hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

むかしむかし、笑ったこと、笑われたこと

2018年03月24日 | 昔の話2

 

 

親父は明治生まれの九州男児で、冗談など言うことはなかったが、一つだけ覚えている。

一軒置いた隣で葬式があり、続いて隣でまた葬式があった。今月は臨時出費が痛いと嘆く母に、任せとけとばかりに親父が言った。

「こんどは俺が稼いでやる」

 

幼いころ母に手を引かれて買い物に行った。パン屋さんに入ると、奥から小母さんが真ん中に大きな染みがある前掛けで手を拭きながら出てきた。少しこごんで僕の顔をのぞき込みながらニコニコして言った。

「僕! まだおっぱい飲んでいるんでしょう」

憤然として僕は言った。

「ちがうわい! 触るだけだわい」

この話、よくは覚えていないのに、母から何回も聞かされているうちに、なんだか情景まで目に浮かぶようになってしまった。

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加藤休ミ『クレヨンで描いた おいしい魚図鑑』を読む

2018年03月24日 | 読書2

 

加藤休ミ著『クレヨンで描いた おいしい魚図鑑』(2018年1月25日晶文社発行)を読んだ。

 

編集後記にこうある。

魚は海から食卓までが一生なのです。さいごに花咲く場だからこそ、魚料理はすばらしく多彩なのかもしれません。いまは思います。この図鑑こそ、魚図鑑の完全系だと。

 

海や河を泳いでいる魚ではなく、マサバは照りのいい文化干しに、金目鯛が煮付けに、ビンナガマグロは、ツナ缶に・・・なった調理されたおいしい魚の図鑑です。

 

冒頭のさんまの塩焼き。皮の焦げ目、しわ、身からの浮き上がり。衝撃のクレヨン画。

 

金目鯛の煮付け、目玉のあたりのブヨブヨしたところ。脂ののったマサバ。マアジのゼイゴのギザギザ。プリプリなマダイの刺身。いかめし、ササバのしめ鯖、ツナ缶のビンナガマグロ、黒マグロのまぐろ納豆、魚卵三兄弟の寿司、ししゃもの一夜干しなど、美味しそうな魚、魚料理が並ぶ。さらに、おでんの魚の練り物、海老チャーハン、真蛸の干しだこが続き、カニが入ってない外形だけのカニパンまで登場する魚図鑑だ。

 

よだれがこぼれそうな美味しいリアルな絵がふつうのクレヨンとクレパスだけで描かれているというのに驚かされる。

なお、クレヨンは幼稚園児でも使える固い棒状の画材で、線より面を描く柔らかく粉的なパステルとの中間のものを(株)サクラクレパスが開発しクレパス(クレヨンパステル)と名付けた。線を描くのがクレヨンで、面が描け、重ね塗り可能なのがクレパス(一般名称はオイルパステル)。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

魚好きな人、ただし食べるのが、にはお勧めだ。この図鑑を眺めてから魚屋に行けば、何もかもが美味しそうに見えるだろう。

水族館で銀色に輝くイワシの群れを見ても、「うまそうだな」と思ってしまう私にはうれしい魚図鑑です。

 

クレヨンとクレバスでこんなリアルな絵が描けることに驚いた。また、両者の違いを明確に理解したのもこの本のおかげだ。

絵本作家インタビューで著者はこう語っている。

まずクレヨンで塗って、クレパス、つまりオイルパステルで二度塗りする描き方をしています。定着させるためには上からニスをべったり。このニスがいいんです。クレパスって混ざるんですよ。それがいい特徴で油絵みたいに描けるんですけれど、混ざってほしくない時には、ニスを塗ってから色を重ねて深みを出したり、・・・

 

 

加藤休ミ(かとう・やすみ)
1976年生まれ。北海道釧路市出身。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、食べ物のリアルでおいしそうな描写が得意。絵本、挿画、画文などで活動しながら、クレヨン画を追求する。

絵本に『ともだちやま』(ビリケン出版)、『きょうのごはん』(偕成社)、『りきしのほし』(イースト・プレス)、『おさかないちば』(講談社)、『かんなじじおどり』(BL出版)、『ぼーると ぼくと くも』(風濤社・らいおんbooks)など。

絵本の挿画『ながしまのまんげつ』(林家彦いち原作、小学館)、『いのちのたべもの』(中川ひろたか文、おむすび舎)など。

 

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