浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

戦闘は、人間を変える

2015-05-28 00:08:54 | 政治
 共同通信が下記のような記事を配信した。これについてはすでに報じられていたことであるが、参戦法案が国会で議論されているとき、もう一度確認する必要があろう。

海外派遣の自衛官54人自殺 インド洋、イラクで活動

2015年5月27日 20時55分

 防衛省は27日の衆院平和安全法制特別委員会で、特別措置法に基づいてインド洋やイラクに派遣された自衛官のうち、54人が自殺していたことを明らかにした。防衛省によると、インド洋が海自25人で、イラクが陸自21人、空自8人の計29人。

 同省は「自殺はさまざまな要因が複合的に影響して発生するので、派遣任務と自殺の因果関係を特定するのは困難」としている。

 自衛隊の海外派遣をめぐっては、2001年10月、2年間の時限立法としてテロ対策特別措置法が成立した。政府は海自隊員延べ約1万3千人をインド洋に派遣。また04年1月からは、陸自隊員延べ約5500人をイラクに派遣。



 さて最近『帰還兵はなぜ自殺するのか』(亜紀書房)という本が刊行された。実はこの本はまだ買い求めていないのだが、是非読みたいと思っている。その本の内容については、こう紹介されている。

本書に主に登場するのは、アダム・シューマン、トーソロ・アイアティ、ニック・デニーノ、マイケル・エモリー、ジェームズ・ドスターの五人の兵士とその家族。そのうち一人はすでに戦死し、生き残った四人は重い精神的ストレスを負っている。妻たちは、「戦争に行く前はいい人だったのに、帰還後は別人になっていた」と語る。戦争で何があったのか、どうしてそうなったのか…。イラク・アフガン戦争から生還した兵士200万のうち、50万人が精神的な傷害を負い、毎年250人超が自殺する。戦争で壊れてしまった男たちとその家族の出口なき苦悩に迫る衝撃のレポート

 戦闘に従事した兵士たちが、生きて帰ってきても強いPTSDに苦しむという事態は、すでに第一次大戦の頃から報告されている。しかし、これが大問題となったのは、ベトナム戦争の時だ。
 そしてその後の戦争でも、多くの兵士の「心」が破壊された。戦闘は、肉体を破壊するだけでなく、「心」をも破壊するのだ。

 そうした戦争に、日本の自衛隊を派遣させたい安倍政権。今国会で議論されているが、議論している人々は誰一人戦争場面には立ち会わない。だから肉体も「心」も破壊されない。

 ベトナム戦争の時には、多くのカメラマンが戦場に赴き、戦場のナマの写真が新聞やテレビで報じられた。しかしその後の戦争、湾岸戦争あたりから戦場取材が統制されるようになり、戦場の生々しい場景が報じられなくなった。だからか、戦闘とはいかなるものかを想像する力が減退している。

 戦場でどういうことが起きるのかを、ボクらはきちんと想像しなければならない。


 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHKの「あさイチ」

2015-05-27 15:45:47 | メディア
 NHKの「あさイチ」で、沖縄のことが報道されたそうだ。これを水島宏明氏が紹介している。明日朝の「あさイチ」をみてみよう。

 http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20150527-00046074/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国営放送NHK

2015-05-27 09:32:46 | メディア
 NHKの番組のなかには、よいものも少しはあるが、政治ニュースに関しては、ほぼ完全に国営放送、安倍政権のプロパガンダとなっている。

 今日の『東京新聞』の「ホンネのコラム」。これは『東京新聞』の「特報」欄に掲載されているコラムだ。毎日執筆者は異なるが、『中日新聞』は佐藤優氏のときだけ掲載している。

 今日は齋藤美奈子氏。「ニュースのしくみ」というテーマで、NHKのニュースを扱っている。

 2006年から3年間、統合幕僚長を務めた齋藤隆氏が、「これまでの活動で戦死者が出なかったのはラッキーだったが、そのことに甘えてはいけないのではないか。国家や国民は戦死者にどのように向き合うか、そろそろ考えておく必要がある」と語ったそうだ。昨日の21時過ぎのことだ。

