グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

女王さま

2010年06月11日 | 
 たまたま見上げた軒下をスズメバチが飛んでいました。

 この季節は、巣作りの場所を探して繁みの中や防風林の枝の間をゆっくりと飛ぶ大きなスズメバチの仲間を見かけます。

 辺りを旋回して、ビニール波形トタンにぶら下がるように何か始めました。


【5月25日】


 黒褐色の体に黄色い縞(しま)、3センチ弱くらいのコガタスズメバチのようです。

 庭木や生垣の樹の枝などに巣を作ることが多いですが、雨露をしのぐには軒下などの方が適地なのでしょう。最近、台風や低気圧が大型化し、ゲリラ豪雨などもありますから~野生生物もウカウカしてられません!

【5月29日】


 ただ1匹の孤独な作業です。上の画像は夜、休んでいる所を失礼しました。

 コガタスズメバチは、オオスズメバチやキイロスズメバチと比べると攻撃性は低いと言われています。でも、何があるか分かりませんから、白いシャツを着て、豆絞りの手ぬぐいを頭に被って、撮影をさせてもらいました(笑)

 卵を産み、幼虫を育てる6角形の「育房(いくぼう)」の基礎が3つ、中央に見えます。

【6月2日】


 育房が8つくらい出来てきました。アシナガバチの巣のように、育房が平面的に連なった状態のものを「巣盤(すばん)」と呼びます。

 スズメバチの仲間は、巣盤の周りに外皮を作ることで、より安全に子育てが出来るようにしているそうですが、まだこの日は傘のようです。

 作るところを1から見たのは初めてのことで、感激です!

【6月4日】


 育房が10室くらいになり、傘が深くなってきました。

 昨年9月頃、最盛期のスズメバチの巣をご覧頂きました。巣盤も外皮も材料は、朽ち木の木質部や樹木の樹皮と唾液を混ぜたものです。大あごと前肢を上手く使って薄く伸ばしていきます。パルプ状と言われるとおり、驚きの薄さで出来ています。


【6月5日】


 外皮が下に行くに従って狭まり、芸術的でステキな縞模様が現れました。

 中の様子が分からなくなってしまったのは残念です。もう育房には卵が産み付けられたのでしょうか?

 巣が最大の大きさになる9月頃、新しい女王バチたちが誕生します。10月頃に新女王たちは巣から旅立ち、オスと交尾をして、11月頃には樹木の洞(うろ)などで越冬します。

 4月頃には冬眠から覚めて活動を開始。1匹でコツコツ働いて巣を作っているこのハチが、実は女王さまなのでした。

【6月7日】


 お酒を入れる「とっくり」を逆さまにしたような形になってきました。トックリバチというハチもいますが、土を材料にして巣を作る別種です。

 この巣は、外皮の太い部分の直径が65ミリ程あります。巣作りの初期に、こんな形の巣を作るのがコガタスズメバチの特徴です。

【6月8日】


 一輪差しの花瓶のように口が長く伸びています。今日は、またこれより1センチ程長くなって、全体の高さは約10センチ。

 細い部分の長さが4センチ程になっていました。出入り口の直径は13ミリ。

 巣作りの第1段階は終了のはず。お疲れさまです。

 女王バチと言うより、パワフルお母さんって感じです! コガタスズメバチは、産卵から成虫になるまで約1ヶ月だそうです。女王バチが「働きバチ」になる幼虫に一生懸命エサを運ぶって、何かイメージ違いませんか?

 1つの育房に1個の卵を産んで、卵の期間は5日間、幼虫は12日前後の間に4回脱皮して、充分成長すると口から糸を吐いて育房に白いフタをして蛹になり15日前後で成虫に。

 その最初の子どもたちが育つまで、もうしばらく頑張る女王さまです。

 

(なるせ)







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テントウムシ劇場

2010年06月10日 | 
一昨日の朝、犬の散歩中に、葉の上のオレンジ色の粒が目にとまりました。
これです。

周辺の葉には何匹も同じものが乗っていました。たぶん20匹以上!

