貫井徳郎著『天使の屍』(集英社文庫ぬ1-4、2009年2月25日講談社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
平穏な家族を突然の悲劇が襲った。中学二年生の息子が飛び降り自殺をしたのだ。そして遺体からはある薬物が検出された――。なぜ彼は十四歳で死ななければならなかったのか。原因はいじめか? それとも? 遺された父親はその死の真相を求めて、息子の級友たちを訪ねてまわる。だが世代の壁に阻まれ、思うにまかせない。そして第二の悲劇が……。少年たちの心の闇を描く、傑作長編ミステリ。
青木:イラストレーター。妻は美保子。血のつながらない息子は中学二年の優馬。
光岡:優馬の担任教師。20代前半の女性。3年目。
水原佑:優馬の親しい友人。現実的で冷静。「青木(優馬)の気持ちも考えてあげてください。青木のことを思うなら、いたずらにつつき回したりしないでください」と語る。
永井:優馬の友人。世界を飛び回る母と二人暮らし。表面的にはいい子。
園田:優馬の友人。オドオドしている。
常盤暁子:優馬の同級生。美人でボーカリスト志望。
米倉文哉:鈴木(偽名)。青木を脅迫。郁美は友達。
平井:刑事。生活安全課
この作品は1996年11月に角川書店より単行本として、2000年5月に角川文庫として刊行。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
そもそも息子の優馬の自殺の原因がわからず、他殺の可能性もあるうちに、友人たちが一人、また一人とビルから飛び降りてしまう。警察からはLSD服用していたと言われ、いかがわしい写真で脅される。すべてが判然としないうちに、事件は広がっていく。このあたりの読者を引きずり込む著者の筆力は確かだ。
なさぬ仲ゆえに、むしろ強く息子の悩みに気づけなかった自分を責め、犯人捜し、死の原因探しに突っ込んでゆく父親の気持ちは理解できるのだが、警察に頼らずにここまで一人でやるか?
犯人(?)の動機がいまひとつ腑に落ちない。
お勉強
屯(たむろ)する
窶(やつれ)た
直截(ちょくせつ)「ちょくさい」は慣用読み
韜晦(とうかい):自分の才能、身分などを包み隠すこと