hiyamizu's blog

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工藤美代子、ねじめ正一「とはいえ、熟年離婚に物申す」を読む

2009年03月29日 | 読書2
工藤美代子、ねじめ正一著「とはいえ、熟年離婚に物申す」2008年3月メディアパル発行を読んだ。

子どもも成人し、定年後は夫婦で楽しもうと思っていた夫に、理不尽で自分勝手、思いやりのない仕打ちに耐えて数十年の妻は、突然離婚を宣言する。びっくりし、あわてた夫は平謝りし、改心を誓うが、妻の決意はがんとして変わらない。

「これが熟年離婚の典型ですが、こわいですね。恐ろしいですね。いやね、我が家は大丈夫ですよ。絶対、いや多分ね。・・・まさかね。なんだか、背中が寒くなってきました」




詩人のねじめ正一は、女性問題と、自分のことだけを考えてきた生活から、糟糠の妻と離婚危機をむかえ、そして反省の日々を送り、こまかい思いやりを少しずつ重ねることにより、危機を乗り越えてきた。現在は、妻と平穏な生活を送るが、けして100%以前の状態に戻ったわけではない。

ノンフィクション作家工藤美代子は、再婚した夫から、「扶養の義務はないから自分で食べられるようにしてくれ」と言われる。バンクーバーで英語が出来ないで自分でお金を稼ぐのは大変だった。そして本を書くようになって自立して、10年の我慢、ためらいの後に離婚する。今は、理解ある人と再再婚し、作家活動と両立する夫婦生活を得る。


この団塊・熟年世代の二人が、自身の夫婦の危機や夫婦関係の変化について、夫と妻のそれぞれの立場から本音を語り、自らの老いへの不安や親の介護の問題を語りあう。

工藤は、人生相談での経験から、夫にとってなんでもないことの積み重ねが、妻に離婚を決意させると語る。たとえば、車の維持、とくに中古車にはどれだけお金と労力をかけているか。それだけの労力で花束を買ったり、料理を作ったり、ちょっとした気遣いをしたりして、エネルギーを奥さんにかければ離婚は防げるという。



工藤美代子(くどう みよこ)は、1950年東京生まれ。チェコスロヴァキア・カレル大学留学を経て、73年よりカナダへ移住、カナダ・コロンビア・カレッジ卒業。1991年「工藤写真館の昭和」で講談社ノンフィクション賞受賞。著書に「聖霊の島」、「夢の途上」、「昭和維新の朝」、「良寛の恋」、「快楽」など。

ねじめ正一(ねじめ しょういち)は、1948年東京、高円寺生まれ。青山学院大学を中退。1981年、処女詩集「ふ」でH氏賞受賞。1989年「高円寺純情商店街」で直木賞受賞。かたわら東京の阿佐ヶ谷で「ねじめ民芸店」を営む。著書に「荒地の恋」、「きぜつライオン」、「老後は夫婦の壁のぼり」、「あーちゃん」、「万引き天女」など。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

定年までまだ時間のある人は、今のうちに改めて奥さんとの日常生活を見直す機会にして欲しい。熟年、老年の人も、今からでも遅くない。心がけひとつであなたも熟年離婚を切り抜けられるかも知れない。それが、著者達からのメッセージなのだから。

幾多、わかっちゃいるが、あらためて反省させられた中から、3つだけ。

夫婦の問題は、一対一だけでなく、妻の実家、夫の仕事、家族、友達といった背景を含めた全体の関係だ。妻の親に親切にすると妻は大変よろこぶなど。

壊れかけた夫婦関係を男性は、世界一周旅行や、田舎や外国に移住すれば、などと簡単に修復できると思っている。毎日のこまめなケアの積み重ねがないとリセットできない。つまるところ、夫を人間として尊敬できないことが離婚の原因なのだから。

男性は、思っているだけではだめ。具体的に言葉にして気持ちを伝えなければ女性は納得しない。




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