ライフプランとは理想の将来像を実現するための将来必要となる資金、リスクを推測し、長期的な資金計画を立てる生活設計プランのことだ。今回はその2
具体的老後プラン立案のための参考資料として、以下のように順次整理してみたい。
1. 平均寿命 いつまで生きるか?
2006年に生まれた男子の余命(寿命)は79歳、女子の余命は85.8歳で、簡単には、現在の年齢を引けば、余命は計算できる。「夫は一人では生きられない」に書いたように、それぞれの年齢別平均余命は、平成18年の簡易生命表(厚生労働省)で求められるように、上記値より、わずかに長くなる。もちろんこれも、あくまで平均である。
2. 就業 いつまで働くか?
いつまで働くかは、その人がもう十分と考えればそこで終わるし、まだまだと考えたり、働かざるをえなければ、希望する職があるかという話になる。ここでは、高齢者で働いている人の率を示すにとどめる。
2000年の65歳以上の労働力人口(就業者と完全失業者)は493万人で、65歳以上の人の22.6 %(男性34.1 %、女性14.4 %)だ。この値は、アメリカ12.8 %、カナダ6.2 %、イタリア3.6 %、ドイツ2.7 %、フランス1.5 %と欧米に比べ大きい。怠け者の私に言わせれば、日本人はまだまだ働き者だ。
なお、男性の65-69歳は51.1 %、70歳以上は24.3 %で、女性の65-69歳は25.4 %、70歳以上は9.8 % だ。
また、公的年金の支給開始年齢が原則65歳に引上げられている。そこで、60歳以上で働くと年金はどうなるか?
在職老齢年金制度という仕組みがあり、年金と給与の合計額が28万円を超えると減額される。65歳以上はこの額が48万円になる。
また、65歳までは高年齢雇用継続基本給付金制度があり、60歳以降の給与が75% 未満であるなど複数の条件を満たせば、補填される。
働くと、給与によっては年金は減額されることになるが、おおよそ、60歳以上も働いたほうが金銭面では有利なようだ。
3. 定年後に必要な金額は?
税金:所得税と住民税で数千-20万円。ただし、退職の翌年には住民税は前年の所得に対する額が課税されるので注意が必要。
社会保険料:健康保険と介護保険の支払いは一生つづく。今、問題の後期高齢者医療制度により75歳以上は全員保険料を支払う。
住まい:住み続けても、リフォーム代が数10万円-1000万円かかる。住み替えるなら、田舎、郊外、都心、外国などあらかじめ想定しておきたい。参考「老後の住まい」
子どもへの援助:結婚式やマイホーム頭金の援助には200万円程度はかかる。生前贈与の基礎控除は110万円だから、例えば毎年3人に10年間贈与すると、贈与税0円で3300万円の相続財産を減らすことができる(??)。3500万円まで無税の住宅取得の特例は2007年末で廃止されたようだ。
なお、結婚20年以上の配偶者へは居住用不動産取得用贈与として2000万円まで控除できる。もっとも、相続税自体に基礎控除(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数))などがあるので、私なぞは、生前贈与が節税にならないばかりでなく、高齢になって金不足になるので、縁のない話だ。
車などの耐久財:自家用車は5年に1回で200-300万円。使用頻度が低いのなら税金、メンテ費用を考えると、レンタカー、タクシーの方が得な場合が多いと思う。
医療費:高齢になると医療費が増加するが、高額療養費制度により、一般所得者はたいていの場合、1ヶ月約10万円以内には収まる。
介護費用:65歳以上なら介護保険の要介護認定を申請でき、利用限度内なら自己負担は1割になる。
趣味や旅行:どの程度お金をかけるのか、事前に夫婦での話し合いが必要。
支出の見直しは、まず、住宅ローンと生命保険。住宅ローン金利を上回る運用は素人では困難なので繰上げ返済を検討する。生命保険も高齢になるほど必要性は低くなるのに支払額は変わらない場合が多い。
おおよその目安は、毎月必要となる支出は年金でまかなえる金額まで引き下げ、年に数回必要となる金は退職金や貯蓄を取り崩す。ゆとりある老後を過ごすためには月額37.9万円が必要との調査結果もあるようだ。
今回は、週刊ダイヤモンド4/12特大号「後悔しない「老後」」を参考にさせていただいた。
次回以降、年金、収支、貯蓄額などに触れる。