一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

どっちにしても新記録

2019-06-08 02:18:18 | データ
6日の第60期王位戦挑戦者決定戦は、木村一基九段が羽生善治九段に勝ち、3年振り4度目の王位戦七番勝負登場を決めた。
羽生九段はタイトル100期が先延ばしになったが、私たちはカウントダウンをもう少し楽しめることになった、と考える。
さて木村九段はタイトル戦登場7度目だとか。ふつうこれだけタイトル戦に出ればタイトルのひとつやふたつを取っていそうだが、さにあらず。いまだタイトル未経験である。
では過去6回の戦績を記してみよう。

2005年 第18期竜王戦 渡辺明竜王4-0木村一基七段
2008年 第56期王座戦 羽生善治王座3-0木村一基八段
2009年 第80期棋聖戦 羽生善治棋聖3-2木村一基八段
2009年 第50期王位戦 深浦康市王位4―3木村一基八段
2014年 第55期王位戦 羽生善治王位4持2木村一基八段
2016年 第57期王位戦 羽生善治王位4-3木村一基八段
2019年 第60期王位戦 豊島将之王位 - 木村一基九段

第50期王位戦の3連勝4連敗をはじめ、フルセットで負けが3度で、タイトルに手を掛けたのに取れない。
羽生九段には4度負けており、目の上のタンコブといえる。しかし今回の挑戦者決定戦と先の竜王戦の勝利で、少しは借りを返した形となった。

ここで、タイトル戦に数多く登場し、長くタイトルを取れなかった棋士、を考えてみた。
するとやはり、二上達也九段と加藤一二三九段が浮かぶ。どちらも大山康晴十五世名人の全盛時代に当たり、長いことタイトルを取れなかった。おふたりはタイトル戦何回目でタイトルを取ったのだろう。

1959年 第10期九段戦 大山康晴九段4-3二上達也八段
1960年 第9期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第10期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第12期九段戦 大山康晴九段4-2二上達也八段
1962年 第21期名人戦 大山康晴名人4-0二上達也八段
1963年 第12期王将戦 二上達也八段4-2大山康晴王将

1960年 第19期名人戦 大山康晴名人4-1加藤一二三八段
1962年 第11期王将戦 大山康晴王将3-0加藤一二三八段
1963年 第4期王位戦 大山康晴王位4-2羽藤一二三八段
1967年 第16期王将戦 大山康晴王将4-1加藤一二三八段
1968年 第17期王将戦 大山康晴王将4-2加藤一二三八段
1968年 第7期十段戦 加藤一二三八段4-3大山康晴十段

両九段とも、タイトル戦6回目で初戴冠。そして対戦相手はすべて、大山十五世名人だった。
これで借りを返したと思いきや、どちらも翌期は大山十五世名人に取り返されてしまった。まったく、オオヤマは鬼である。
ところでこのテーマを調べている最中、名前が挙がってきたのが森下卓九段である。
森下九段はかつて一般棋戦の決勝戦で負けることが多く、「準優勝男」と呼ばれた。その後タイトル戦に顔を出すようになったが、それは何回だったのか。
では、戦績を見てみよう。

1990年 第57期棋聖戦 屋敷伸之棋聖3-1森下卓六段
1991年 第4期竜王戦 谷川浩司竜王4持2森下卓六段
1995年 第20期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1995年 第53期名人戦 羽生善治名人4-1森下卓八段
1997年 第22期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1999年 第48期王将戦 羽生善治王将4-1森下卓八段

6回だった。ここでも羽生九段の名前が多い。ハブもまた、鬼なのであった。
森下九段は1999年の王将戦を最後に、タイトル戦から遠ざかっている。C級1組まで落ちた森下九段が今後タイトル戦に出る可能性はほぼゼロで、「6回」止まりとなろう。
そして上記の通り、木村九段は今回が7度目のタイトル戦となる。となれば、負ければタイトル戦連敗の新記録。勝てば、有吉道夫九段の「37歳6ヶ月」を大幅に更新し、最高齢初タイトルとなる。つまりどっちにしても、新記録が生まれるわけだ。
若き王位相手に、木村九段の戦いやいかに。
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羽生九段の1434勝と、大山十五世名人の1433勝。

