hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

「遺品整理屋は見た!」を読む

2007年11月21日 | リタイヤ生活
前回報告の上野千鶴子「おひとりさまの老後」の中で紹介されていた吉田太一「遺品整理屋は見た! 孤独死、自殺、殺人・・・・あなたの隣の「現実にある出来事」」扶桑社 を読んだ。

死んだ人は家財道具、衣類など遺品を残していく。一人住まいの人が孤独のうちに亡くなると、その遺品を親戚、知人が整理し、形見分けとして保存し、残りは破棄する。孤独死して発見が遅れると、遺体は腐敗し、部屋のすべての物に死臭が付く。そのような場合、あるいは事故などで血のりべったりで、素人が手を付けられないとき、臭気も含めて完全に除去し、原状回復するのが、遺品整理屋の仕事だ。また、遠方の縁者に代わり遺品整理を引き受ける場合もある。

この本には、市井の人の悲惨な生涯、親戚との確執などの人生ドラマと、食事前に読むのは止めたほうが良い遺体に関するかなり刺激的な記述がある。

孤独死が増えると、大家さんも大変だ。部屋を汚され、お隣は気味悪くなって出て行って、おまけに滞納した家賃やリフォーム代を取りはぐれることもある。賃貸住宅内で死人が出た場合、家主は次の入居者に事実を伝えなければならないという義務があるので、1年近くは空き部屋になることもある。

孤独死でも一両日中に発見されればそうひどいことにならない。しかし、とくに夏場だと、死臭が出て、すぐ片付けないと隣近所から猛烈な苦情が出る。また、あっという間にウジが何千匹もわくことがある。一週間もたつともっと悲惨なことになる。一ヶ月だと、体液というより人間そのものが溶けてしまう。手首を切った自殺、事件の場合の一面の血のりもひどい。天井までべったりのときもある。
このあたりの話は、是非実際にこの本を読んで事実のすさまじさを味わってもらいたい。

著者の名誉のために付言すると、吉田さんは、常に死者、遺族への心遣いを忘れず、どんな場面にもひるむことなく、いや、ひるんだとしてもプロ根性を叱咤激励して作業を進め、依頼者からの感謝の言葉をなによりの喜びとしている。

一人暮らしであっても、もしものときも考えて、両親、兄弟に電話一本でもよいからときどきかけておいた方がよい。知人、友人とも、時には旧交を温めた方がよい。

この本を書いた吉田太一さんは 「現実ブログ!!「現実にある出来事の紹介」 というブログも書いている。


さらに、前回報告の上野千鶴子「おひとりさまの老後」の中で紹介されている 東京都監察医務院のホームページ の公開講座の第13回に小島原將直氏の深遠な講演レジメ、25人の孤独死事例と、統計データがあった。
周囲から勧められているにもかかわらず医者に行かない例が目立つ。年取ったら迷惑かけないように素直な子どもになりたいものだ。

 
孤独死の発見理由は、その他45 %、電話応答なし23 %、無断欠勤・予約不履行12 %、異臭9 %、配達物停滞8 %、不音・電気点灯のまま3 % である。
発見までの日数は、一日が22 %で一番多く、徐々に減っていくが、10日かかるのも6.5% ある。



私も1年ほど前から身辺整理を始めている。シンプルな生活をしようと始めたことだが、孤独死ではないが父や母の死後、多くの荷物の整理で苦労した経験から、自分の死後のことを考えてでもある。整理には大変なエネルギーがいるので、作業はなかなかはかどらないが少しずつ過去を楽しみながら始めている。


コメント
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