浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】瀬川拓郎『アイヌ学入門』(講談社現代新書)

2015-04-23 17:50:53 | 
 アイヌについては『アイヌ民族抵抗史』みたいな本は読んだことはあるが、アイヌ民族そのものに関するものは一度も読んだことがなかった。

 本書を読み、いろいろなことを知った。アイヌが「アイヌモシリ」としての北海道、そしてその北方とだけと交流しているという認識であったが、そうではなく古代から日本と密接なつながりがあったということがよくわかった。アイヌの伝説や民間伝承などにも、本土の人間たち(たとえば修験者)との交流が残されていた。

 アイヌという民族についての最先端の研究の一部が本書に記されているのだろうが、それまでの研究などについての認識が全くないので、すべてが驚くことで、みずからの無知を再認識させられた。

 あまり詳しい説明はできないけれども、本書を読んで、アイヌについての理解を深めなければならないと思った次第である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指定管理者制度の破綻

2015-04-23 08:55:59 | 政治
 浜松市内の学校給食が提供されない事態が続いている。

 旧浜松市内の学校給食は、自校方式で、市の職員が中心となって学校給食を提供してきた。しかし新自由主義的な行政経営が浜松市に積極的に導入され、「民間でできることは民間で」というかけ声よろしく、学校給食も民間に委託されるようになった。学校給食は公務員がやる仕事ではないとして、安い非正規労働者をつかう民間業者にやらせるようにしたのである。

 そしたら今年の3月、民間業者が、安い非正規労働を確保できないとして、委託された給食業務を辞退してきたのである。

 4月以降、当然給食が提供されず、弁当を購入して子どもたちに配っている状態だ。これがまだ続くという。

 他方、富士市は、学校給食を手放さない。誇りを持って、子どもたちに学校給食を提供している。だから関係者は、富士市の学校給食の素晴らしさを誇らしげに語る。未来を担う子どもたちに、安心で美味しい給食を提供することが、富士市の責任であると考えている。

 浜松市の安上がりの行政経営を優先する行政か、それとも市民に責任をもつ行政か。どちらを選ぶべきなのか、おのずから答えは明らかだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鹿児島地裁、川内原発差し止め却下

2015-04-23 08:22:14 | 政治
 裁判所は、原則的に国家権力を担う重要な機関である。したがって、鹿児島地裁の判決が、合理的な判決ということになる。どこの世界でも、ほとんどの人間は体制順応型である。そうしないとその世界で「出世」はしない。ほとんどの人は、大勢に順応し、権威にすがり、波風を立てずに生きていくことを選ぶ、いや選ぶのではなく、それが自然な生き方なのだ。
 支配層は、そういう庶民の習性を利用して、みずからの個別的な利害を貫徹していく。かくして、庶民は体制に順応することによって、支配層の個別的利害の担い手となり、支配層からの「おこぼれ」を頂戴して生きていく。

 福井地裁で、高浜原発の再稼働を認めない決定をだした裁判官は、きわめて良心的な人物であり、その決定を下したことによって裁判官としての「出世」を放棄したのである。みずからの立身出世とみずからの良心とを天秤にかけ、後者に軍配を上げた樋口裁判官は、まことに立派な人物である。

 だからこそ、鹿児島地裁の前田裁判官が下した決定と樋口裁判官が下した決定を比較すればよい、樋口裁判官の強い意志で行った学習の成果としての決定と、前田裁判官の九州電力の主張を「素直に」認め、九州電力の主張に沿った決定とを。

 下記にアクセスすれば、樋口裁判官の決定の全文が読める。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/%E6%B1%BA%E5%AE%9A.pdf

 前田裁判官の決定は歴史のくずかごに捨てられ、その後は顧みられなくなるが、樋口裁判官のそれは歴史の検証に耐える決定として、輝き続けるのだ。

 歴史の選択の前に謙虚に佇めば、おのれの選択は明らかだ。少数派かもしれないが、そういう選択が歴史を前に進めてきたのである。



 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする