浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

歴史のなかのことば

2015-03-17 13:34:30 | 近現代史
 次のような記事があった。

三原氏、八紘一宇は大切な価値観 参院予算委で紹介 2015年3月17日
 自民党の三原じゅん子参院議員(50)は16日の参院予算委員会で、日中戦争から第2次世界大戦にかけて、当時の政府が用いた「八紘一宇」を、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観だ」と訴え、今後の日本のあるべき姿として紹介した。17日付のブログでも、重ねて言及した。
 八紘一宇には「世界を一つの家とする」という意味がある。戦前・戦中には、天皇を中心とした日本の海外進出を正当化するスローガンとされた経緯がある。(共同通信)


 歴史的な用語としては、「八紘一宇」は、「天皇が世界を支配する」という大日本帝国の侵略を正当化することばとして、1930年後半頃から積極的に使用されるようになったものだ。まさに軍国主義国家日本が最盛期を迎えた時期のことばだ。「建国以来大切にしてきた」という言説には、この人の知的能力を疑うしかない。

 こういうことばを「大切にしてきた価値観」と考える自民党議員を擁する安倍自民党、まさに「宗主国」であり、戦勝国であるアメリカの精神を逆なですることになる。

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「私が適任」

2015-03-17 08:25:19 | 政治
 『中日新聞』の第一社会面には、トップで、知事が静岡県の教育長にしたい高木桂蔵氏の記者会見の記事があった。

 何と彼は「教育長には私が最も適しており、私以外にはできないと考えている」と話したという。これだけで、教育長としては不適任だと、ボクは思う。
自信過剰、傲慢とも言えるこの発言、知性のある人間は絶対にしない。

 記事によると、教職員・児童生徒・保護者らが交流する「先生の日」創設、教職員全員の修士号取得などを説明したという。教育現場では、学校により、教師により、忙しさにものすごい差がある。たとえば「先生の日」をつくり交流する場をつくるというとき、誰がそれをセッティングするのか。もしそれが学校であれば、忙しい教師はもっと忙しくなるだろう。仕事はいつも少数の教師に集中するからだ。そんなことより、教師に自主的に教材研究をする時間を与えよと、ボクは言いたい。

 高木氏には、評価される翻訳、研究があるが、しかしきわめて少ない。退職後の講演内容などは、底が浅いものがほとんどだ。研究者としては終わっている方とみていた。

 川勝知事が何故に高木氏を教育長にしようとしているのかよくわからない。
 
 溝口紀子教育委員長がこの選任になぜ疑義を呈したのかは知らないが、ボクも溝口氏の疑義を共有したい。
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認知症

2015-03-17 07:41:08 | 社会
 今月号の『現代思想』の特集は、「認知症新時代」である。周辺に認知症となっている者はいないが、ボクが農作業をしている畑のちかくに認知症の方々が入っているグループホームがある。一度ボクはそこを訪問して、認知症の方にどう対するかという講習を受けたことがある。

 またかつて初代プリウスに乗っているとき、バッテリーが急にダメになったことがある。初代プリウスはバッテリーがおシャカになった場合、無料で替えてくれるということになっていた。道端に車を止め、車運搬車を待ってるとき、ひとりの老人が疲れ切った顔をしながら歩いているのを発見した。

 「どうかしましたか」と家人が尋ねたら、「家が分からなくなって・・・」と話された。「お宅は何町ですか」などと質問するのだが、きちんとした回答がない。そこで警察に電話して迎えに来てもらうことにした。ほどなくパトカーが来て、「捜索願がでている方です」と警察官が連れて行った。

 この方も認知症だったのだろうが、認知症の方の「世界」について、教えられた論文があった。六車由美氏の「認知症の人の物語を共有する場として」である。認知症の方々の語る言葉のなかに新しい別の「世界」を認識するという話しである。

 現実はひとつではなく、認知症の人たちの見ている世界もまたひとつであり、だとすれば、認知症の人たちの世界を共にすることで、凝り固まった自分たちの世界もより豊かになるのではないか。

 認知症の人の世界を共有するいくつもの場が、それぞれの介護地域でできていけば、これからの介護はもっと豊かな深みをもっていくだろう。

 いくつかの具合的事例からこうした主張をされるのであるが、こういう見方もあるのかと教えられた。

 『現代思想』は、このように別の見方、知見を教えてくれる。脳の訓練のために、ボクは読み続けている。
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