本はどんどん出版される。なかには良い本も多く、それについていくのがやっとであるが、古い本にもよいものがある。この本もその一つ。
なかでも、なるほどと思ったのは、次のこと。
武田泰淳は中国戦線にも行ったことがある。中国についてはかなり詳しい。中国語もできる。その彼がこういうのだ。
中国は何度も他民族に支配されたことがある。漢民族は、たとえば清の時代なら満洲族を表面的に敬っていればよく、実は自分たちの考えでやっていけば良い、それで済むという考え方だという。他民族による支配を何度も経験しているから、他民族に対する対し方の訓練ができている、したたかさをもっているというわけだ。己を空しくすることもないのだ。
ところが日本は運良く、今まで他民族に支配されたことがない。だからその意味で「処女」なのだ、初めてアメリカに「強姦」されたその結果、政治家にも「だらしのない」奴がたくさんでてきた、と。
なるほど初めて支配されたので、それ以後ずっと一貫して、日本は己を空しくし、アメリカの「属国」となって忠勤を励んでいる。
それから武田は、「武器を持つと、ふつうの心理とはまったくちがったものになってしまう」と言う。それを受けて堀田は、「銃を持っていない人間は、自分たちの仲間ではない」として相対する、と。そして武田。「それは日本人がことにひどいと思うんだ。とうのはね、日本人というのは、いつでも外国人を恐れていて、おびえているんだな。そのおびえが反対に軽蔑するような形で現れてね、恐ろしいからやっつけるんですよ」。
武器を持ったことがないから何とも言えないが、武器を持つと人間は変わるんだろうなという想像はつく。そして外国人に対する「おびえ」か。
その「おびえ」は、実際には、白人に対する劣等感、有色人種に対する優越感となって現れるのだろうか。
図書館で借りた本である。
なかでも、なるほどと思ったのは、次のこと。
武田泰淳は中国戦線にも行ったことがある。中国についてはかなり詳しい。中国語もできる。その彼がこういうのだ。
中国は何度も他民族に支配されたことがある。漢民族は、たとえば清の時代なら満洲族を表面的に敬っていればよく、実は自分たちの考えでやっていけば良い、それで済むという考え方だという。他民族による支配を何度も経験しているから、他民族に対する対し方の訓練ができている、したたかさをもっているというわけだ。己を空しくすることもないのだ。
ところが日本は運良く、今まで他民族に支配されたことがない。だからその意味で「処女」なのだ、初めてアメリカに「強姦」されたその結果、政治家にも「だらしのない」奴がたくさんでてきた、と。
なるほど初めて支配されたので、それ以後ずっと一貫して、日本は己を空しくし、アメリカの「属国」となって忠勤を励んでいる。
それから武田は、「武器を持つと、ふつうの心理とはまったくちがったものになってしまう」と言う。それを受けて堀田は、「銃を持っていない人間は、自分たちの仲間ではない」として相対する、と。そして武田。「それは日本人がことにひどいと思うんだ。とうのはね、日本人というのは、いつでも外国人を恐れていて、おびえているんだな。そのおびえが反対に軽蔑するような形で現れてね、恐ろしいからやっつけるんですよ」。
武器を持ったことがないから何とも言えないが、武器を持つと人間は変わるんだろうなという想像はつく。そして外国人に対する「おびえ」か。
その「おびえ」は、実際には、白人に対する劣等感、有色人種に対する優越感となって現れるのだろうか。
図書館で借りた本である。