浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】『平和憲法の深層』(ちくま新書)

2015-04-10 18:12:28 | 近現代史
 構成は以下のとおり。
第一章 平和憲法を見直す
第二章 憲法九条の深層
第三章 知られざる「平和憲法」
第四章 憲法研究会案の意義
第五章 真相から見えてきた「平和」

 第一章は、なぜ日本国憲法は議会ではなく「国会」なのか、なぜ日本国憲法には、アメリカ憲法のように国家権力の行動を禁止するような条文がないのか、「日本国民」とは誰か、について論じる。憲法九条の制定過程を考察するにあたっての準備運動のような位置にある。

 第二章は、本書の中核部分である。九条を誰がどのような経過でつくりあげていったのかを様々な資料によって詳細に跡づけていく。占領軍が示した「戦争放棄」だけの条文に、誰がどのように「平和」を組み込んでいったのかが明らかにされる。
 とくにここでは、九条と沖縄との関係に紙数をつかい、沖縄差別の源流を指摘する。

 第三章では、「平和国家」ということばの淵源とその使用のされ方に注目する。

 第四章は、鈴木安蔵らの憲法研究会の再評価である。ボクらは鈴木安蔵ら憲法研究会の活動については認識しているが、憲法制定史においてはあまり注目されてこなかった、いや「蔭に追いやられていた」要因を探る。

 第五章では、現在の「戦争」が国家間戦争ではなくなっていること、そこでの軍隊ではなく警察の役割を浮き彫りにさせる内容となっている。

 雑駁な紹介ではあるが、随所に新たな論点が示されていて、集中して読むことができる。日本国憲法制定史の研究をずっと続けてこられた古関さんならではの作品である。

 未だ店頭には出ていないようだが、読む価値ありである。

 
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自民党の報道の自由への抑圧

2015-04-10 09:13:05 | メディア
 安倍自民党・公明党政権が、とりわけテレビ報道に関心を抱き、様々な圧力をかけていることを何度か記してきた。今度はこういうニュースがされた。

『毎日新聞』記事である。

<テレビ朝日>衆院選前、自民が中立要請 アベノミクスで
毎日新聞2015年4月10日(金)01:00

 テレビ朝日の「報道ステーション」でアベノミクスを取り上げた報道に対し、自民党が「特殊な事例をいたずらに強調した」と批判し、「公平中立な」番組作りを要請していたことが分かった。自民党は要請を認め「圧力はなかった」と説明するが、編集権への介入との指摘も出ている。

 要請書は衆院解散後の昨年11月26日、自民党衆院議員の福井照報道局長名で出された。同月24日放送の「報道ステーション」について「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容」だと批判。「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えない」として「公平中立な番組作成に取り組むよう、特段の配慮を」求めている。

 ◇自民「圧力」否定

 自民党は同月20日にも、在京テレビ局各社に選挙報道の公平中立などを求める要請書を渡していた。自民党報道局は毎日新聞の取材に「(要請書を)送ったことは間違いない」と認めたうえで「報道に対する圧力ではないかと言われるが、文面を見ればそういうものではないと理解してもらえると思う」と話した。

 テレビ朝日広報部は「文書を受領したことは事実。番組では日ごろから公平公正を旨としており、特定の個人・団体からの意見に左右されることはありません」とコメントした。【青島顕、須藤唯哉】

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