浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

反知性主義

2013-12-03 22:49:46 | 日記
 今ボクは「国学」を脱構築する作業に取りかかっている。なぜそれをとりあげるか、もちろんその背景に、現代日本の様相がある。現代日本の様相に非常な批判精神を持っているが故に、ボクは「国学」を俎上にあげるのだ。

 そして現在の様相を貫くことばは、反知性主義ではないかと思い当たった。「国学」についても、本居宣長は、『古事記』に記されていることはいかに荒唐無稽のことであっても、「信じる」という立場で『古事記』を「研究」した。理性的に、あるいは合理的に、批判的精神を発揮することはなかった。

 今、安倍政権がおこなうことは、すべて「反知性」的なことばかりである。そして安倍政権を支持する、たとえばネトウヨといわれる面々は、知性のかけらもない姿をさらしている。あの在特会のデモで叫ばれていることばは、これ以上汚い言葉はないような、悪罵で覆われている。

 このような反知性主義は、「国学」に発して、1930年代にもういちど台頭し(たとえば「浪漫派」)、そして2010年頃にまた台頭してきている。理性的、合理的に考えることをしないで、とにかく「(盲目的に)信じる」という姿勢は、何も見えない「暗黒」のなかに入り込んでいくということである。そして確かにそういうところへ入り込むには「勇気」というか「無謀」というか、そういう意志が必要なのだろうが、今はこのような雰囲気があるように思う。

 現在を特徴付けることばは、「反知性主義」である。

 そして次に考えることは、この「反知性主義」とは、どのように闘えばよいかということだ。これはきわめて難しい。その答えを、とにかく探し出すしかない。

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軍事オタクの石破への批判

2013-12-03 17:25:04 | 政治
 自民党支持者のあいだで、石破に人気があるということを聞いたが、驚くべきことだ。こういう反民主主義的人間に人気が集まる時代的風潮に悲しさを覚える。
 さて石破への批判が社説で行われている。

 まず『東京新聞』。


「テロ」と石破氏 デモの重み感じぬ鈍さ  2013年12月3日

 デモ活動がテロ行為であろうはずがない。デモは有権者による意思表示の重要な手段で、憲法も表現の自由を保障する。デモの持つ重みを理解していないのなら、あまりにも鈍感で、政治家失格だ。

 政権与党の幹部が、国会周辺で繰り広げられているデモ活動をどのように見ているのか、本音がよくうかがえる発言ではある。

 自民党の石破茂幹事長が自身のブログに、デモ活動を「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思う」と記した。

 その後、「党の責任者として、行き届かなかった点があったことをおわび申し上げる」と陳謝。テロ部分の表現を「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思う」と修正したが、デモ活動を批判する姿勢は変えなかった。

 国会周辺のデモは「国会議事堂・外国公館等周辺地域の静穏保持法」や東京都の集会条例で規制されている。デモが憲法でその自由が認められた活動とはいえ、法治国家である以上、法律や条例を順守して行われるのは当然だ。

 そう考えると、特定秘密保護法案や原発再稼働に反対するデモ活動が、警備の厳重な国会周辺で今も行われているのは、法律や条例に違反していないからだろう。ベテラン政治家なら、その程度のことはご存じのはずではないのか。

 有権者にとって政治家や政策を選択する最大の機会は選挙だが、白紙委任をしたわけではない。政治が自分たちの思いと違う方向に進もうとしているのなら、声を上げるのは当然だ。

 石破氏は、デモ活動が民主主義社会で果たす役割をどこまで理解しているのか。政権与党の幹部なら、自らの政策への痛烈な批判と受け取るべきでなかったのか。

 石破氏の記述を見過ごせないのは、安倍内閣が国民の声に耳をふさぎ、特定秘密保護法案の成立を強行しようとしているからだ。

 この法案はテロの定義があいまいで、「主義主張に基づき、国家もしくは他人にこれを強要」する行為も、テロに該当するかのように読めてしまう。

 正当なはずのデモ活動が「主義主張を強要した」としてテロに認定され、取り締まりの対象になってしまうとしたら、そんな国家が民主主義体制と言えるのか。

 石破氏はデモに対する誤った認識を撤回し、自ら責任を明らかにすべきだ。種々の懸念が指摘されるこの法案が、廃案とすべき悪法であることは、言うまでもない。


 次は『毎日新聞』。

社説:秘密保護法案参院審議を問う 石破発言はなぜ問題か

毎日新聞 2013年12月03日 02時30分


 ◇民主主義への理解欠く

 自民党の石破茂幹事長が、特定秘密保護法案に反対する市民団体のデモ活動について、自身のブログで「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。

