浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】猪野健治『テキヤと社会主義』(筑摩書房)

2015-03-15 21:06:57 | 
 テキヤ=香具師のなかにアナーキストがいたことを、少ない資料から浮かび上がらせようとした労作である。しかし、おそらく雑誌に連載したのだろう、重複箇所が眼についた。しかしこの種の研究書はないので、貴重な文献となるだろう。ただ論文ではないので、それぞれの歴史的事実を記述するとき、どのような文献に依拠したのかの記載がないので、後追い的に確かめることができそうもないことが残念である。

 ここに記されているテキヤのなかのアナーキスト・高嶋三治に関心を持つようになった。大杉栄らの権力による虐殺、それに対する復讐を図るギロチン社の仲間たち。彼らと連携しながら、たとえば浜松のテキヤから資金を獲得して、活動を続けようとする高嶋。

 しかし三宅正太郎判事との出会いから、情勢の悪化も原因となって具体的な運動からは離れるが、しかし心のなかでは生涯アナーキストだったようだ。

 ボクは、香具師というと、戦後警察と連携しながら浜松で朝鮮人を襲撃した(「浜松乱闘事件」)香具師集団のことを想起するので、まさか香具師のなかにアナーキストがいたなんて思いもしなかった。

 本書では、戦後の混乱期に、香具師などを朝鮮人と分裂対抗させた権力の「罠」にも言及している。

 最近、この「浜松乱闘事件」について書いたが、香具師の世界についてもっと知っておけば良かったと少し後悔している。

 本書は2000円+悪税である。公共図書館ではきっと買わないだろうと思って購入した。購入する価値はあると思う。あたらしい知見を得ることができる。


 
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読めそうもない本

2015-03-15 18:25:34 | 
 とにかくこの世界のすべて、森羅万象を理解したい、という願望を高校生の頃から持っている。だから、そのためにひたすら活字を追う。分野を問わない。

 アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。われわれは移民船のなかで純潔を失い、それを悔やんだことは一度もなかった。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。最初からないものを失うことはできないのだ。

 で書き出される本、『アムリカン・タブロイド』(上)を図書館から借りた。上記の出だしに関心を抱き、その通りだと思って借りたのだが、読もうという意欲が起きない。もっと時間があるときでないと、読み通せない。明後日返却しよう。

 来週は月一回ボランティアで行う講座の準備をしなければならない。そしてなぜか今、太宰治と心中した山崎富栄の本を読んでいるし(松本侑子『恋の蛍』光文社)。

 もちろん本ばかり読んでいるわけではない。晴耕雨読である。今日は半日畑にいた。周辺の畑仲間から次々と話しかけられ、なかなか仕事がはかどらない。しかしコミュニケーションを閉ざすべきでないから、流れるままに会話に従う。

 部屋のカーテンを替えた。
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東京中心

2015-03-15 15:25:20 | 社会
 北陸新幹線の開通というニュースが喧しい。こういうニュースを見ると、うっとうしくなる。というのも、東京から金沢まで何時間になり、簡単に行けるようになった、というように、東京中心のニュースであるからだ。

 東京以外の人間であるボクには、「それがどうかしたの?」と言いたい気分だ。

 だいたいなぜ東京在住者の視点からのニュースを、東京以外の人々が聞かなければならないのか。

 北陸新幹線ができた、これで富山や金沢は景気が良くなる、と思っているのだろう、しかしそうではない。おそらく今まで支社や出張所を北陸に置いていた会社が、そんなに短時間で行けるなら、支社をたたもうという気持ちにもなるだろう。

 そして北陸では、人口減少が進む。というのも、おそらく在来線が不便になるから。不便なところにあらたに住み着くような人は少ない。新幹線は、東京と主要都市を結ぶものであって、それによって地方は切り捨てられていくのだ。

 東京中心の交通網、情報通信・・・・・。東京一極集中はもっと進んで行くだろう。新幹線の開通は、それを促進するはずだ。

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