家に帰って写真を良く見たら、オレンジの粒はナミテントウのサナギでした。

「なんであんなに目だつ葉っぱの上でサナギになっているのだろう?敵に襲われないのかな?」

夕方、潜りに来ていたお客様2人を誘って、もう一度同じ場所を訪ねてみました。
目が6個あれば、何か面白いものが見つかりそうな気がして…。

予感的中!
次々に色々なものが見つかりました…というか目の良い2人が次々と見つけてくれました。

まず、サナギになる前の幼虫が歩いていました。親より強そうな迫力のある姿です。


サナギに寄りそう幼虫。

う~ん、これは可愛いです。仲良し兄弟?

「あれ?別の種類?」

…と思ったら、実は脱皮殻だったことが今日になって判明しました。
(店に泊っていたテントウ達が今朝めでたく羽化し、これと同じ殻を脱ぎ捨てたからです。)

羽化中に何者かに襲われたのでしょうか?

何か事件の匂いがします。

こ、これはどうしたのでしょう?

殻を脱ぐ時に失敗して、翅がおかしくなってしまったのでしょうか?

まるでテントウムシ劇場とでも言いたくなるような光景にすっかり盛り上がっていたら、
お客様がすごいものを見つけました。

1cmもないような、歩くゴミです!

これが動いたら、かなりビックリすると思いませんか?

夢中でシャッターを押し、何とか写った写真がこれです。

強そうなハサミを持った虫が背中にゴミを背負っているのがわかるでしょうか?

この虫の正体はクサカゲロウの幼虫。
アブラムシを鋭いハサミで捕まえ体液を吸い取ってシワシワにし、
その死骸を自分の体につけてカモフラージュしているのだそうです。

う~ん、凄すぎる…。

虫の世界を観察すると、ホラー映画かSFのエイリアンとの戦いでも見ているような気分になります。

「こんなにアブラムシを食べる虫が集まっているのにアブラムシが居ないよね~。」
と言いながら葉っぱを眺めていたら、お客様が「居た~!!」と…。

若い人は目がいいな~(笑)。

草の上には1mm無いのではないかと思われる、草色の小さなアブラムシが何匹もついていました。
美味しそうです!←(すっかりテントウムシの世界に浸っている)

さてさて、テントウムシ劇場を堪能して2日後の今朝の7時、また同じ場所に立ち寄ってみました。
サナギは1週間ぐらいで羽化をするそうなので、もしかしたらその瞬間を見られるかもしれないと思ったからです。

結局羽化の瞬間は見られませんでしたが、殻から抜け出て間もないテントウムシに出会いました。
羽化直後は黄色で、3時間ぐらいで模様が出てくるようです。


周辺にはもうサナギ達の姿はありませんでした。
今頃立派なテントウムシとなって、アブラムシを探している事でしょう。

わずか数日のテントウムシ達の劇的な変化。
運良くそこを通りかかり気づいた者だけが、目にすることのできるドキュメンタリー。

大島には映画館はないけれど、映画以上に面白い自然の物語が身の回りに沢山あります。
いや~、良い場所に暮らしているのだな~と思いますね。

(カナ)


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ある日の出来事・・・

2010年06月09日 | その他
今、陸ガイドチームの主要メンバーのお一人が、ダイビング講習を受けられています。
「わ~ぃ!仲間が増えるぞ~・・・」と、チョット嬉しい気分です。笑

大島は陸の自然も素晴らしいですが、当然周りは海。
海の中の自然も、楽しまない手はありません。

色々な生物との出会いは勿論、生き物達の生活を垣間見るのも楽しいものです。

でも、活動の場は水中と言う特殊な世界。

器材の取り扱いや水中環境から受ける様々な影響は勿論
海という自然についても色々と知る必要があります。
特に、流れや波はとてもダイバーの活動に影響します。

さてそこで・・・下の写真ですが何かお気付きになりますか?

ちょっと判りづらいかも知れませんが、沖の水面がざわついています。
風は、殆ど吹いていない状態です。

これは、上とは違う場所です。沖の一定の場所だけ波立っています。

実はこの2枚、水中の流れを撮ったものです。

陸上から水中の流れを読むのは中々難しいのですが
場所によってはこんな風に判る場所もあります。

何故?こんな変化が起きるかと言うと
潮の流れが強い時、水中の地形によって水流が水面に持ち上げられ
風も無いのに波立ったり、水面がザワザワと怪しい雰囲気を漂わせるのです。

こんな時は、潜水前にちょっとした心構えや準備が必要となります。
そんな事も講習では勉強するのです。


さて以前、あるグループをガイドしていた時
「え~ぇぇっ!!!」と、叫びたくなる出来事が起きました。

ベテランさんや初心者さん10人のチームだったのですが
リーダーも居て統率の取れたチームだった事もあり、ある沖のポイントへ潜りに行きました。

沖の根で15分程遊び砂地を岸へ戻り始めると、段々潮の流れが速くなってきました。

こんな時私達は、砂地にナイフを突き立てたり点在するゴロタ(砂地に出た小さな岩)に摑まりながら進みます。
しかし、フィンキックの弱い女性や初心者の方は、それでも中々進み辛いものです。

そんな中、
皆、海底を這う様に何とか付いて来ていたのですが、ついに一人の女性が前に進めなくなってしまいました。

仕方なく私は、その女性の所まで戻り引っ張る事にしました。

手を握り何とか先頭まで戻ったのですが、突然前に進めなくなってしまったのです。
振り向くと、何と!後ろに伸ばした女性のもう片方の手に男性が・・・
そして、その男性のもう片方の手にはまた違う人が!何と!10人全員が手を繋いでいたのです。

何を勘違いしたのか?一列になった10人が皆潮上に向かい鯉のぼり状態になっていました。
こうなると、いくらパワーに自信のある私でも引っ張れる訳がありません。

予想外の展開に腹を抱えて笑いたかったのですが、チョットした緊急事態にエアーの無駄遣いはできません。
急いで手を切り離させ、何とか無事に岸へと辿り着いたのでした。

いや~、チームワークの良さが為せる技だったのでしょうか?
それとも女性が可愛いかったから・・・?

まぁ、いずれにしても、フィールドで遊ぶ時、自然の変化に対する心構えは大事ですね。
その点、海も陸も同じですね。

文・画像  海チーム K/Y
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弘法浜で見た植物

2010年06月08日 | 植物
 先日西谷の日記で、万立浜で見られる植物が紹介されました。
私もちょうど、海岸で見られる植物が欲しいと思っていた所です^^
という事で、もう少し、海付近で観察出来るものをご紹介しましょう。

私のホームグラウンドは元町近くにある弘法浜。
そこは砂浜が広がる所なので、万立て浜付近とは違った風景に感じられます。


まず、ハマダイコン。
もう、1ヶ月ぐらい前から咲いていたっけな。
まだ咲いているのがありました。
ほとんどは

こんな感じで種になっています。
ハマダイコンは本当に引っこ抜くとダイコンが出てくるのですよ^^
とてもとても小さいですが、おつけものにして食べる事も出来ます。
紫のかわいい花もそれごと食べるとダイコンの味がします。

種がたくさん出来るので、家に持ち帰って庭に植えてみた事がありますが、つかなかったのは海岸じゃないからなのかなぁ?