 石破氏は2日付で、テロの文言を撤回したうえで、おわびを掲載した。合法的なデモ活動をテロになぞらえて批判したのは、国民を代表する国会議員として極めて不適切だ。

 民主主義への理解を著しく欠くもので、野党7党が抗議声明を出したのは当然だ。

 ブログの掲載は11月29日付だった。議員会館の外で法案反対を大音量で叫ぶ手法について「多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはない」「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきだ」などと述べたうえで、テロに言及した。

 デモ活動は、憲法で保障された集会や言論の自由に基づく国民の権利だ。公安委員会に届け出て適切に実行されていれば、意見表明は基本的に自由である。民主主義の根幹に関わる重要法案で、国会や政府という権力に対するアピールは正当だ。

批判封じの体質が出た
 石破氏は、2日付ブログでテロと例えた部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めた。

 だが、この訂正にも賛成できない。石破氏の言う本来あるべき民主主義とは何か。石破氏は、議会制民主主義の下で、多数決の論理こそ民主主義の王道だと言いたかったのかもしれない。確かにそれは原則だが、国民は多数派にすべてを白紙委任したわけではない。多数決以外のさまざまな回路で、少数意見を反映していくプロセスこそが、望ましい民主主義の姿であるはずだ。

 だが、今国会での成立ありきの政府・与党からは、その姿勢がうかがえない。批判を封じる体質が石破発言につながっているのではないか。

 福島市で11月25日に開かれた衆院国家安全保障特別委員会の公聴会がそれを物語る。福島の人たちは、福島第1原発事故による過酷な被害経験を基に、法案に潜む危険を訴えた。与党推薦者も含む7人全員が反対や慎重審議を求めた。だが、衆院はその声をかみしめることなく、翌日に委員会、本会議の採決を強行した。

 振り返れば、法案は国民への説明責任というプロセスを軽視して提出された。安倍晋三首相が、先の参院選で十分に法案の内容を説明せず、国会の所信表明演説でも触れなかったことが端的に象徴している。

 石破発言でもう一つ気になるのは、政府・与党に反対する人々の行動とテロを結びつけるかのような感覚だ。石破氏は、訂正したブログで「(大音量のデモは)一般の人々に畏怖(いふ)の念を与える」と書いたが、国会前のデモの形容としては違和感がある。また、「整然と行われるデモや集会は、民主主義にとって望ましい」とも書いた。「整然と行われない」ものは、望ましくないのだろう。

憲法改正草案が背景に
 だが、何が整然かは受け取り方によって異なる。石破氏は、限度を超える大音量を強調したかったのかもしれない。そうだとしても、テロという過激な言葉を使って、反対者を切って捨てたところにおごりを感じる。米同時多発テロ以降、国際的にもテロという言葉が、敵対者排除の言葉として独り歩きする印象がぬぐえない。与党の実力者がそんな風潮に乗ったとも受け取れるのだ。

 反対者に対してテロという言葉を貼り付ければ、そこに議論の余地は生まれない。反対する者を許容しない度量のなさは、両者の溝を深めるだけではないか。

 民主主義や表現の自由に絡んで、よく引き合いに出されるのが「私はあなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という言葉だ。フランスの哲学者、ボルテールが述べたとされる。改めてその言葉を持ち出さねばならぬほど国会の姿勢は危うい。

 石破発言には、公共や公益を重くみる姿勢が強くにじみ出ていることも注目される。背景にあるのは、自民党の憲法改正草案だろう。

 草案は、表現の自由を保障した21条に「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、それを目的として結社をすることは認められない」と加える。こうした考え方は、法案にも通底している。

 たとえば、政府が強調する「知る権利」の保障だ。条文を読むと、取材行為が正当と認められる条件には、「もっぱら公益を図る目的」がなければならない。何が公益か、政府と報道の見解が対立する場面も想定される。そもそも、テロを定義した部分は「主義主張に基づき、国家や他人にこれを強要する」ことがテロと読み取れる。法案の条文には、もっと熟議を重ねなければならない箇所が多く潜んでいる。

 この法案は、内容も議論の過程も民主主義とは相いれない。
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