『中日新聞』記事。しかしこれは事実をそのまま書いたもので、書いた記者はあまり問題意識をもたないままに書いているようだ。しかし、株価が上がったからと言って喜んでいて良いのか。
この記事の後に、別の記事を挙げる。
東証、一時2万円台 15年ぶり、円安で資金流入
2015/4/11 朝刊
十日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が一時、二万円を回復した。二〇〇〇年四月以来約十五年ぶり。円安進行で企業業績が改善し、国内外の資金が市場に流入した。バブル崩壊後の長期低迷を経て、日本経済は再生に向け一歩前進した。足踏みしている個人消費の改善がデフレ脱却への鍵となる。
東京証券取引所第一部に上場する企業の株式時価総額は約五百七十三兆円と、バブル期の一九八九年十二月に記録した最高額の約五百九十兆円に迫った。ただ、金融緩和で余った資金が実力以上に株価を押し上げている面があり、経済全体の底上げが急がれる。
八九年十二月二十九日に三万八九一五円八七銭の史上最高値を記録した平均株価は、バブル崩壊や金融危機で下落傾向が続いた。二〇〇〇年のITバブルで一時持ち直したが、〇八年九月のリーマン・ショック後、十月の取引時間中に六九九四円九〇銭のバブル後最安値に落ち込んだ。
一二年十二月に経済政策「アベノミクス」を掲げる安倍政権が発足すると上げの勢いを増し、日銀が一三年四月に大規模な金融緩和を実施して上昇基調が定着した。金融緩和による円安で大企業の業績が回復し、設備投資や賃上げの動きが積極化した。
十日は、前日の欧米株の上昇を好感し買い優勢で始まった。一時二万〇〇〇六円〇〇銭の高値をつけた。その後は達成感から利益確定の売りが広がり下落に転じた。
終値は前日比三〇円〇九銭安の一万九九〇七円六三銭。東証株価指数(TOPIX)は四・六五ポイント安の一五八九・五四。出来高は約二十億四千五百万株だった。
上記の記事ではなく、ボクたちは下記のような記事をきちんと読まなければならない。
株価の上昇は、日銀や国民の年金の多額のカネが株式市場に流れ込んでいるからだ。それに乗して外国人投資家が、株価の上昇を期待して入り込んできている。しかし、今まで世界各地で起こったこと、入り込んできた外資がこれ以上株価があがらないと判断したときに一挙に株を売り抜けて去って行き、その国の経済をどん底に落としていったことが何度もある。おそらくそのようなことが必ず起きるだろう。となると、年金は消えてしまう。
そうなったとき、誰かが、たとえば安倍首相や黒田日銀総裁が責任を取るかというと、ぜったいにとらない。いつもその尻ぬぐいは庶民に課せられる。そういう時が、近い将来来るだろう。
日本は、どんなことが起きても、もっとも責任を負わなければならない者たちが責任を負わないし、またその責任も追及されない。
特集・連載 核心
官製相場 一時2万円台 恩恵乏しく格差拡大
2015/4/11 紙面から
10日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)が15年ぶりに2万円の大台を一時回復した背景には、政府や日銀が主導する「官製相場」がある。大手企業は円安や原油安を追い風に業績を順調に伸ばしているが、消費税増税の痛みが残る家計に株高の恩恵は乏しく、格差を拡大させている。
■通過点
「株高は消費者心理が明るくなるので、売り上げ増につなげたい」。名古屋市内の百貨店関係者は明るい表情で語った。この日の入店客数はここ数日と比べて、一割以上増え、店内もにぎわいを増していた。
平均株価はリーマン・ショック後の二〇〇八年十月には一時七〇〇〇円を割り込んだこともあっただけに、証券業界や投資家にも笑顔が広がっている。野村証券の若生寿一(わこうじゅいち)氏は「企業業績が回復して資金が潤沢になり、株主への配当や従業員の賃上げ、設備投資などに振り向ける好循環が生まれている。二万円は通過点にすぎない」と指摘。SMBC日興証券の阪上亮太氏も「二万円でも割高感はない」とし、年内に二万一〇〇〇円台まで上昇すると予想する。
■下支え
「日銀や公的年金基金による買いで株価が下がらない中、しびれを切らした海外投資家が高値でも日本株を買い始めている」。最近の株高の背景を、みずほ証券の三浦豊氏はこう説明する。
日銀は昨年十月末、追加金融緩和を決定し、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の購入額を年一兆円から年三兆円へと三倍に増額。年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、日本株の運用割合の引き上げを発表。日銀やGPIFなど「五頭のクジラ」とも呼ばれる巨額の官製資金を安倍政権が実弾として市場に放ったことで、「株価が下がっても、日銀などが買い支えてくれる」との安心感が広がった。
さらに世界的な金融緩和により、だぶついた海外の投資資金が日本に流入したことも追い風になった。UBS証券の大川智宏氏は「米国勢は、高値圏にある米国株や欧州株と比べて消去法で日本株を選んでいる印象。日本経済がそれほどいい状態ではないのに、上昇ピッチが速すぎる」と懸念を示す。
東京証券取引所によると昨年十一月から今月三日までの間、海外投資家は現物株と先物を計三兆円強、GPIFなど年金基金が運用を委託する信託銀行も一兆三千億円を買い越した。
■置き去り
二万円回復に対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は「政権発足から二年間で、よくここまで来たなという思いだ」と、アベノミクスの成果を自賛した。しかし日本経済のカギを握る個人消費は消費税増税後、力強さを欠いた状態が続く。
金融広報中央委員会(事務局日銀)の調査では、家庭が保有する金融資産は50%超が預貯金で、株式や投資信託などの有価証券は17%弱。百貨店では株高の恩恵を受けた富裕層が高級品を購入する姿も目立つが、多くの家庭に株高の実感は乏しく、消費刺激効果は限られているのが現実だ。
みずほ証券の上野泰也氏は「世界的なカネ余りと官製相場で日本株は実体経済よりも上振れしているが、実態との差が広がればバブルが崩壊しかねない」と懸念。「安倍政権は株価が上がりやすい政策には熱心だが、多くの国民や中小企業は置き去りにされている」と指摘している。
(東京経済部・大森準、名古屋経済部・桐山純平)
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東証、一時2万円台 15年ぶり、円安で資金流入
2015/4/11 朝刊
十日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が一時、二万円を回復した。二〇〇〇年四月以来約十五年ぶり。円安進行で企業業績が改善し、国内外の資金が市場に流入した。バブル崩壊後の長期低迷を経て、日本経済は再生に向け一歩前進した。足踏みしている個人消費の改善がデフレ脱却への鍵となる。
東京証券取引所第一部に上場する企業の株式時価総額は約五百七十三兆円と、バブル期の一九八九年十二月に記録した最高額の約五百九十兆円に迫った。ただ、金融緩和で余った資金が実力以上に株価を押し上げている面があり、経済全体の底上げが急がれる。
八九年十二月二十九日に三万八九一五円八七銭の史上最高値を記録した平均株価は、バブル崩壊や金融危機で下落傾向が続いた。二〇〇〇年のITバブルで一時持ち直したが、〇八年九月のリーマン・ショック後、十月の取引時間中に六九九四円九〇銭のバブル後最安値に落ち込んだ。
一二年十二月に経済政策「アベノミクス」を掲げる安倍政権が発足すると上げの勢いを増し、日銀が一三年四月に大規模な金融緩和を実施して上昇基調が定着した。金融緩和による円安で大企業の業績が回復し、設備投資や賃上げの動きが積極化した。
十日は、前日の欧米株の上昇を好感し買い優勢で始まった。一時二万〇〇〇六円〇〇銭の高値をつけた。その後は達成感から利益確定の売りが広がり下落に転じた。
終値は前日比三〇円〇九銭安の一万九九〇七円六三銭。東証株価指数(TOPIX)は四・六五ポイント安の一五八九・五四。出来高は約二十億四千五百万株だった。
上記の記事ではなく、ボクたちは下記のような記事をきちんと読まなければならない。
株価の上昇は、日銀や国民の年金の多額のカネが株式市場に流れ込んでいるからだ。それに乗して外国人投資家が、株価の上昇を期待して入り込んできている。しかし、今まで世界各地で起こったこと、入り込んできた外資がこれ以上株価があがらないと判断したときに一挙に株を売り抜けて去って行き、その国の経済をどん底に落としていったことが何度もある。おそらくそのようなことが必ず起きるだろう。となると、年金は消えてしまう。
そうなったとき、誰かが、たとえば安倍首相や黒田日銀総裁が責任を取るかというと、ぜったいにとらない。いつもその尻ぬぐいは庶民に課せられる。そういう時が、近い将来来るだろう。
日本は、どんなことが起きても、もっとも責任を負わなければならない者たちが責任を負わないし、またその責任も追及されない。
特集・連載 核心
官製相場 一時2万円台 恩恵乏しく格差拡大
2015/4/11 紙面から
10日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)が15年ぶりに2万円の大台を一時回復した背景には、政府や日銀が主導する「官製相場」がある。大手企業は円安や原油安を追い風に業績を順調に伸ばしているが、消費税増税の痛みが残る家計に株高の恩恵は乏しく、格差を拡大させている。
■通過点
「株高は消費者心理が明るくなるので、売り上げ増につなげたい」。名古屋市内の百貨店関係者は明るい表情で語った。この日の入店客数はここ数日と比べて、一割以上増え、店内もにぎわいを増していた。
平均株価はリーマン・ショック後の二〇〇八年十月には一時七〇〇〇円を割り込んだこともあっただけに、証券業界や投資家にも笑顔が広がっている。野村証券の若生寿一(わこうじゅいち)氏は「企業業績が回復して資金が潤沢になり、株主への配当や従業員の賃上げ、設備投資などに振り向ける好循環が生まれている。二万円は通過点にすぎない」と指摘。SMBC日興証券の阪上亮太氏も「二万円でも割高感はない」とし、年内に二万一〇〇〇円台まで上昇すると予想する。
■下支え
「日銀や公的年金基金による買いで株価が下がらない中、しびれを切らした海外投資家が高値でも日本株を買い始めている」。最近の株高の背景を、みずほ証券の三浦豊氏はこう説明する。
日銀は昨年十月末、追加金融緩和を決定し、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の購入額を年一兆円から年三兆円へと三倍に増額。年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、日本株の運用割合の引き上げを発表。日銀やGPIFなど「五頭のクジラ」とも呼ばれる巨額の官製資金を安倍政権が実弾として市場に放ったことで、「株価が下がっても、日銀などが買い支えてくれる」との安心感が広がった。
さらに世界的な金融緩和により、だぶついた海外の投資資金が日本に流入したことも追い風になった。UBS証券の大川智宏氏は「米国勢は、高値圏にある米国株や欧州株と比べて消去法で日本株を選んでいる印象。日本経済がそれほどいい状態ではないのに、上昇ピッチが速すぎる」と懸念を示す。
東京証券取引所によると昨年十一月から今月三日までの間、海外投資家は現物株と先物を計三兆円強、GPIFなど年金基金が運用を委託する信託銀行も一兆三千億円を買い越した。
■置き去り
二万円回復に対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は「政権発足から二年間で、よくここまで来たなという思いだ」と、アベノミクスの成果を自賛した。しかし日本経済のカギを握る個人消費は消費税増税後、力強さを欠いた状態が続く。
金融広報中央委員会(事務局日銀)の調査では、家庭が保有する金融資産は50%超が預貯金で、株式や投資信託などの有価証券は17%弱。百貨店では株高の恩恵を受けた富裕層が高級品を購入する姿も目立つが、多くの家庭に株高の実感は乏しく、消費刺激効果は限られているのが現実だ。
みずほ証券の上野泰也氏は「世界的なカネ余りと官製相場で日本株は実体経済よりも上振れしているが、実態との差が広がればバブルが崩壊しかねない」と懸念。「安倍政権は株価が上がりやすい政策には熱心だが、多くの国民や中小企業は置き去りにされている」と指摘している。
(東京経済部・大森準、名古屋経済部・桐山純平)