浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

警職法改悪反対闘争

2015-03-31 22:41:52 | 近現代史
 静岡県の運動史をまとめる仕事に関わっているが、ボクの担当の一つが1960年の安保闘争である。通常、こういう闘いは東京で展開されるのだが、いうまでもなく地方でも繰り広げられている。静岡県ではどうであったのかを調べなければならないのだが、なかなか進まない。

 今はその前哨戦として存在している警職法改悪反対闘争について書いている。執筆委員の方々に、一応見本として書いたところ、いろいろな注文がついてきた。そのなかに、なぜ警職法改悪法案が問題なのか、戦前の治安立法との関連から記すべきだという意見があった。

 こういうとき、法学部出身であることが幸いする。書庫に入り、それに関する文献をさがす。あったあった、宮内裕『戦後治安立法の基本的性格』(有信堂)。1960年に出版されたものだが、ボクは1971年の2刷りをもっている。

 そして『治安と人権』、『昭和の法と法学』(いずれも日本評論社刊、『法律時報』臨時増刊号)。学生時代に治安立法に関して関心を持っていたので購入したのだ。ページを繰ると、きちんと赤線が入っていたりする。ちゃんと読んだのだと、自分に感心する。

 ボクは、おそらく『法律時報』の臨時増刊号は、判例・学会回顧に関するものを除き、全部もっていると思う。そういえば、譲ってという声を聞いたことがあるが、それは無理というものだ。

 1978年刊行の『昭和の法と法学』をもう一度読み直そうと思い始めた。というのも、やはり安保法体系と憲法体系の矛盾について、歴史的にきちんと学ぶべきだと思っているからだ。しかしその執筆者のなかで、長谷川正安、家永三郎、本間重紀、島田信義、渡辺洋三など、すでに亡くなっている方もいる。戦後の民主主義法学を担ってきた人々も高齢化し、徐々にこの世を去っている。さびしいことだ。

 本題からはずれたが、警職法改悪案は、治安警察法と行政執行法、警察犯処罰令などの実質的復活で、警察(官)にフリーハンドを与え、治安維持のために身体の自由をも奪うことができるというものだ。そのとき、「デートを邪魔する警職法」などというコピーが流行し、激しい抵抗闘争が出現した。静岡県でも各地に活発な動きがおこり、また労働組合も戦前の「警察国家の復活」を阻止すべく果敢に闘った。国鉄労働組合も、特急や急行を止めて激しく抵抗した。

 その結果、警職法改悪法案は審議未了・廃案となった。その時の首相は,岸信介であった。岸政権が完璧に敗北した事例である。

 そのような闘いが、いつか再び日本に起こるだろうか・・・・?
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市長選

2015-03-31 00:15:54 | 政治
 市長選が始まった。浜松市には現在6つの区があり、それぞれに区役所がある。現市長は、浜松商工会議所などの要求に従って、区を減らそうとしている。区を減らして、それで浮いたカネで市民サービスを充実させると言っている。

 しかしそれはウソだ。

 浜松市は、商工会議所の要望をストレートに表す行革審の命令によって、人件費を削るために徹底的に市役所の吏員を減らしてきた。市当局はこういう、市役所の吏員は行政の中核的業務に従事する、と。他方窓口など、市民と直接対面するところは、非正規の職員などに対応させるようになっている。

 だが、行政というのは、市民と直接対面する中で問題点などが明らかになり、それを解決すべく次の対策が打てるようになるのではないか。市の吏員こそ、市民と接する場にいないといけないのではないか。

 すでに吏員を徹底的に減らしてきた浜松市は、区をなくしてもっと人件費を減らそうとする。

 だいたいにして、もし区を減らすことになったら、浜松市役所の駐車場は満杯状態なのに、もっと混雑するようになる。いったいどうするつもりなのかと思う。現在は区役所があって分散しているから、現状ですんでいるのだ。市民サービスは後退する。

 では現浜松市長は、人件費を削ってどういう市民サービスを充実させようとしているのか。その答えは簡単である。浜松市の財政支出の傾向を見れば良い。つまり、市民サービスというのは、市民は市民でも、企業へのサービスである。企業への補助金を増やしていくのである。あるいは企業が喜ぶようなところにカネを散布させるのである。

 浜松市ほど企業優先の都市はないのではないか。通常、基本計画を行政がたてるときには、たとえば「市民が暮らしやすい浜松市をつくる」というようなものが先に来るはずだ。しかし浜松市は、いつも「産業経済」が真っ先に来る。

 下記のサイトに行ってみればすぐわかる。重点戦略の戦略1が、これである。

 http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/totalplan/keiei_plan/chapter4-2.html

 市民生活より、まず「産業経済」、そのなかでも工業である。なんと言っても、浜松市にはスズキがあるから。スズキの言うことを聞いておきましょう、ということである。

 浜松市におけるスズキは、日本におけるアメリカに対応する。

 いつになったら、浜松市は市民主権を取り戻すのだろうか。
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