和田秀樹著『80代から認知症はフツー ボケを明るく生きる』(2022年10月15日興陽館発行)を読んだ。
このところ和田さんの書く刺激的題名の本が年寄りに売れていて、ひねている私は読んでやるものかと思っていた。ふと見ると、我が家のテーブルにこの本が置いてある。相方が図書館から借りたらしい。何故???
80代になった私には『80代から認知症はフツー』と言われても、嬉しくもないし、慰めにもなってないのだが、相方がそれとなく置いた本だ、一応読んでみた。
表紙裏にはこうある。
認知症とともに幸せに生きる
脳の老化は誰にも止めることはできない。85歳を過ぎれば、誰もが“フツー”に認知症になり得る。
認知症にたとえなっても、少しでも自分らしく生きられるノウハウや姿勢を伝える。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
新書版で245ページと小さな本で、文字は大きく読みやすい。分量は少ないのだが、いくつかの本に似た内容で書いているからだろう、簡潔に、要領よく表現されていて分かりやすい。もはや名人芸?
内容も大半は納得できるものである。
- 認知症の正確な知識を持つ。
- 85歳以上の約4割、90歳以上の約6割が認知症になる。
- 認知症にならなくても、脳は老化、いろいろな能力は衰える。
- 認知症と診断されても、やたら恐れず、落ち込まずに、意欲的に生活する。そうすれば、ゆっくりとしか進行しない。
和田さんは常に流行の波に乗って要領良く動き続けていると思っていだが、何千人もの認知症患者を診察し、20年以上認知症の家族会を主宰していたり、地道な治療活動を続けてきたらしい。
和田秀樹の略歴と既読本リスト(3月6日5時にUP)
以下、80歳2か月の私自身のためのメモ。
・少なくとも、認知症になったらすぐに「何もできなくなる」というわけではありません。(p19)
・認知症の診断を早くしてもらう。早めの治療で認知症の進行を遅くできる可能性が高くなる。また、介護保険を利用できるようになるり、要支援1で週二回のデイサービスを利用で、介護予防になる。
・認知症と診断されてもされなくても、脳と体の老化は進むので、積極的、意欲的に生きよう。
・日本には認知症と診断された人が約600万人いる(日本人の20人に一人が認知症)。
85歳以上で約4割、90歳以上では約6割が認知症。
・2000年頃にはもの忘れなど軽度の症状が出始めてから物事がまったくわからなくなる重度になるまで平均で5年ほどだった。今では私の経験上、8年から10年に延びている。
・認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」(BPSD)の2つ。
「中核症状」は、記憶障害や、日付や場所がわからなくなる見当識障害、考え、判断ができない認知障害、失語、服を着れない失行、物や人にぶつかる失認、料理できない実行機能障害などで、脳の一部が機能しなくなり生じるもので、認知症になる多くに人に現れる。
「周辺症状」は、「中核症状」に環境要因が作用して生じ、暴言、暴力、妄想、徘徊、興奮など異常な行動・言動のほか、意欲低下やうつ状態、不眠、拒食など非活動的な症状。周辺症状は人間関係をよくしておくと現れにくいし、周辺症状が出ない人のほうが圧倒的に多い。(p45~47)
・意欲を大事にしながら、あらゆる手段を使って行動のハードルを下げる。ハードルを下げる工夫、努力をして、少しの意欲でも行動に結びつきやすくすることが重要。(p67)
・80歳過ぎても元気な人の習慣は、いつもの習慣に少しだけ変化を加えること。散歩の時間帯を変える、新しい料理を作る、初めての店で外食する、などで頭を柔軟にし、脳の老化を防ぐ。(p122~126)
・頭を刺激する会話の機会を増やし、長い文章を投稿できるブログなどでアウトプットする。(p137~138)
・認知症の準備はしておく。将来入る老人ホームを探しておく。認知症になったら、老人ホームへの入居は早めの方がよい。著者の考えでは、本人が家族の顔を認識できなくなったら施設に入るタイミングの一つ。認知症になった親や伴侶を嫌いになってしまった家族は精神的にも大きな負担を抱え続けることになる。
・認知症の人に対しては、やりたいことを自由にやらせて機嫌よくなってもらう。
・認知症の介護でまず必要なのは聞く力。