2019-06-06 00:14:05 | データ
4日の王位戦で羽生善治九段が永瀬拓矢叡王に勝利し、公式戦通算1434勝を達成。大山康晴十五世名人の1433勝を抜いて、歴代単独1位となった。羽生先生、おめでとうございます。
では、羽生九段と大山十五世名人の同年齢での勝利数を比較してみよう。なお年齢は、4月1日時点とした。

    羽生 大山
15歳 8勝
15歳 40勝
16歳 50勝 3勝
17歳 64勝 11勝
18歳 53勝 27勝
19歳 31勝 14勝
20歳 51勝 28勝
21歳 61勝 5勝
22歳 44勝
23歳 52勝 10勝
24歳 46勝 22勝
25歳 26勝 17勝
26歳 43勝 16勝
27歳 41勝 29勝
28歳 31勝 19勝
29歳 68勝 28勝
30歳 46勝 24勝
31歳 50勝 24勝
32歳 33勝 25勝
33歳 60勝 30勝
34歳 40勝 35勝
35歳 34勝 41勝
36歳 44勝 26勝
37歳 44勝 32勝
38歳 30勝 27勝
39歳 43勝 30勝
40歳 44勝 31勝
41歳 51勝 33勝
42歳 42勝 27勝
43歳 39勝 33勝
44歳 30勝 23勝
45歳 27勝 29勝
46歳 32勝 28勝
47歳 29勝 29勝
48歳 7勝 33勝
49歳    38勝
50歳    39勝
51歳    48勝
52歳    47勝
53歳    37勝
54歳    27勝
55歳    39勝
56歳    53勝
57歳    41勝
58歳    35勝
59歳    37勝
60歳    37勝
61歳    11勝
62歳    32勝
63歳    22勝
64歳    27勝
65歳    16勝
66歳    24勝
67歳    14勝
68歳    19勝
69歳    1勝

羽生九段は1985年12月に奨励会を抜け、翌年1月に、四段として初公式戦を指した。3月までに8勝し、次年度以降も、猛烈に勝ち星を重ねた。とくに29歳時の68勝は、理解不能なまでに凄い。
そして今回、約33年4ヶ月での新記録達成となったわけである。
対して大山十五世名人は1940年1月、16歳で四段昇段。しかし若手時代は棋戦が少なく、戦争による中断もあったりして、白星が稼げなかった。
戦後は徐々に棋戦も増え、順調に白星を重ねてゆくが、むしろ大山十五世名人の真骨頂は、1972年に名人を取られてからの「長い余韻」にある。
49歳以降、病没までの約20年間で、644勝!! 年平均32勝という驚異的な数字を記録した。とくに56歳時の53勝がキラキラと光っている。
「羽生さん、アンタもこれからこのくらい勝ちなさいよ」
という大山十五世名人の激励?が、私には聞こえるのである。
そしてそれが実現すれば、羽生九段は68歳にして2000勝!!となる。そのころの自分を想像するのが恐ろしいが、いずれにしても、これからの羽生九段の戦いも楽しみである。
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羽生九段の、タイトル戦初対戦の棋士との戦績

