中山祐次郎著『走れ外科医 泣くな研修医3』(幻冬舎文庫な46-3、2021年3月10日幻冬舎発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
若手外科医・雨野隆治のもとに急患で運ばれてきた二十一歳の向日葵(むかい あおい)。彼女はステージⅣの癌患者だった。自分の病状を知りながらも明るく人懐っこい葵は、雨野に「人生でやっておきたいこと第一位」を打ち明ける。医者として止めるべきか? 友達として叶えてあげるべきか? 現役外科医が生と死の現場を圧倒的リアリティで描く、シリーズ第三弾。
シリーズ第一弾は『泣くな研修医』、第二弾は『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』。
雨野隆治:東京下町の総合病院「牛之町病院」で外科医になって5年目。真面目で不器用だが、患者にはついつい迎合的になり、辛い事を言えない。恋人はるかにはめったに会えない。
佐藤玲:美人で冷静な外科医。雨野の直接上司。33歳。恋人は天文学者の渋谷。鷹子は友人の医者。
岩井:雨野の指導医で優秀な外科医。
川村:雨野と同期の要領の良い耳鼻科医。
西桜寺(さいおうじ)凛子:外科医を目指す優秀な研修医。父は世田谷区長。華やかで型破り。勉強熱心。
吉川佳代:愛想のよい看護師。態度の大きい看護師は佐久間。
向日葵(むかいあおい):21歳。ステージⅣの胃癌。肺へ転移あり。海外旅行と富士登山希望。
柏原:憩室炎で食事禁止の患者。区議会議員。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お好みで、最大は五つ星)
とくに引っ掛かる所もなくあっという間に読める。わかりやすい文章で、展開は予想通りで、安心して楽しめる。
冷徹、強気、美人の佐藤玲と、物おじせず誰とでもコミュニケーションとれる凛子のキャラは相変わらずa魅力的。
雨野の医療技術が上がってほぼ一人前になったので、ハラハラする場面がなくなって、面白味が少なくなった。まあ、小説だから仕方ないが、患者第一で、医者としての立場を無視して突っ走ってばかりなのには、付いて行くのが大変。
さいごがウンチで終るのも、どうなの? ユーモアのつもり?
松任谷由美の「ひこうき雲」の歌詞が1番だけ引用されている(p348)。しかし、最初の一行が違っている。
「白い坂道が夜まで続いていた」ではなくて、「白い坂道が空まで続いていた」だ。「三人とも歌詞はあんまりわからない。」とあり、夜空を見ながら歌っているのだが、勝手に歌詞を変えてはいかんぞ。巻末にJASRACの許可番号?があるが、チェックもしないで許可するな!