 自衛隊の元幹部は、「参戦法案」により戦死者がでることを予想しているのだ。

 さてNHKはこの後、菅官房長官の「わが国をめぐる安全保障環境が極めて厳しい中で今回の法制は不可欠だ」の談話を紹介し、次いで中国の「国防白書」の南シナ海問題でアメリカを非難し、中国政府は「この問題で妥協しない姿勢を明確にした」と報じ、その後にアメリカの有力議員の「中国のやり方は非常に攻撃的だ。大きな脅威で見過ごすことはできない」という声を報じたそうだ。

 NHKは、「参戦法案」を成立させようと、「巧みな洗脳」をしようとしていると、齋藤美奈子氏は指摘する。

 NHKは、もう「公共放送」ではなく、「国営放送」なのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5・27 『中日新聞』社説

2015-05-27 09:29:33 | メディア

平和主義に汚点残すな 安保法制審議入り  

2015/5/27

 安全保障法制の審議が始まった。日本が戦後貫いてきた専守防衛の原則を逸脱しかねない内容を含む危うい法案だ。平和主義に汚点を残してはならない。
 安倍内閣が「平和安全法制」と名付けた「安全保障法制」関連法案の提案理由説明と質疑が、きのうの衆院本会議で行われた。
 きょうからは論戦の舞台を衆院の「平和安全法制特別委員会」に移して法案審議が始まる。
 安倍晋三首相は先に米議会演説で、安保法制を「この夏までに成就させます」と対外公約した。与党は六月二十四日までの通常国会の会期を八月上旬まで延長して今国会中の成立を目指す、という。

 後方支援、戦闘と一体

 きのう審議入りしたのは二つの法案だ。自衛隊法や周辺事態法など現行十法を一括改正する「平和安全法制整備法案」は、外国同士の戦争に加わる「集団的自衛権の行使」を可能にする一方、日本の平和と安全に重要な影響を与える重要影響事態では、自衛隊が地理的制限なく、米軍など外国軍隊を後方支援できるようにする内容。
 もう一つの「国際平和支援法案」は、国際紛争に対処する外国軍隊を後方支援するため、自衛隊をいつでも海外に派遣できるようにする新しい法案だ。
 後方支援は「現に戦闘が行われていない場所」で行われるが、弾薬補給などの「兵站(へいたん)」活動は戦闘行為と一体とみなされ、攻撃対象となる可能性が高い。攻撃されれば反撃し、本格的な戦闘に発展することもあり得るだろう。
 集団的自衛権の行使も後方支援も、自国が攻撃された場合のみ必要最小限度の武力を行使する「専守防衛」を逸脱しかねない。
 専守防衛は日本人だけで約三百十万人が犠牲になった先の大戦への「痛切な反省」に基づく。戦後日本を貫く平和主義を蔑(ないがし)ろにする法案を認めるわけにはいかない。

 リスクを語らぬ首相

 きのうの質疑だけでも、数々の問題が明らかになった。野党側にはまず、党利党略を超えて問題点を徹底追及することを望みたい。
 自民党の稲田朋美政調会長に続き、野党トップバッターとして質問に立った民主党の枝野幸男幹事長が指摘したのは集団的自衛権を行使する判断基準の曖昧さだ。
 日本が攻撃されていなくても、日本と密接な関係にある外国が攻撃され、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある「存立危機事態」では、集団的自衛権を行使して、武力の行使ができる、というのが新しい安保法制の柱である。
 枝野氏は「『存立が脅かされ』『根底から覆される』というのはいかなる事実、基準で判断されるのか」とただしたが、首相は「国民に、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」と従来の説明を繰り返しただけ。
 基準についても「一概に述べることは困難」とし、「攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、規模、推移などの要素を総合的に考慮し、客観的合理的に判断する」と具体的には語らなかった。
 戦後日本の安保政策を根本から変える法案だ。「集団的」を含む自衛権発動には国会の原則事前承認が必要だとはいえ、政府に幅広い裁量を与えていいのだろうか。
 きのうの質疑では自衛隊員が負うリスク(危険)も焦点だった。海外派遣が拡大すれば、戦闘に巻き込まれる危険性は格段に高くなることが予想されるにもかかわらず、国民の反発を恐れてか、政府側はリスクについてあまり語ろうとしない。
 首相は先週の党首討論で「リスクとは関わりない」と断言し、きのうも「自衛隊員の安全に十分に配慮しており、危険が決定的に高まるといった指摘は当たらない」と答弁した。
 専守防衛を旨とする日本の自衛隊員が戦闘に巻き込まれぬよう安全に配慮するのは当然だが、活動の拡大によるリスクの高まりを正直に認めなければ、国民やその代表である国会を欺いて法案成立を強行することにならないか。

 物言えぬ議会の末路

 全国民を代表する国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関だ。時の政権に唯々諾々と従うだけでは存在意義はない。時の権力に物を言えなかった戦前戦中の議会が日本をどんな運命に導いたのかを、思い起こすまでもない。
 各報道機関の世論調査でいずれも、安保法制自体や集団的自衛権の行使に対する反対が多いのは、「政府の暴走」に危うさを感じているからであろう。
 特に政権与党の議員が、選挙に勝てば政権公約がすべて信任されたと考えるのは思い上がりだ。国民の声に真摯(しんし)に耳を傾ける、その当然の役割を法案の審議入りに当たり、胸に刻むべきである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『中日新聞』(東海本社)と『東京新聞』

2015-05-27 09:09:22 | メディア
 我が家で購読しているのは、『中日新聞』(東海本社)である。その第一面トップは、「静岡市長選事件 高田氏の兄ら逮捕」である。先に行われた静岡市長選で落選した高田都子氏陣営の選挙違反事件である。

 しかしこれが一面トップに来るものなのだろうか。すでに高田陣営の選挙違反については、いくつかの報道がなされているし、またこれは静岡市というきわめてローカルな事件である。

 一方『東京新聞』(中日新聞東京本社)。一面トップは「参戦法案」一色である。

 「武力行使 政府の裁量」「首相「総合的に判断」強調」、左側には「柳沢協二氏の安保国会ウオッチ」、見出しは「国民のリスク高まる」である。ほとんどが昨日から国会審議が始まった「参戦法案」関係である。

 もちろん、『中日新聞』も、一面には「「存立危機」政府が判断」という記事が左下にある。だが、静岡市長選よりもはるかに格下の記事となっている。また右下には「別世界ホタルの乱舞」という写真で見せる記事。

 東海本社編集部の政治感覚が知れるというものだ。

 昨日(2015/5/26)朝刊、何れの本社版も一面に論説主幹の深田実氏の「平和主義を守ろう」という特別の記事(下記)を載せているのに、今日『中日新聞』(東海本社)は静岡市長選という静岡市だけに関わる事件をトップに据えるのか!東海本社の見識が疑われる。 

 いわゆる安保法案の国会審議がいよいよ始まる。二つのことを指摘したい。

 一つめは、日本はやはり平和主義を守らねばならぬということだ。

 戦後日本はアメリカの平和を受け入れ、頼ってもきた。繁栄も享受した。同時に先の大戦の反省を踏まえ、世界に誇ってもいい平和主義を築いてきた。

 安保法案とは、要するに自衛隊を限りなく戦場に近い場所へ送り出すということだ。戦闘に巻き込まれるかもしれず、戦闘になる恐れがあり、戦後七十年かけて培った平和主義が崩れるかもしれない、ということだ。やすやすと受け入れるわけにはゆかない。

 平和とは、戦争とちがって目立たないものである。平時はニュースになりにくい。しかし振り返れば、日本のアジアや中東諸国への経済支援は群を抜いていた。貧困撲滅と教育普及は軍事に劣らぬ力でもある。私たちは非軍事的貢献の大きさをもっと自覚してもいいのではないか。

 日本は米同盟国ではあるが、なお一般に中立的国家という印象をもたれている。アジアの一員でもある。アメリカの手足となるより紛争対象との懸け橋となるべきだろう。世界貢献には日本なりの仕方がある。専守防衛からもし踏み出すなら、得るよりも失うものの方が大きいだろう。

 二つめは、国会の役割である。

 国会は、憲法にいう「全国民を代表する」機関である。原理的には国民意思の公正かつ忠実な反映でなくてはならない。しかるに世論調査などでは、今国会での安保法案成立について賛成よりも反対の方がかなり多い。