次に

テリハノブドウ。
葉が照ってないのがシチトウエビヅルで実は食べられるのですが、こちらの
テリハノブドウは残念ながら美味しそうな見た目とは逆に、食べられません。

どちらも同じような環境で、同じタイミングで勢力を伸ばして(蔓を伸ばす)くるので、
「どっちがどっちだっけ??」と悩みます。
ので、実が熟してもうかつに食べる事ができません(T_T)


それから、

この日記でも何度か出てきているハマゴウが群生しています。
バーベキューの時なんかに一緒にちょこっといぶすと虫よけになる、という事で
重宝する葉っぱです♪
花の時期ではないけれど、今の時期もとても良い香りが漂っていますよ!

最後に

ギシギシが少し前に花を付けたと思ったら、もう実になっています。
今、パームラインを歩くとあちらこちらでハチジョウイタドリに混じってこのギシギシの穂が見られます。
おや~~~?
この大量に種をつける感じとか、翼がついている感じとか、
イタドリにそっくりではないですか!?

「熟すと褐色に変わる」と、伊豆大島の植物図鑑に書いてあります。
上の並んだ写真、左ができたて、右が熟した状態ですね。
そしてまた種をたくさん飛ばして分布を広げていくのでしょう。

ちなみに、これも食べられる植物です^^
と言ってもこんなに成長しちゃったらもうダメ。
春さきに若い芽が出てきた頃に摘んで、かなりマメに房をはがしたりするらしいです。
ヌメリがあって、お浸しで食べたりするようです。
今年は逃したので、来年やってみたいなっ。

浜辺にはまだまだご紹介したいものがいっぱいあります^^
また次の機会に、続きでご紹介したいな、と思っています♪

(友)
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山開き

2010年06月07日 | 歴史・文化
6月1日三原山山開き
元町の三原講の様子です。8時吉谷神社に集合足の悪い方の為に階段下より参拝。
白装束、杖、鈴かりん、足元は地下足袋の方も居ました。(様になっていてかっこいいな)




赤門ホテル内に有る為朝神社に参拝。




三原山5合目にある六地蔵に参拝。道から少し坂道を登ったところに有ります。(階段では無いので足元注意ハイヒールでは行けません)

何回か見たことがあるのですが、
これがまたイケメン
ボーとして写真撮り忘れてしまいました。


これまでの移動は車で三原山駐車場から歩きます。しかし、足の悪い方は本日特別に車が三原神社まで通ることができます。
ここからは野増、岡田地区の方も集合人数が増えました。




10時  お祓い
    玉ぐしの奉てん


私達一般の人はこれで終わり。各地区の三原講、富士講の人達は歌の茶屋にて歓談各地区の手踊りと歌の披露(以前お邪魔して拝見いたしました)があります。


6月15日は行者祭が有ります。行者窟のある海岸で行われます。10時からですのでみなさんご覧ください。



あと一言

我が家の入り口の木を切りました。
そしたら、去年の(たぶん)アケハ蝶の蛹の抜け殻がいくつか出てきたした。こんなところで蝶になっていたなんてもっと良く探すべきでした。


羽化した時の脱出口がわかりますか?

こちらも元気に飛びたてたようです


今年の子も今2匹確認出来ました。無事アゲハになれるといいのですが。(既に1匹ハナグモに引かれていきました)涙                 (しま)


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夜の森の虫たち

2010年06月06日 | 
先日、嶋田、鴻池、私の3人で、ナイトエコツアーの下見に行ってきました。
今日はその時の報告です。

星空の綺麗な夜でした。
森から響く「ボー、ボー」という鳥の声に迎えられ、何かワクワクした気持ちで歩き始めました。

まず、私達が最初に盛り上がったのはこれです。

まるで枝そのもののナナフシモドキ。
どこにいるかわかりますか?(ちょっと画面からはみ出てますけど…)

広葉樹の葉を食べていたらしく、葉の上に2匹付いていました。
昼ほど擬態の必要が無いからか、結構わかりやすい状態で葉に乗っていました。

次にクズの葉の縁がレースみたいにギザギザになっているのを見つけました。

お、これは有名な芸術家の仕業では…?

芸術家発見!

先日の鴻池の日記にも登場したコフキゾウムシです。
2ペア交尾中でした。

おや?
綺麗な模様のダンゴムシ。

こんな派手なダンゴムシは見たことがありません。

調べたら、オカダンゴムシという、私達が普段「ダンゴムシ」と呼んでいる種類でした。
メスはこういう黄色いマダラ模様が出るようです。

それにしてもクッキリした美しい模様ですね。
このとびきり派手な衣装は、繁殖の時期と関係があるのでしょうか?(それとも個体差?)

草の上にはこんな虫。
「ゴキブリじゃないの?」と言いつつ一応写真を撮って調べてみたら、
ただのゴキブリではありませんでした。

その名も“モリチャバネゴキブリ”

“森”が名前の前に付くだけでもタダものではない感じがします(笑)。
胸にある2本の黒い模様が下部で寄っているのが“モリ”の特徴なのだそうです。

家の中に出る(と言っても大島では見たことがありませんが)チャバネゴキブリと違い、
このゴキブリは生涯自然の中で暮らすそうです。エライ!

アジサイの茎ではオオツマキカメムシと思われる者たちが5組も集団で交尾していました。


銀色に輝くエビグモの仲間と思われるクモ。

葉の上を歩きまわって餌探し?

そして最後に、一番衝撃的だったのが、こちら。

白い紐のような長いものが何本も、ユラユラ、ユラユラ、生き物のように動いているのが
ライトの光に浮かび上がったのです!

「なにあれ~?」かなり怪しい…。

怖々近づいて見てみたら、どうやら白いものは生き物ではなさそうでした。

正体を調べるように他のスタッフから仰せつかり、一番小さな塊を持ち帰りました。
そして、翌日、太陽の光の下で虫メガネを覗いてみたら…。
見たことのない虫が、お尻から水滴と白い糸を出しているではありませんか!!

またまた覗いてしまった、虫ワールド!
一体誰で何のために白い糸を出しているのでしょうか??

正体はクワキジラミというカメムシ目キジラミ科の幼虫でした。
白い糸は幼虫が分泌するロウ物質のようです。

このロウ物質は病原菌から身を守る効果があるともいわれていますが、
身にまとっているならともかく、お尻から長く伸ばして漂わせて
一体何の効果があるのでしょう?

人間をビックリさせる効果とか?(笑)

実はもっと色々な虫が出たのですが、きりがないので今回はこのへんで。

夜の森は、虫達が昼より安心して交尾や食事をできる世界です。
懐中電灯の光が照らしだす世界は、昼とは違う魅力に溢れていました。

来週も別の場所を探検しに行こうと、皆はりきっています。
なにか面白いもの、見つけに行かなくちゃ!

(カナ)
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ホトトギス

2010年06月05日 | 
ホトトギスがやって来ました。

今年の私の初確認(鳴き声)は5月21日でした。
去年は5月18日、一昨年は5月15日で伊豆大島には5月中旬ごろにやって来ます。
毎年毎年こうしてきっちりやって来る渡り鳥たち。
本人(本鳥?)たちにその気はないでしょうが、われわれ人間に季節を存分に感じさせてくれます。

でも感じるのは限られた人たちのようです。
数年前の初夏、ホトトギスが鳴いているときに「今鳴いているアレはナニ!?」と知り合いに訊かれて愕然としたことがあります。
そうか・・・興味のない人にとってはあの声もただの音でしかないんだ・・・と、かな~りショックを受けました。
私なぞは5月も10日を過ぎるといつ来るかいつ来るかと気が気じゃないんですけど。

ふと目を覚ました真夜中に
まだ夜が明けきらぬ早朝に
霧深く薄暗い真昼の深山に

あの声を聴けば「夏が来る!」と約束されるのに。

ま、世の中そんなもんでしょ(笑)



