鹿野政直先生は、1931年生まれ。もう今年85才である。『現代思想』9月臨時増刊号の「民衆思想史の誕生」を読むと、まったく先生の知力は衰えていないことがよくわかる。
今年の私が関係している研究会の講師として招聘しようと試みたが、東京周辺で開催される講演に限定されているとのことであった。
「民衆思想史の誕生」は、その主旨を描きながら、見事に安丸氏の研究をそのなかに位置づけ、また自らの研究についても言及し、長年にわたる民衆史を俯瞰している。鹿野先生の、いつもながらのきわめてスマートに、対象をうまい具合に切り分けて位置づけていくという手法は健在である。
しかし私は、鹿野先生のそのスマートな手さばきに、逡巡、懊悩や葛藤が見られないというのが、不満であった。この文でも、それがみられない。
学生時代、学部が異なる私は先生の講義に潜り込んでいたが、講義もパーフェクトで、すぐに出版できるような精緻さとまとまりをもったものであった。
『資本主義形成期の秩序意識』はじめ、多くの先生の著書を読んできたが、先生の知力がまったく衰えていないことに感嘆するのみである。
今年の私が関係している研究会の講師として招聘しようと試みたが、東京周辺で開催される講演に限定されているとのことであった。
「民衆思想史の誕生」は、その主旨を描きながら、見事に安丸氏の研究をそのなかに位置づけ、また自らの研究についても言及し、長年にわたる民衆史を俯瞰している。鹿野先生の、いつもながらのきわめてスマートに、対象をうまい具合に切り分けて位置づけていくという手法は健在である。
しかし私は、鹿野先生のそのスマートな手さばきに、逡巡、懊悩や葛藤が見られないというのが、不満であった。この文でも、それがみられない。
学生時代、学部が異なる私は先生の講義に潜り込んでいたが、講義もパーフェクトで、すぐに出版できるような精緻さとまとまりをもったものであった。
『資本主義形成期の秩序意識』はじめ、多くの先生の著書を読んできたが、先生の知力がまったく衰えていないことに感嘆するのみである。