 議員は、特定の問題について選挙の投票で選ばれたわけではない。問題が重大なほど選挙民の声を聞き、考え、行動せねばならない。

 法案の審議はもちろん尽くされねばならない。国民はしっかりと見ている。是とするか、非とするか。

 平和主義を重く見るのなら、今国会で決める必要はないし、出直してもいいのである。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴史認識と自己認識

2015-05-26 21:51:57 | 日記
 5月15日に早稲田大学で行われた集会の模様を撮影した動画を見た。

http://www.news-pj.net/movie/21230

 最後のシンポジウムは、中身が濃いものだった。特に作家・浅田次郎氏の発言は考えさせるものであった。

 ボクなりに要約すると、こういうことだ。

 現在の問題は、日本人が近現代史についての歴史知識がないということからきている、歴史的な知識のうえに構築される歴史認識、それがないと歴史を情緒的にしか捉えられなくなる。
 たとえば、歴史小説とか、テレビの歴史物とか、そこから形成されるイメージをあたかも歴史的事実であるかのように思い込む。

 きちんとした歴史認識がないと、自己認識すら危うくなる。

 今生きている人は、自らの幸不幸の由来を尋ねるべきだ。今の幸せ(不幸せ)は、どこから生じてきたのかを、家族の歴史のなかに見つけ出す。それは日本の近現代史をさかのぼることになる。


 浅田次郎の小説はいくつか読んだが、ハッピーな結末になる、優しい小説だと思ったことがある。今度は、彼の歴史小説に挑戦してみよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大杉栄全集』

2015-05-26 21:22:24 | 
 『大杉栄全集』の既刊分が届いた。大杉の本は、文庫本で少しもっているし、大杉の著作がすべて入っているといわれる『ザ・大杉栄』という本ももっている。しかし、これは読みにくい。そこで、全集を購入した。

 大杉の著作は、『自叙伝』など主なものは読んでいるが、2023年の大杉栄・伊藤野枝・橘宗一虐殺100周年まで墓前祭に関わらなければならないボクにとっては、やはり彼の著作はすべて読み通す必要があると考えたのだ。もちろん今は他の仕事があるので読めないけれども、いつかは読めるだろう。ちなみに伊藤野枝の全集は、ずっと前から本棚に飾ってある。

 本を買ってあると、それをつかって何ごとかをしようという意欲が湧いてくる。あるところで今年行う講座の内容は、今までにボクが購入した本を有効につかおうという決意から決めたものだ。しかしその内容を詰めていけばいくほど、新しい本を購入しなければならなくなるので、さらに本が増えていく。

 今回刊行された全集は、読みやすくなっている。編集に携わった人々の功績であろう、感謝したい。

 また出版社には、買いやすい値段にしていただいた。感謝である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

権力を握る者

2015-05-26 09:18:02 | 政治
 「ポツダム宣言」も読んだことがないなど、彼の言動は全く教養がないことを常時示し続けている、その彼が首相なのだ。

 能力のある者は、他人の話をきちんと理解して、それに応じて話す。コミュニケーションというのは、相互に理解力があることを前提とする。ところが彼には、それがない。だから質問に対しては、それに応えないで自らが言いたいことを話し続ける。

 そういう彼は、国民を見下している。「俺が言いたいことを言い、やりたいことをやるのだ」と。
 小選挙区制という悪魔の制度と政党交付金制度を導入してから、政党の総裁は人事権のみならずカネも支配しているので、とても強くなる。みずからの周囲に「お友だち」をおいておけばさらに強くなる。同時に自民党の議員はじめ、議員の質もここまでいくかと思えるほどに落ちている。そういう輩は、自らの思想がないので、「親分」に付き従う。
 かくて首相の資質を持たない者が首相として強権をふるう。

 今度の参戦法案。首相は「他国の領土、領海、領空で戦闘行為を行わない」と言明する。他方、菅官房長官は「新三要件に当たれば、他国での戦闘も、敵基地への攻撃もあり得る」と言う。
 どちらが正しいか。もちろん後者である。そのために「参戦法案」が国会に上程されたのである。

 なぜ首相はそう言うのか。要するに、大方の国民にはだまし通せると思っているのだ。とにかく法案を通過させ成立させる、そのためには「嘘も方便」なのだ。

 これほどまでに、理解力のない、ただ自らの思い込みや妄想による政治を推し進めている安倍晋三という輩に政治をやらせたくはない。

 ところが経済界などには、その政治によってカネが転がり込むことを期待している輩が多いのだ。経団連という巨大企業の経営者たちだ。
 またネットには、政治権力にひたすら盲従し、盲従しない者に悪罵を投げつける輩もいる。

 日本は、まさに劣化しているとしかいいようがない。劣化している者が権力を掌握し、わが国を闇の中に迷い込ませようとしている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界にばらまく安倍外交

2015-05-25 21:18:22 | 政治
 『日刊ゲンダイ』記事。

どれほどの成果が? 安倍首相がバラマキ外交で払った26兆円

 またも大盤振る舞いだ。安倍首相は先週23日、福島県いわき市で開催された「太平洋・島サミット」で、パラオなど南太平洋の島しょ国に今後3年間で550億円以上の財政支援を行うとブチ上げた。島サミットでこの支援額は過去最高だ。

 首相は、「力による威嚇や力の行使とは無縁の太平洋市民社会の秩序」の構築を呼びかけ、名指しは避けたが、中国を牽制した。要するに、島しょ国が“中国寄り”にならないように、カネを渡して日本シンパにしようということだ。

 しかし、いくらなんでも安倍首相の“札束外交”は常軌を逸している。ライバルの中国に負けたくないのだろうが、とにかくカネ、カネ、カネ。見境なく、外国にカネをばらまいている。

 なんと、この2年半で、アフリカ支援に3兆円、バングラデシュ支援に6000億円と、ODAや円借款を積み上げると26兆円にのぼる。支援がすべてムダとは言わないが、いったい、どれほどの成果があったのか。元外交官の天木直人氏がこう言う。

 「安倍政権の外交方針は、対米追従と中韓に対する対抗意識――。基本的にこの2つしかありません。本来、外交は複雑なものなのに非常に単純です。だから、手の内を読まれ、足元を見透かされている。外国にとっては、格好のカネづるになりかねない。そりゃ資金援助してもらえる国はニコニコして、表面上は安倍首相をチヤホヤしてくれるでしょう。でも、それだけのこと。支援が途切れたら、ソッポを向かれるのがオチです」

 これまで平和憲法を持ち、70年間外国と戦争をしてこなかった日本は、中東諸国を中心に世界中から尊敬を集めていた。日本の強みを生かして、独自の外交を展開してきた。ところが、安倍首相は集団的自衛権を行使できるようにして、世界中で戦争をしようとしている。このままでは平和外交の放棄も時間の問題だ。

「バラマキ外交も安保法制も根っこは同じです。外務省がやろうしている外交が全く機能しないから、バラマキや軍事的抑止力に頼らざるを得なくなってしまうのです」(天木直人氏)

 安倍首相のままでは、いくら外交にカネがかかるか分からない。


 そして今日の『中日新聞』記事。


学費目的のバイト収入も「不正」 生活保護、無情の抑制 

2015/5/25

 生活保護費の受給世帯で、就学に充てるアルバイト収入の未申告を「不正」と認定されて保護費を返還させられたり、奨学金を「収入」とみなされて保護費を減額されたケースが相次いで表面化している。増大する保護費を抑制しようと、行政の締め付けが強まっているためとみられるが、子どもたちにとって就学は、将来自立するための大切な機会。必要な保護費を受けられない制度の運用は、深刻化する「子どもの貧困」を助長しかねない。

■切実

 生活保護を受けている川崎市の五十代男性の訴えは切実だった。

 男性は体調が優れず、妻もうつ病を患う。高校生の長女は学校生活にかかる費用を得るため、アルバイトで約三十二万円を工面し、修学旅行費や大学の受験料に充てた。この収入を申告しなかったとして、市側から同額の生活保護費の返還処分を受けたのだ。