さて写真のホトトギスは一昨日の撮影です。
車で走っているときに、運よくスギにとまって鳴いているところを見つけました。
飛びながら鳴いているのはよく見かけます。
早いスピードで直線的にぴゅーっと飛んでいきます。
なかなかカッコイイです。


鳴き止んですまし顔。
黄色いアイリングと口元、足がアクセントです。



ホトトギスはカッコウやツツドリ、ジュウイチと同じカッコウ科の鳥です。
かれらは自分で巣を作って子育てせずに、それぞれ特定の鳥にヒナを育ててもらいます。
(この習性を『托卵』 たくらん といいます)
テレビの自然番組などでご覧になったことのある方もいると思います。

孵化したホトトギスのヒナは育ての親の卵や先に孵ったヒナを背中に乗せて巣の外に押し出してしまいます。
背中に触れるものを排除するようになっているんですね。
恐るべき本能です。

伊豆大島には他のカッコウ科の鳥は繁殖していないのでホトトギス天国です。
ウグイスやホオジロ、メジロが育ての親として利用されているそうです。
しかし私はまだその現場を見たことがありません。
いつか見てみたいですが、小さな巣にみっちり詰まっている1羽のホトトギスのヒナを見つけたらちょっと怖いかも~(笑)



こちらの写真は先月29日の撮影です。
オオシマザクラにとまっていました。
ちょこんとした足に萌えますな。



どちらの鳥も鳴いていたのでオスだとわかりました。
ホトトギスのオスとメスは外見では区別がつかないそうです。

しかしホトトギスには赤色型という赤味がかった個体がいて、それはどうもすべてメスであるというのです。
ならばホトトギスの赤っぽいのがいたらそれはホトトギスのメスかというと、ツツドリのメスにも赤色型がいて両者の識別は困難を極める、とありました・・・(汗)

あ、今の時期の大島にはツツドリはいないから赤っぽいホトトギスはメスってことにしちゃおうかな~?
いいんじゃない?
ぜひ見てみたいですね。



先月21日に確認してから毎日のように鳴き声を聴いているホトトギスですが、今年は特に数が少ないような気がします。
越冬の地でなにかあったのでしょうか?
かれらの越冬地は東南アジアやインドなどです。

渡り鳥は、その国の環境だけで生きているんじゃないんですよね。





今日出会った鳥たち(声のみを含む)
ウミウ、オオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、オオセグロカモメ、ウミネコ、トビ、コジュケイ、キジ、キジバト、ホトトギス、アマツバメ、ツバメ、イソヒヨドリ、ウグイス、セッカ、イイジマムシクイ、オオルリ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト



       がんま
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ムシの日

2010年06月04日 | 哺乳類、爬虫類、他
 暑くなりました!
 昨日は25度を越えて夏日でした。今日も夏日だったのでは?!

 今日は6月4日でムシの日。 (虫歯予防デーとも・・・)

 それでトップ画像は、ご近所のお家の壁に取り付けられている、虫のオブジェです。
子どもさんの作品で、なかなかいいですよね。

 虫の日にちなんで、今日見つけたカミキリムシの仲間をネタに日記をと考えたのですが、その正体が解明できず時間切れになってしまいました(汗)

 春から初夏は、虫たちの発生も活動も多く、活発で目立ちますから、最近このスタッフ日記も虫を題材にしたものが多くなりがちです。

 そこで、ちょっと目先を変えて、虫はムシでも虫偏の長ーいもの・・・。

 ヘビ。 お嫌いな方は、ここまでということで(笑)





【ヘビの抜けガラ】

 
 3メートル程の高い枝に掛かっているのは、ヘビの抜けガラです。ガサガサの梅の樹皮が脱皮に適しているようです。

 こんなふうに、木登りが得意で長ーい抜けガラを残して行くのはアオダイショウです。
 
 毎年。この紅梅の枝で何度か脱皮しているのですが、その脱ぐシーンは見たことがありません。
脱皮は夜中にするとか?! いつか見てみたいものです。


【若いアオダイショウ】


 成体は2メートル程の長さになりますが、こちらは、まだ45センチの若者。

 昨日の夕方出合ったアオダイショウの若い子です。キレイですね。1才くらいでしょうか?
アオダイショウは、「青大将」と書きますが、アオウミガメと同様、「アオ」はブルーではなくグリーンのことです。

 まだらな暗褐色の模様が、はっきりしているのが若いアオダイショウの特徴で、成体になって緑色味が加わると、模様が明らかでなくなり暗灰緑色になります。

 アオダイショウの白化変種をシロヘビと言って、天然記念物にしているところもあるそうです。
 


 目が、とてもかわいいです。

 実は、この子、ほとんど外傷らしい外傷もなく、近くの道に横たわっていました。

 死んでいます。 どうしたのでしょう? 交通事故でしょうか???

 埋めてやりました(涙)



【幻のヘビ、シロマダラ】


 同じくヤマカガシ科のヘビです。こちらは、元気でした!

 個体数が少なく、習性はよく知られていないようですが、先週、我が家へ迷い込んで来ました。
類は友を呼ぶでしょうか?(苦笑) 来る者は拒まず、特別室で接待致しました。

 シロマダラは、北海道にいないものの、日本の特産種だそうです。


【シロマダラ】
体鱗17列、腹鱗199~214、尾下鱗68~75、上唇鱗8、前眼鱗なく、肛鱗2分する。

【アオダイショウ】
体鱗23列(中央部)、腹鱗224~244、尾下鱗99~122、肛鱗2分する。



 ヘビたちは、こんなふうにウロコの数をキッチリ数えられているんですが、毒がなくても気軽には触れません。 

 ヘビは、自然・環境の守り神。あまり触れずにおくのがいいと思います。

 

 明日は世界環境デー。


 (なるせ)

 後記:元スタッフの天野獣医師よりチェックが入りました。
  
 最近の調査によると、北海道にもシロマダラが局所的にいるそうです。
そして、北海道の離島には昔から生息が知られていたそうです。
お詫びして訂正させて頂きます。
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万立浜の花たち

2010年06月03日 | 植物
今日は仲間内でナイトツアーの下見に行ってきました。
夜の森はまたまた虫達の世界でした!

しかし正体不明の虫も多く、調べるのに時間がかかりそう…なので
今回は昼間に歩いた万立浜付近の植物を報告します。

今日は晴天で海も静か。絶好の散歩日和でした。

海岸の上の芝生広場で一番目につくのがハマボッスの白い花です。

茎のトップに可愛い花をつけ、あちらこちらで塊になって咲いています。
真上から眺めると本当にきれいです。

下の方の茎にはもう沢山実ができています。

ハマボッスは茎をのばしながら常にトップに花をつけるので、一見いつも同じ花が咲いているようですが、
じつは咲き終わった花は次々に実となり、新しい花に一番良い場所を譲っています。

花が2mmぐらいしかないツメクサも開いていました。

ツメクサは早朝や夕方は花を閉じてしまうのですが、今日は青空の下で思い切り、
めしべ、おしべを伸ばして、虫を誘っていました。
小さな体で精いっぱい自己主張しているような姿が、何ともいえず可愛いです。

やさしいピンク色のハマヒルガオ。

やはりヒルガオには太陽と海が似合いますね。
1日しか咲かず、夕方には花を閉じてしまいます。

ハマヒルガオというと砂浜をイメージしますが、万立浜では、
自分より背の高い草の隙間をぬって道路に這いだし、花をつけています。
でも、最近少し数が減ったような…。

また、この浜ではノアザミを数株観察することができます。
大島で見られる唯一の春咲きのアザミです。

ノアザミは全国にふつうに生息するようですが、大島では数が少なく、
限られた場所でしか見かけないような気がします。

一見秋に見かけるイガアザミとそっくりですが、
総苞片と言われる花弁を包んでいる部分を見ると全然違うので、すぐわかります。
イガグリみたいなイガアザミに比べて、ノアザミはがカップ型でおとなしそうなのです。


