都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「シェル美術賞展 2007」 代官山ヒルサイドフォーラム
代官山ヒルサイドフォーラム・ヒルサイドテラスF棟1階(渋谷区猿楽町18-8)
「シェル美術賞展 2007」
11/21-12/2
昨年、創設50周年を迎えたシェル美術賞の2007年展です。過去最高の応募者、全1076名の中より選ばれた43名の作品が展示されています。

この手の公募展の受賞の基準というのが今ひとつ良く分かりませんが、グランプリを飾った福島淑子の「夢のつづき」は確かに魅力的な作品です。寄り添うようにして寝そべっているのは二人の少年少女でしょうか。それがコールタールでも塗り固めたような深い黒を背景に、まさに『軟体動物』(受賞の言葉より。)のようにして折重なって描かれています。その刹那的で、またどこか空疎ともいえるような雰囲気に惹かれました。
審査員、及び奨励賞の受賞作品には感じるところがなかったので、以下、私の印象深かった作品を挙げていきます。まずは、グリーンと白の色彩が微睡むようにして広がる吉住暁の「匂いの行方」です。見えないはずの匂いを視覚化するとこのような形になるのではないでしょうか。その瑞々しい色遣いと、キャンバスにおさまりきらないようなのびやかな気配が心にとまりました。
細密なペン画に充実した作品が二点ほど紹介されています。特に圧巻なのは、一見、都会の街角をペンにて表したようなサガキケイタの「In The Garden」です。渋谷か新宿を思わせる雑踏がモノクロに描かれていますが、近づいて見ると、その全てを構成するものが魔物か妖怪、はたまた怪獣を思わせるような人物や動物であることが分かります。ともかく細部の表現に目を奪われる作品ですが、ここには華やかなようでまさに魔物の潜む都会の本質が表されているのではないかとも感じました。
もう一点、ペン画の渕沢照晃の「Vestige-5」も一推しです。まるで空から大地を照らすオーロラのような面が、細やかな線描を通じて表現されています。また靡くレースのカーテンとも、爛れて風に揺れる葉とも言えるかもしれません。この抽象より広がるイメージは極めて多様です。
入場料は400円ですが、公式HPより引換券をプリントすると無料になります。また期間中、常に用意されているのかは不明ですが、会場の前には招待券が束になって積まれていました。事実上、無料で楽しめる展示のようです。
来月2日までの開催です。また来年1月には、短期間ながらも京都市美術館へと巡回(1/8~13)します。(11/25)
「シェル美術賞展 2007」
11/21-12/2
昨年、創設50周年を迎えたシェル美術賞の2007年展です。過去最高の応募者、全1076名の中より選ばれた43名の作品が展示されています。

この手の公募展の受賞の基準というのが今ひとつ良く分かりませんが、グランプリを飾った福島淑子の「夢のつづき」は確かに魅力的な作品です。寄り添うようにして寝そべっているのは二人の少年少女でしょうか。それがコールタールでも塗り固めたような深い黒を背景に、まさに『軟体動物』(受賞の言葉より。)のようにして折重なって描かれています。その刹那的で、またどこか空疎ともいえるような雰囲気に惹かれました。
審査員、及び奨励賞の受賞作品には感じるところがなかったので、以下、私の印象深かった作品を挙げていきます。まずは、グリーンと白の色彩が微睡むようにして広がる吉住暁の「匂いの行方」です。見えないはずの匂いを視覚化するとこのような形になるのではないでしょうか。その瑞々しい色遣いと、キャンバスにおさまりきらないようなのびやかな気配が心にとまりました。
細密なペン画に充実した作品が二点ほど紹介されています。特に圧巻なのは、一見、都会の街角をペンにて表したようなサガキケイタの「In The Garden」です。渋谷か新宿を思わせる雑踏がモノクロに描かれていますが、近づいて見ると、その全てを構成するものが魔物か妖怪、はたまた怪獣を思わせるような人物や動物であることが分かります。ともかく細部の表現に目を奪われる作品ですが、ここには華やかなようでまさに魔物の潜む都会の本質が表されているのではないかとも感じました。
もう一点、ペン画の渕沢照晃の「Vestige-5」も一推しです。まるで空から大地を照らすオーロラのような面が、細やかな線描を通じて表現されています。また靡くレースのカーテンとも、爛れて風に揺れる葉とも言えるかもしれません。この抽象より広がるイメージは極めて多様です。
入場料は400円ですが、公式HPより引換券をプリントすると無料になります。また期間中、常に用意されているのかは不明ですが、会場の前には招待券が束になって積まれていました。事実上、無料で楽しめる展示のようです。
来月2日までの開催です。また来年1月には、短期間ながらも京都市美術館へと巡回(1/8~13)します。(11/25)
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