 制度上は、収入があれば申告義務が生じ、保護費から同額が差し引かれる。ただ、厚生労働省が自治体に示している運用基準では、保護費だけで賄えない私立学校の授業料や修学旅行費に充てる最小限のアルバイト代は「収入」から除かれる。自立につながる資金まで、収入とみなすことを避ける狙いだ。

 市側は未申告が不正と判断して処分を出したが、男性は不当として取り消しを求める訴訟を横浜地裁に起こした。地裁は三月、判決で処分を取り消し、市側の姿勢を「(アルバイト収入の)使途を考慮することはなく、慎重さを欠いた」と指摘。未申告を即座に不正と判断したのは「酷な面がある」とした。

 福島市でも昨年、高校に進学した生活保護世帯の母子家庭の女子生徒が、市などから受けた奨学金十四万円を収入と認定され、同額を差し引かれた。厚労省の運用基準では、自立更生を目的に得た資金も収入と認定しない。母親はうつ病で就労が難しく、生徒らは今年四月、市を相手に処分取り消しを求める訴訟を福島地裁に起こし、係争中だ。

■連鎖

 川崎市や福島市のようなケースを生んでいる背景には、なるべく生活保護費を抑えようという行政の姿勢がある。

 高齢化と貧困の拡大で生活保護の受給者は増え続け、今年二月時点で約百六十一万世帯。二〇一五年度の関連予算は国と地方で計三兆八千億円となり、十年前の一・五倍に膨らんだ。

 このため政府は給付抑制に動き、生活費に充てる生活扶助は、一三年八月から三年かけ約六百七十億円削減してきた。今年七月からは家賃に相当する住宅扶助を、十月からは暖房費に充てる冬季加算を減らす。給付事務を担う自治体も不正受給を警戒し、支給を厳しく制限しがちだ。

 だが、厚労省によると、不正受給は一三年度で約百八十七億円。保護費全体の0・5%にとどまる。行き過ぎた抑制は、親から子への貧困の連鎖を招き、ひいては生活保護制度の根拠になっている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した憲法の精神に反しかねない。

 生活保護に詳しいNPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長は「消費税増税や物価上昇で、お年寄りや障害者ら受給者に痛みが押し寄せている。政府はむしろ生活保護の水準を上げ、必要な人には積極的に利用するように促すべきだ」と話す。

(政治部・我那覇圭)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人質事件の報告書

2015-05-25 21:07:27 | 政治
 政府は、21日に「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会」の報告書を公表した。報告書は、下記にアクセスすれば入手できる。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syria_h27/pdf/kensho.pdf

 政府の行動はすべて正当であったという、ろくでもない代物だが、救出のために何もしなかった日本政府、それを正当化する報告書を平気で出すところに日本政府の頽廃が現れている。

 その委員会の構成は以下のとおり。

委 員 長 内閣官房副長官(事務)
委員長代理 内閣危機管理監/国家安全保障局長/内閣情報官
委 員 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)/国家安全保障局次長、警察庁、外務省及び防衛省の局長級
有識者(五十音順)
池内 恵 (東京大学先端科学技術研究センター准教授)/長 有紀枝 (立教大学教授、難民を助ける会理事長)/小島 俊郎 ((株)共同通信デジタル執行役員・リスク情報事業部長)/田中 浩一郎(日本エネルギー経済研究所常務理事・中東研究センター長)/宮家 邦彦 (立命館大学客員教授)

 宮家はよくテレビのコメンテーターとして出演しているが、彼はもと外交官である。

 さてそれについて、リテラが重要な情報を流している。

http://lite-ra.com/2015/05/post-1131.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モンサント社、ウクライナへ侵攻中

2015-05-25 21:02:47 | 国際
 ウクライナの混乱の背景にはアメリカ合州国があり、その背後ではアメリカの巨大企業がカネ儲けを企む。これは、世界各地で繰り広げられていることで、珍しいことではない。TPPの背後にも、アメリカの巨大企業が、どのようにしてカネ儲けできるかを企んでいる。

 さて、そのウクライナに、モンサント社が新たな市場と、あらたな経済支配を求めて、着々と準備している。その姿が下記にある。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/gmo-4780.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地震

