浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

地方都市・本・メディア

2015-03-08 20:12:03 | 
 今日夕方、浜松駅周辺に行った。本を買うためだ。岩波書店の『世界』は、すべての書店にあるわけではない。浜松では大きな谷島屋書店に行かなければ買えない。今までは、イトーヨーカドーに入っていた「熊沢書店」でも買えたのだが、イトーヨーカドーは撤退していった。大規模なイオンのショッピング街にある書店には、『世界』は売られていない。

 今日は、『世界』のほかに『創』も買った。その他『ニッポンの裁判』(講談社新書)も。

 『創』の「朝日バッシング後の新聞界の現状」を読みはじめて、そうだった、と思い出した。
 シャルリー・エブド事件の後、日本でも「私はシャルリー」というプラカードが掲げられた。しかし、1987年、朝日新聞阪神支局が襲撃され、新聞記者2人が殺傷された事件の時、同じような動きは起きたか、という柴田鉄治もと朝日記者の指摘にことばを呑んだ。

 そして後藤さんが殺害されたビデオが流されたとき、オバマ大統領の声明には「後藤さんは、報道を通じ、勇敢にシリアの人びとの苦境を世界に伝えようとした」とあった。あの安倍首相は、どういうことばを吐いたか。
 ケリー国務長官も「ジャーナリズム活動のリスクをゼロにすることはできない。唯一の方法は沈黙することだが、それは降伏だ」と語ったそうだ。
 彼我の差を感じる。

 この座談会で、柴田氏は古巣の『朝日』の現状に厳しい意見を言っている。「朝日新聞自身が全く萎縮してしまったように見える」、「他の新聞と比べると朝日の「迷走」ぶりが気になります」、「経営者に判断力がなくなっている」とか。

 もうボクは、小泉政権による郵政選挙の際の社説を契機に、親の代からずっと購読していた『朝日』をやめて『中日』に替えたので、『朝日』への期待度は低いのだが、それでも「慰安婦」報道検証以後の「朝日バッシング」は無視できないことで、「私は朝日」という立場を鮮明にしている。

 この座談会の中で、「異論を認めないのと同時に特定のメディアを叩くというのが第2次安倍政権のメディア政策の特徴です。叩く相手はテレビだとTBSとテレ朝だし、新聞だと今のところ琉球新報と朝日新聞」と指摘している。他方で、新聞・テレビの社長と何度も懇談している。

 第一位 フジテレビ 第二位 ネベツネ 第三位 共同通信の福山
 第四位 産経    第五位 日テレ、毎日・・・

 解説委員クラスだと 読売、時事通信、日テレ、そして評論家では田原総一朗が常連組だという。

 メディア幹部が犬のように尾を振って権力にすりよっている姿が目に見えるようだ。
 
 『創』4月号は、読むべきだとおもう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【本】星亮一『偽りの明治維新』(大和書房)

2015-03-08 12:38:13 | 
 今の首相は、長州人である。彼の縁者である岸信介、佐藤栄作もそうだ。ボクは、長州人が近代日本を歪めたと言っている。町田の住人もそれに賛同しつつ、しかし河上肇も長州だ、という。

 近代日本国家を薩摩と一緒になって建設してきたのが、長州である。その後の歴史については、薩長を正義とする認識が人口に膾炙している。しかしボクは、薩長が正義感のみに基づいて維新を行ったとは考えられない。「維新の元勲」といわれる者どもの個人的な虚栄や野心、残虐性などが、あまり歴史の表面に出てこない。

 さて、本書は、幕末維新期の福島・会津藩の動向を中心に論述されたものである。官軍となった者どもと徹底的に抗戦し、「賊軍」とされた松平容保以下の会津藩、その人びとにたいして、官軍・新政府がいかなる処遇をしてきたのかを見るとき、近代日本国家の本質を見ることができるのではないかと思う。
 会津戦争で官軍がどのような残虐行為を働いたのか、敗死した会津藩士らの骸をどう扱ったのか、そしてその後、会津藩士を下北半島に追いやり多くの人々を「自然淘汰」させた政策など、とても正義感をもった人びとの所業とはとても思えない。

 ボクは、現代の日本国家も、とうぜん近代日本国家(「大日本帝国」)と継続していると考えているが、そこに会津藩に対して行った冷酷な仕打ちを平然と行った者たちの「悪」が脈々と受け継がれていると思っている。

 だからこそ、維新変革がいかなるものであったのかを、もう一度見直してみる必要があると思う。維新変革が近代日本国家の本質を規定しているのではないかと、日本近現代史をふりかえり、最近の政治情勢をみつめるたびにそれを考える。

 本書は、その一環として読んだ。そういえば、町田の住人も山口県出身である。ただ本人は、悪いのは長門で、ボクは周防出身だという。

 本書は、図書館で借りた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする