秘密保護法 安倍政治 軍事優先には「ノー」を 12月08日(日)
特定秘密保護法の成立は、安倍晋三政権による実質的な憲法改定作業が始まったことを意味する。
自民党が昨年春に発表した改憲草案を読めば、どんな方向を目指しているか、見えてくる。
ひと言で言えば、国家と国民の関係の逆転だ。国を上に、国民を下にしようとしているのだ。
国民の「知る権利」は、憲法21条の「表現の自由」の中で保障されている。一方、自民の草案はこれに制限を加えた。
<実質改憲を許すな>
表現の自由を保障するとした上で「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」などは認めないとの項目が入る。
国民の権利より国家が優先するといっているようなものだ。秘密指定を勝手にでき、政府に都合の悪い情報を隠せる秘密法と重なりはしないか。秘密法は改憲の先取りと考えていい。
秘密法をめぐっては市民の反対が日増しに高まったのに、採決強行を重ねた。安倍首相の衣の下のよろいがはっきり見えた。憲法の根幹を揺るがす荒っぽい政治を傍観しているわけにはいかない。次なる一手に目を光らせ、異議申し立てをしっかり行いたい。
実質的な改憲は序章に入ったにすぎない。次は歴代政府が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使容認である。
米国など緊密な関係にある国が攻撃された場合、日本に対する攻撃とみなして反撃する権利のことだ。これを認めると、「専守防衛」の自衛隊は縛りを解かれ、海外でも戦える普通の軍隊になる。他国が始めた戦争に巻き込まれる危険性が高まる。
<安保基本法の危うさ>
安倍政権は来年早々の通常国会以降、集団的自衛権の行使に法的根拠を与えるため、国家安全保障基本法案や集団的自衛事態法案を国会に提出することを考えている。これらが施行されれば、戦争放棄をうたった憲法9条が空文化するのは間違いない。
自民党が昨年発表した安保基本法の概要には驚かされる。党のホームページでも読める。今すぐにも目を通してほしい。
「国は、教育、科学技術、建設、運輸、通信その他内政の各分野において、安全保障上必要な配慮を払わなければならない」「国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」(第3条)
「国民は、国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し…」(第4条)
「配慮」などとソフトな言い回しを使っているが、この通りの法律ができれば国は教育や生活、経済などあらゆる面で統制を強める可能性がある。国が国民を戦争に駆り立てていった戦前の状況をほうふつさせる内容だ。
秘密法など有事絡みのさまざまな法律が組み合わさっていくことで、国民の暮らしよりも軍事を優先する国へと変わる懸念が拭えない。国際社会から認められてきた「平和国家」は名実ともに幕を閉じるかもしれない。
安倍首相は憲法そのものを変えることを目指していた。高い支持率を追い風に突き進もうと考えていたに違いない。けれど、国内外からの改憲への反発は思いのほか強かった。そこで憲法に手を付けるのは後回しにして、改憲を実現する方法を考えたのではないか。憲法より下位の法律で外堀を埋める作戦である。
近代国家の多くの憲法は政府などの権力を縛る「立憲主義」に立脚する。日本国憲法もそうだ。自民草案は逆向きで国民の義務や責務を強調する。権力が守るべきは憲法―との意識が薄い。
このまま有事関係の法律が次々に整備されれば、憲法を改正しなくても自民草案の狙いが実現していくだろう。
麻生太郎副総理がこの夏に語った言葉を思い出す。
「(ドイツの)ワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」
戦前のドイツで権力を掌握したナチスに言及する中で語ったものだ。厳しい批判を浴びて麻生氏は発言を撤回したけれど、安倍政権のやり方はこの言葉に倣っているように思えてならない。
<憲法あっての平和だ>
国民主権の憲法を手放してもいいのか、軍事優先の国にしていいのか―。厳しい問いが突き付けられている。政治に無関心ではいられない状況だ。
今日の日本の平和は先の大戦の多大な犠牲と加害の反省の上にある。戦後の日本人が戦争で血を流さず、他国の人の命を奪わずにすんでいるのは憲法が歯止めをかけているからだ。憲法によらず国の方向を変えるのは許されない。一人一人が「安倍政治」の本質を見極める時期に来ている。
特定秘密保護法の成立は、安倍晋三政権による実質的な憲法改定作業が始まったことを意味する。
自民党が昨年春に発表した改憲草案を読めば、どんな方向を目指しているか、見えてくる。
ひと言で言えば、国家と国民の関係の逆転だ。国を上に、国民を下にしようとしているのだ。
国民の「知る権利」は、憲法21条の「表現の自由」の中で保障されている。一方、自民の草案はこれに制限を加えた。
<実質改憲を許すな>
表現の自由を保障するとした上で「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」などは認めないとの項目が入る。
国民の権利より国家が優先するといっているようなものだ。秘密指定を勝手にでき、政府に都合の悪い情報を隠せる秘密法と重なりはしないか。秘密法は改憲の先取りと考えていい。
秘密法をめぐっては市民の反対が日増しに高まったのに、採決強行を重ねた。安倍首相の衣の下のよろいがはっきり見えた。憲法の根幹を揺るがす荒っぽい政治を傍観しているわけにはいかない。次なる一手に目を光らせ、異議申し立てをしっかり行いたい。
実質的な改憲は序章に入ったにすぎない。次は歴代政府が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使容認である。
米国など緊密な関係にある国が攻撃された場合、日本に対する攻撃とみなして反撃する権利のことだ。これを認めると、「専守防衛」の自衛隊は縛りを解かれ、海外でも戦える普通の軍隊になる。他国が始めた戦争に巻き込まれる危険性が高まる。
<安保基本法の危うさ>
安倍政権は来年早々の通常国会以降、集団的自衛権の行使に法的根拠を与えるため、国家安全保障基本法案や集団的自衛事態法案を国会に提出することを考えている。これらが施行されれば、戦争放棄をうたった憲法9条が空文化するのは間違いない。
自民党が昨年発表した安保基本法の概要には驚かされる。党のホームページでも読める。今すぐにも目を通してほしい。
「国は、教育、科学技術、建設、運輸、通信その他内政の各分野において、安全保障上必要な配慮を払わなければならない」「国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」(第3条)
「国民は、国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し…」(第4条)
「配慮」などとソフトな言い回しを使っているが、この通りの法律ができれば国は教育や生活、経済などあらゆる面で統制を強める可能性がある。国が国民を戦争に駆り立てていった戦前の状況をほうふつさせる内容だ。
秘密法など有事絡みのさまざまな法律が組み合わさっていくことで、国民の暮らしよりも軍事を優先する国へと変わる懸念が拭えない。国際社会から認められてきた「平和国家」は名実ともに幕を閉じるかもしれない。
安倍首相は憲法そのものを変えることを目指していた。高い支持率を追い風に突き進もうと考えていたに違いない。けれど、国内外からの改憲への反発は思いのほか強かった。そこで憲法に手を付けるのは後回しにして、改憲を実現する方法を考えたのではないか。憲法より下位の法律で外堀を埋める作戦である。
近代国家の多くの憲法は政府などの権力を縛る「立憲主義」に立脚する。日本国憲法もそうだ。自民草案は逆向きで国民の義務や責務を強調する。権力が守るべきは憲法―との意識が薄い。
このまま有事関係の法律が次々に整備されれば、憲法を改正しなくても自民草案の狙いが実現していくだろう。
麻生太郎副総理がこの夏に語った言葉を思い出す。
「(ドイツの)ワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」
戦前のドイツで権力を掌握したナチスに言及する中で語ったものだ。厳しい批判を浴びて麻生氏は発言を撤回したけれど、安倍政権のやり方はこの言葉に倣っているように思えてならない。
<憲法あっての平和だ>
国民主権の憲法を手放してもいいのか、軍事優先の国にしていいのか―。厳しい問いが突き付けられている。政治に無関心ではいられない状況だ。
今日の日本の平和は先の大戦の多大な犠牲と加害の反省の上にある。戦後の日本人が戦争で血を流さず、他国の人の命を奪わずにすんでいるのは憲法が歯止めをかけているからだ。憲法によらず国の方向を変えるのは許されない。一人一人が「安倍政治」の本質を見極める時期に来ている。