2015-05-25 20:48:38 | 日記
 町田の住人からメールが来た。「震度4 地底から突き上げるような激震でした。誰かに恨みをかっているのかなあ」というものだ。なぜ町田は地震で揺れるのに、浜松は揺れないのか、平等じゃないとよくお怒りになる。

 神は、善人が住むところには地震を起こさないのです、と言うのだが、それはおかしい、とさらにご立腹される。

 浜松地方は地震が少ない。高校を卒業して上京したが、東京では時々地震があって驚いた記憶がある。
 子どもの頃、天竜川の支流である安間川の堤防を歩いているときに、大きな地震にあい、座り込んだことがあるくらいだ。

 東海地震や東南海地震が予測されているが、いつ頃来るのだろうか。一応、飲料水などを購入して非常時に備えているが、この地方の人は地震になれていないので、相当混乱するだろうと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

切手

2015-05-25 09:38:32 | 日記
 某全集の月報に原稿を寄せた。そしたら10部ほどが送られてきたので、日頃やりとりをしている人々に送ろうと切手を買いにいった。

 いつも手紙や絵はがきを送るときは、記念切手を貼り付ける。郵便局にはいつも余った記念切手がたくさんあり、そこから選ばせてくれるのであるが、なぜか二種類しかない。

 「米国からのハナミズキ寄贈100周年」と地方自治法施行60周年の「山口県」しかない。前者は図案がよくない。サクラとハナミズキだが、国会議事堂と共にサクラがあったりするのだが、ゴテゴテしていてすっきりとしたデザインではない。
http://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/tokusyu/2015/h270410_t.html

 後者は、最悪の政治家をだした県ではないか。また好戦的な近代日本をつくりあげた長州藩でもある。

http://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/tokusyu/2015/h270512_t.html

 やむなく、「山口県」(5枚がワンセット)を買った。ぜひ切手全面にスタンプを押して欲しいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015-05-25 00:44:18 | 日記
 ほとんど毎日畑に行く。昨日は今日雨が降るという予報だったので、サツマイモの苗を植えた。根がつくまでは水遣りをしなければならないのだが、雨が降るとそれをしなくてもよくなると思ったからだ。ところが雨は降らず。朝九時頃畑に行って水遣り。

 如雨露で水遣りをするのだが、実際それでは土の表面を濡らしているだけで、土中にはほとんど浸透していない。だからたっぷり水遣りをしなければならない。雨が降ると、それだけで土中に水が十分に入っていくから、数日間は水遣りをしなくてもよくなる。

 午後も畑に行き、水遣り。そしてジャガイモを掘り出す。きたあかり、メイクーン、男爵の三種類であるが、きたあかりがもっとも早く花が咲き、葉が枯れ始めている。だから今日は、きたあかりを掘り出した。

 今畑には、ダイコン、にんじん、なす、トマト、キャベツ、ブロッコリーなどが植わっている。グリンピース、ニンニクなど収穫したところを耕して、次の作物を植える準備をしなければならないし、草も生えるので、畑の仕事には際限がない。

 ボクは花も栽培していて、今ある花の苗は、夕顔、朝顔、百日草、ダリア、ホウセンカなど。夕顔はすでに10以上芽が出ている。我が家の夕顔をみていった人が、苗を欲しいというので、今年は大量につくっている。とにかく、夏から秋にかけての夜間、真っ白の花弁が月明かりに映える姿はすばらしい。この夕顔をもっと普及させ、街中、夕顔だらけになるといい。

 また庭の薔薇も咲き誇っている。

 ボクの好きな花は、夕顔と薔薇だ。

 今日、イタリアンパセリの苗をあげた近所の人から、ボクの「農園」の苗なら何でもいいから欲しいといわれた。培養土とビニールポットを買わないといけないので、なかなかたいへん。もちろん、苗は無料で配っている。野菜の苗も、なすときゅうり、レタス、トマト、バジル、ネギなどがある。

 「晴耕雨読」の「晴耕」に時間がとられる日々である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドイツの敗戦記念日

2015-05-24 23:40:29 | 国際
 敗戦70周年を、ドイツはどう迎えたか。
 
http://midori1kwh.de/2015/05/24/6896
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする