僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

「言葉にできない心の表現 古久保憲満の世界」~八日市文化芸術会館~

2018-01-17 20:18:18 | アート・ライブ・読書
 「アール・ブリュット」は、“正規の美術教育を受けていない人が、既存の芸術の影響や流行などに左右されず、自分の内面から湧き上がるイメージを表現した芸術として評価されています。
フランス語でアール・ブリュットは「生の芸術」という意味。英語では「アウトサイダー・アート」と呼ばれるため一般的には障がい者による芸術と考えられていますが、果たしてそれは正しいのでしょうか?
そもそも障がい者と健常者の「境の定義」なんてのは決めようはありませんからね。

古久保 憲満さんは、1995年東近江市生まれの画家で、海外でも巡回展が開催され、国内での受賞歴もある方です。
八日市文化芸術会館では「東近江市にゆかりのある芸術家シリーズvol.9」として「アール・ブリュット 言葉にできない心の表現 古久保憲満の世界」展を開催されています。



会館に行ってみて、まず展示室の前で古久保さん本人が絵を描かれていたのには驚かされました。
大きな紙に絵はルーペでもないと見えないくらい細い線での作画で、小さなパーツを描き込んでいって作品が作られていきます。
紙の上には筆箱(袋)に詰め込まれた色鉛筆が置かれてあり、紙の四方から中心に向かって“架空の都市”が増殖していくように建設されていきます。



時々来場者の方が古久保さんに話しかけておられましたが、絵の話になると実に饒舌に話しておられました。
話が切れると、すぐに絵に没頭していかれますが、それだけ描きたい衝動が強いのかと思います。
描かれた都市が発するエネルギーは常に彼の想像力の中に拡がっているのでしょうね。



展示されている絵は幼少期に描いたものも含めて約100点だということでしたが、中には長さ10mほどもある大作も何点かあります。
絵のタイトルを書くと...
「和歌山白浜城天守閣」「神戸に安土城があったら ありえへんけど」「復興する東日本 福島」など日本のパラレルな都市・建築や、「ハリウッド タワー オブ テラー映画スタジオセット」「未来の上海 ディズニーランド」「平壌国際空港ターミナルビル 成安通り レーニン通り 思想」など海外の架空の都市・建築など多岐に渡るテーマが取り上げられています。

展覧会では子供向けの企画もあり、『ワークショップ 古久保さんといっしょに「未来の東近江」描こう!』や『みーつけた!古久保さんの絵の中からさがそう!』という関連イベントがありました。
『みーつけた!』は、6つの絵のパーツを緻密な絵の中から探すという企画で子供向けにも関わらず、参加させていただきました。

 

何度も絵を見返しながら、やっと全問見つけることが出来ましたので、参加賞のポストカードを頂くことが出来ました。
この企画のおかげで緻密な絵の隅々まで見ることが出来ましたので、とても良い企画だったと思います。



“どこにも存在しない架空の創造都市を思い描く願望”はもしかすると誰にもあることかもしれません。
それは理想郷なのか夢の街なのかは人それぞれかと思いますが、当方にとっては、もう一つのパラレルワールドを想像してみることは夢見る力の再生とも言えます。


コメント
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