏かなって
『ヒットラーのむすめ』
作 者:ジャッキー・フレンチ
訳 者:さくまゆみこ
出版社:すずき出版