ボクがこの草案に違和感を持つのは、こういうこともある。この草案の説明書も言うべき「日本国憲法改正草案Q&A」に現行の日本国憲法についてこう記されている。
現行憲法は、連合国軍の占領下において、同司令部が指示した草案を基に、その了解の範囲において制定されたものです。日本国の主権が制限された中で制定された憲法には、国民の自由な意思が反映されていないと考えます。
ボクはこの記述が一つの事実、つまり占領下でマッカーサー司令部によりまず憲法草案が示されたことは認める。だがしかし、なぜそうなったかの説明がいっさいないのも、自民党らしい。知らせたくないことは知らせないという姿勢は、自由を政党名に冠している自民党のいつもの姿である。
ポツダム宣言を受諾した日本は、大日本帝国憲法の改正を課せられたのだが、しかし政府の周辺にいる人びとには、自ら憲法を作成する、その力がなかったのだ。
この文の末尾、「国民の自由な意思が反映されていない」というのも疑問である。マッカーサー草案は、議会は一院制であった。それを二院制にしたのは日本人ではなかったか。これは一つの例でしかない。マッカーサー草案はそのまま現行の日本国憲法になったのではなく、20歳以上の男女による選挙によって選ばれた議員たちが国会で十分に審議して日本国憲法として公布された事実をきちんと記すべきではないか。
ボクは、現行の日本国憲法は「改正」する必要はないという立場だ。自民党の憲法草案は、現行憲法の基本的人権の尊重や平和主義などの原則をなくしてしまう、破壊的なものだと認識している。
また同時に、現行憲法の制定過程に占領軍が関わっていることは事実であり、その経緯を知ってはいても、良いものはよい、というある種確信みたいなものを持っている。占領軍は白紙の状態で憲法草案を作成したのではないのである。世界の憲法史の流れの中に位置づけられる内容をもっているし(その意味では適当に作成したのではない)、また日本人(鈴木安蔵ら)が作成した憲法研究会案を参考にしてもいる。
さて、占領下では、現行憲法の制定だけではなく、様々な改革が行われた。自民党の意見だと、「了解の範囲において」作成されたものがよくないというのなら、占領下に行われた農地改革や労働改革、教育改革などもよくないと思っているのだろう。第一次安倍内閣の時、それこそ徹頭徹尾日本人が作成した教育基本法であるにもかかわらず、大きく改悪してしまったのも、その意思があったのだろう。要するに、大日本帝国憲法の時代に戻りたいのである。
そういう気持ちが出ている。天皇を「元首」にしようというのも、大日本帝国憲法への郷愁のなせる技であろう。
現行憲法は、連合国軍の占領下において、同司令部が指示した草案を基に、その了解の範囲において制定されたものです。日本国の主権が制限された中で制定された憲法には、国民の自由な意思が反映されていないと考えます。
ボクはこの記述が一つの事実、つまり占領下でマッカーサー司令部によりまず憲法草案が示されたことは認める。だがしかし、なぜそうなったかの説明がいっさいないのも、自民党らしい。知らせたくないことは知らせないという姿勢は、自由を政党名に冠している自民党のいつもの姿である。
ポツダム宣言を受諾した日本は、大日本帝国憲法の改正を課せられたのだが、しかし政府の周辺にいる人びとには、自ら憲法を作成する、その力がなかったのだ。
この文の末尾、「国民の自由な意思が反映されていない」というのも疑問である。マッカーサー草案は、議会は一院制であった。それを二院制にしたのは日本人ではなかったか。これは一つの例でしかない。マッカーサー草案はそのまま現行の日本国憲法になったのではなく、20歳以上の男女による選挙によって選ばれた議員たちが国会で十分に審議して日本国憲法として公布された事実をきちんと記すべきではないか。
ボクは、現行の日本国憲法は「改正」する必要はないという立場だ。自民党の憲法草案は、現行憲法の基本的人権の尊重や平和主義などの原則をなくしてしまう、破壊的なものだと認識している。
また同時に、現行憲法の制定過程に占領軍が関わっていることは事実であり、その経緯を知ってはいても、良いものはよい、というある種確信みたいなものを持っている。占領軍は白紙の状態で憲法草案を作成したのではないのである。世界の憲法史の流れの中に位置づけられる内容をもっているし(その意味では適当に作成したのではない)、また日本人(鈴木安蔵ら)が作成した憲法研究会案を参考にしてもいる。
さて、占領下では、現行憲法の制定だけではなく、様々な改革が行われた。自民党の意見だと、「了解の範囲において」作成されたものがよくないというのなら、占領下に行われた農地改革や労働改革、教育改革などもよくないと思っているのだろう。第一次安倍内閣の時、それこそ徹頭徹尾日本人が作成した教育基本法であるにもかかわらず、大きく改悪してしまったのも、その意思があったのだろう。要するに、大日本帝国憲法の時代に戻りたいのである。
そういう気持ちが出ている。天皇を「元首」にしようというのも、大日本帝国憲法への郷愁のなせる技であろう。