道尾秀介著「向日葵の咲かない夏」2005年11月、新潮社発行を読んだ。
表紙の裏には、こうある。
ねえ、生まれ変わりって信じる?
部屋に戻ったら、自殺したはずのS君が来てたんだ。
ただ、その姿ってのが・・・。
部屋に戻ったら、自殺したはずのS君が来てたんだ。
ただ、その姿ってのが・・・。
小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、死体は消えていた。今度は僕の前に、S君の生まれ変わりと称するモノが現れ、「僕は、殺されたんだ」と訴える。誰もが信じられない中で、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、調査を開始した。
道尾秀介の略歴と既読本リスト
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
犬を殺すなど残酷なシーンが出てくるし、壊れてしまった人も出てくるし、ホラーが嫌いな人にはもちろんお勧めできない。登場人物も、やることも気味悪い。しかし、私から見ると、小学生の世界の話であり残忍さがギラギラすることはない。カフカの芋虫のようにどこかユーモラスでもある。
また、最後の方は、話が二転三転し、ついていくのがやっとになるが、ミステリーとしてもけっこう複雑で、よく出来ている。
残酷シーン、小学生、ユーモアなど、最近あまり話題の上らない舞城王太郎の小説を思い出す。
生まれ変わりというのが、実は痛んだ心の中に住んでいたというのもすごいし、よく最後まで引っ張った。ミステリーはあまり好みではないが、道尾秀介は力があり、注目だ。
東京創元社のWebミステリーズ!の「対談 桜庭一樹・道尾秀介」のの3ページ目で、桜庭一樹はこう言っている。
『向日葵(ひまわり)の咲かない夏』も、あとあとまで考えたくなるような、何度も読み返したくなるような。かっちりしているようで、どうしてそうなってしまうんだろう? と思えるところもある、不思議な作品でした。