そして最後に朝も夕方も可愛い花を楽しませてくれるミヤコグサ。
春から秋まで、かなり長い期間花を咲かせます。

めしべやおしべは合わさった花弁の中でさらにもう1重包まれ、大事にしまわれています。


昆虫が止まると花粉が押し出される仕組みになっているようですが、
昆虫になったつもりで指を乗せてみても、どうもうまくいきません。

こんど、虫から学ばねば~。

海沿いも山も次々に色々な花が咲き、どこを歩いていても本当に楽しいです。
明日はどこを歩こうかな?

(カナ)

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梅雨になると・・・

2010年06月02日 | 海の生物
早いものでアッと言う間に6月・・・6月と言えば梅雨・・・梅雨と言えば雨・・・
雨と言えば “アメフラシ“ (強引に持ってきてしまいました。)



ダイバーでなくても、この名前をご存じの方は多いと思います。
この名前の由来を調べると、“体内から出す紫色の液体が、水中で雨雲の様に見えるから“とありました。
私はてっきり、梅雨時に姿を現すので付けられた名前かと思っていたのですが、どうやら違っていたようです。

この液体、以前“癌の薬に利用できるのではないか?と研究が進められている”との記事も読んだ事があります。
その後、研究はどうなったのか?気になるところですね~。

さて横道に逸れましたが、この季節海の中には、数センチから数十センチにもなる色々な種類の“アメフラシ”が沢山発生します。
一部はタイドプール等にも入り、磯遊びに興じる子供達や一般の方達も目にする機会が増える事でしょう。
磯を歩いていて、知らずにグッニョッ!としたモノを踏み付け、更に紫色の液に驚かれた方も居るかも知れません。

これからが本格的な繁殖シーズンに入り、あちらこちらの浅場で交接をしています。
しかも雌雄同体の彼ら、何匹もが数珠つなぎになっている事も珍しくありません。
多い時には、7~8匹が連なっている事も有ります。

アメフラシに対するダイバーの反応は「キャ~気持ち悪い~!」と言う方が殆ど。
でも中には、とても気に入って「連れて帰りた~い!」と言う方もいらっしゃいました。

あまり注意深く見る人は少ないのですが、可愛いグリーンの目も有ります。



しかし、殆ど光を感じる程度で、実際にモノを見る役割は果たしていない様です。

さてアメフラシの仲間にウミウシと言うのが居ます。
こちらはアメフラシと違って、色や形も可愛いモノが沢山居ます。
ウミウシ好きのダイバーも多く、良い被写体となっています。

これは“ニシキウミウシ”
カラーバリエーションが多く、10cm以上の個体もいます。



“トゲトゲウミウシ“ 
手荒く触ると、この突起が取れてしまう事もあります。



“バライロマツカサウミウシ”
黄色いツブツブは卵、このホスト(アカガヤ)以外の所で見た事が有りません。



“アオウミウシ“ おそらく交接中



“キイロイボウミウシ“ 交接中
見辛いですが、2匹の間に透き通った交接管が判ると思います。



さて、広い海の中で動きの遅い彼ら、よく繁殖相手を見付けるものです。
以前は不思議でなりませんでした。

どうやら彼らは、自分の通った後に航跡を残している様です。
ナメクジが這った後にテカテカ光る筋が残りますが、あれと同じ様なものでしょう。

繁殖期になると仲間の残したシグナルを探して、相手を見付けるのです。
数少ないチャンスを逃さない為、雌雄同体という技?も身に付けたのかも知れません。
凄いですね。

文・画像  海チーム K・Y
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