W杯開幕まであと11日に迫った。サッカーファンとして待ちきれない気持ちだ。活躍すればオリンピックやWBC以上の熱狂になるだろう。これから1ヶ月余り日本人は総てサッカー評論家になる。今日から折に触れてサッカーを語りたい。先ずは日本の闘い方について。
地元ドイツのある予想では日本は1分け2敗で予選最下位と評価が低いとのニュースを見ても、他の国の見方はそんなもんだろうと驚かなかった。選手一人ひとりの力を見れば残りの3チームより低い評価が出るのは当然だろう。逆に日本メディアの楽観的な予想も非難できない、誰も悲観的な予想を聞きたくないから。
しかし、普段は厳しいことを言う私も一言言いたい。3月のWBCを思い出せば、MLB選手が2人しかいない日本だがチーム力としては遜色なく実力で世界ナンバーワンになった。「スモールボール」と言われるチーム戦略が機能し他国チームを上回った。
野球ほどの歴史がないサッカーだってそういうことが起こらないとは限らない、ファンとして私はそれを期待する。その視点から中田ヒデのコメント(日刊スポーツが英ミラー紙のインタビューに答えた記事を転載)が私の前々からのコンサーンを代弁している。彼は何がチーム戦略としてベストか再考を促している。
彼曰く、「日本代表のパス中心のプレーは長所であり、弱点でもある。プレッシャーがかかってパス回しが不可能なときでも、パスをつなごうとする。(華麗なパスサッカーで)個人としてのいいプレーをするのか、W杯で勝ち上がりたいのかを自問しなければならない」
23人の代表が決定した時、押し込まれた時慌ててパスで繋ごうとしてボールを奪われ失点するディフェンス陣の弱さが最大の弱点であると私は指摘した。ヒデの指摘と共通するところがあると思った。例えば今の日本のディフェンスの実力なら危険な状態になったら前線に大きくクリアするか蹴り出すほうが無難だ。海外のワールドクラスの選手でもよくそういうプレーを見かける。
ヒデの指摘がジーコやチームに伝わっているのかは分からない。彼は日本のメディアを信用しておらずこういう話をしない、すると「ジーコと意見が対立」とか扇情的に書かれると思っている可能性がある。彼の意見がチームにどう伝わったか日本のメディアから伝わることはまずない。しかし明日のドイツ戦を見れば感じが分かるはずだ。
日本のゲームプランはパス中心の早い攻撃とシステマチックなディフェンスをベースにするサッカーである。報道ではプレッシャーを仮定して狭い地域でワンタッチの簡潔なパスプレーの練習を繰り返しいた。個人技の確かさと判断の早さがマッチすると必ずチャンスが来るはずだ。
明日のドイツ戦は格上の相手に対し日本の戦略が機能するかどうか、特に押し込まれたときのディフェンスがどのくらい持ちこたえられるか良いテストになるだろう。■