グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

オオシマザクラ物語

2014年04月10日 | 植物
先日のツアーで、山頂口から山に登った時のこと…
カルデラの中でもオオシマザクラがポツポツと花をつけているのに気がつきました。

花は少ないけれど、ひときわ高く枝を伸ばした元気な姿!
なんともカッコ良く感じました。

一方では、ハチジョウイヌツゲに押され気味で、かなり無理な姿勢のサクラもあって、お客様と笑いました。

「なんで押すんだよ~。やめてくれよ!」というサクラの声が聞こえて来そうな風景ですよね?
(幹、曲がってるし…)

しょっちゅう噴火で溶岩が積ったり流れたりする三原山周辺。
今なら、ここのサクラたちの花を楽しめるかも…そう思って、昨日歩いて来ました。

4mぐらいのイヌツゲ達が密集する森で、他より高くなって白い花を咲かせるサクラ。

頑張ってますね~。

森を抜けて草地に出ました。

右側に、私がツアーを初めてから、時々立ち寄るサクラがあります。
なぜ立ち寄るか?それは…

2本のサクラが、からみ合って立っているからです。

いっぱいサクラの実を食べた鳥がここでした糞に、2粒のタネが混ざっていたのでしょうか?
(そんな物語を考えてみるのも楽しいです)

ちょうど同じぐらいの太さの木が、くっついて…
なにやらゴチャゴチャした姿になっています。

これって、健全なのでしょうか?

そういえば、昨年と一昨年はこのサクラに、た~くさん毛虫がついてムシャムシャ葉を食べ、かなりな惨状になっていました。

今年は虫もいないし、花も元気です。

毎年、毛虫に葉を食べられてボロボロになるってことはないのですね。
大変な年もあれば、楽で良い年もあるって…人生と同じだなぁ~。

さて、ここから先のサクラの木は、花はわずかしか咲いていませんでした。

草の中から2本のサクラ。

こちらも。

ほとんどが、葉っぱのみです。

少し先では180cmぐらいの高さのサクラに一つだけ花が咲いているものもありました。

ツボミが開いても3つだけ?

木を1本、全部調べたら…
ありました!

これだけ。

さて、草地のサクラを観察しながら歩き、27年前の噴火で流れ出たゴツゴツ溶岩の上に到達しました。サクラの木の数はぐっと減り、たまにしか目に入りません。

でも、目を皿のようにして探したら、ありました!

少し黄色い、葉っぱだけの2本!

こちらも!
ヒョロヒョロだけど、頑張って立っています。

昨年の台風の暴風雨や、長く残った雪にも耐え抜いた幼いサクラ。(樹高1.5mぐらい)

サクラからサクラへ溶岩流の上を移動すると、ガラガラの溶岩が崩れてかなり危ないです。
こんな場所に鳥はわざわざ来ないかも…

溶岩の奥に見える黒い穴はなんだか危険そうだし、溶岩の上は目立って外敵に襲われそうだし、食べる実もないし…この環境にサクラの木が少ないのも納得できます。

それでもたまには、ゴツゴツ溶岩にやってきて糞をする鳥もいて…

この地に運ばれて、頑張って生きはじめたオオシマザクラ。
花は一個も咲いていないけれど、

そしてもう、葉っぱもかじられちゃったけれど…

すごく元気に生きています!

この、栄養のない溶岩の上で!

いつかもっと地面の栄養が豊かになったら、ここで白い花が見られるかもしれません。
(噴火までの、つかの間の時かもしれないけれど)

頑張れオオシマザクラ!
カッコいいぞ~!!

さて、27年前の溶岩の上で生きるオオシマザクラを夢中になって探し歩いた後、下山してきたら山の中腹は、サクラの花が満開でした。

思わず車を降りて、頭上を見上げました。

はあ~。

なんて華やか…溶岩流の上のサクラ達は、一個も花をつけられずにいるのになぁ…。

満開のサクラの花に見とれながらも、三原山のふもとで凛として立っている細いサクラの木を思い出すと、なんだかとても心が熱くなる私なのでした。

(カナ)
コメント (2)
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