hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

忍者HとチャランポランテニスのK

2020年06月18日 | 昔の話2

もう50年ほど前になってしまったが、私が新入社員でテニスしていた頃の話だ。大学の同級生A、Bとスキーに行った。AとBは同じ会社に勤めている。ケーブルカーの中でテニスの話になった。

私がご披露した。

「うちの会社にテニスのやけに上手い人がいて、Kさんって言うんだけれどさ。チャランポランにやっているように見えるんだけど、すごく強いんだよ。運動神経が抜群なんだね」

「うちの会社にもHさんっていう人がいて、めちゃくちゃ上手いぜ」とAも言う。

「でもKさんって全日本クラスだぜ」

「Hさんも多分そうだと思うよ、なあ」

Bも「なにしろ忍者Hっていうあだ名なんだから。まず、そこらへんのやけに上手い人といっても相手にならないんじゃない」

「いやあ~、上手いと言っても素人だろ? Kさんは桁が違うよ」と二人に負けそうな私もやり返したが、子供の喧嘩みたいで当然決着は着かず、双方に若干のわだかまりを残してそのままになった。

 

翌年、また同級生A、Bと泊りがけのスキー旅行に行った。そのとき、噂していたHさんを連れて来た。Hさんはスキーは全く初めてで、最初こそ私が手ほどきしたが、その日のうちに、何とか一人で問題なく滑れるようになっていた。一芸に優れている人は他のスポーツもすぐ上手くなるのか、翌日にはスイスイ滑っていた。宿でもとくにテニスの話をした覚えはないが、ワイワイ楽しく4人で宴会になった。

 

さらに数年後の話だ。私は会社のテニス部に入っていて、下手なのでほとんど活動していないのだが、夏のテニス部合宿が軽井沢であると聞いて、参加することにした。なにしろ、皇太子と美智子さんのテニスの話の余韻が残るころの話だ。

夜、宿に総勢30人ほどが集合し、皆の前にKさんが立って、ガイダンスを始めた。

「今回は大変人数が多いので、私一人で手が回らないので応援を頼みました。指導してくれる私のテニス仲間を紹介します。では、どうぞ」

登場した人を見て、驚いた。

思わず皆の後ろの方から立ち上がって、叫んだ。「Hさんじゃないの!」

Hさんも「冷水さん? どうして?」とびっくりしている。

宴会になってから、Kさん、Hさんに、同級生とスキーの時、二人を互いに自慢し合った話をして笑った。

 

合宿中、KさんとHさんの模範試合が行われたが、二人は互角に見事なプレーを披露した。Kさんの一見いい加減だが、手首を効かせた意外性あるプレーに比べ、Hさんは教科書風の理想的な綺麗なフォームで対抗した。

 

「Kさんが強い、いやHさんだ」と子供の喧嘩みたいに、言い合っていたが、考えてみれば、本当に全日本クラスのテニスプレーヤーであれば、そんなに多くいないだろう。互いに知り合いである確率は高かったのだ。

偶然の出会いと思ったが、半分必然の出会いだったのだ。

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