2019-01-26 00:09:34 | データ
羽生善治九段が、初めてタイトル戦でまみえた相手との結果を記してみる。
※は、タイトル戦初登場。

1989年 第2期竜王戦 羽生善治六段 4持3 島朗竜王
1990年 第3期竜王戦 羽生善治竜王 1-4 谷川浩司二冠
1991年 第16期棋王戦 羽生善治前竜王 3-1 南芳一棋王
1992年 第40期王座戦 羽生善治棋王 3-0 福崎文吾王座
1993年 第34期王位戦 羽生善治竜王 4-0 郷田真隆王位
1993年 第6期竜王戦 羽生善治竜王 2-4 佐藤康光七段
1994年 第52期名人戦 羽生善治四冠 4-2 米長邦雄名人
1995年 第20期棋王戦 羽生善治棋王 3-0 森下卓八段
1995年 第66期棋聖戦 羽生善治棋聖 3-0 三浦弘行五段※
1995年 第43期王座戦 羽生善治王座 3-0 森雞二九段
1996年 第21期棋王戦 羽生善治棋王 3-0 高橋道雄九段
1996年 第54期名人戦 羽生善治名人 4-1 森内俊之八段※
1996年 第37期王位戦 羽生善治王位 4-1 深浦康市五段※
1999年 第47期王座戦 羽生善治王座 3-1 丸山忠久八段※
2000年 第48期王座戦 羽生善治王座 3-2 藤井猛竜王
2001年 第26期棋王戦 羽生善治棋王 3-1 久保利明六段※
2001年 第42期王位戦 羽生善治王位 4-0 屋敷伸之九段
2002年 第15期竜王戦 羽生善治竜王 4千3 阿部隆八段※
2003年 第51期王座戦 羽生善治王座 3-2 渡辺明五段※
2008年 第56期王座戦 羽生善治王座 3-0 木村一基八段
2009年 第57期王座戦 羽生善治王座 3-0 山崎隆之七段※
2011年 第52期王位戦 羽生善治二冠 4-3 広瀬章人王位
2012年 第83期棋聖戦 羽生善治棋聖 3-0 中村太地六段※
2013年 第54期王位戦 羽生善治王位 4-1 行方尚史八段※
2014年 第62期王座戦 羽生善治王座 3-2 豊島将之七段
2015年 第63期王座戦 羽生善治王座 3-2 佐藤天彦八段※
2016年 第87期棋聖戦 羽生善治棋聖 3千2 永瀬拓矢六段
2016年 第64期王座戦 羽生善治王座 3-0 糸谷哲郎八段
2017年 第57期棋聖戦 羽生善治棋聖 3-1 斎藤慎太郎七段※
2017年 第58期王位戦 羽生善治王位 1-4 菅井竜也七段※

以上、驚異の27勝3敗。タイトル戦初登場の相手には12勝1敗と、これも圧倒的な成績である。

参考までに、タイトル戦のおもな対戦成績を記しておこう。

羽生九段 16-6 谷川浩司九段
羽生九段 17-4 佐藤康光九段
羽生九段 8-8 森内俊之九段
羽生九段 4-5 渡辺明棋王
羽生九段 5-2 郷田真隆九段
羽生九段 4-2 深浦康市九段
羽生九段 4-1 藤井猛九段
羽生九段 4-1 久保利明王将
羽生九段 4-0 島朗九段
羽生九段 4-0 森下卓九段
羽生九段 4-0 木村一基九段
羽生九段 3-0 南芳一九段
羽生九段 2-1 三浦弘行九段
羽生九段 2-1 広瀬章人竜王
羽生九段 2-1 中村太地七段
羽生九段 2-1 豊島将之二冠
羽生九段 1-2 佐藤天彦名人
羽生九段 1-1 丸山忠久九段
羽生九段 2-0 行方尚史八段
羽生九段 0-1 菅井竜也七段
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大山十五世名人の、タイトル戦初対戦の棋士との戦績

2019-01-13 00:20:52 | データ
昨年11月18日の記事で、タイトル戦初登場の棋士の「対大山康晴十五世名人との戦績」を調べたが、今日はその姉妹編で、「大山十五世名人の、タイトル戦初対戦の棋士との戦績」を調べてみた。

1948年 第7期名人戦 大山康晴八段 2千4 塚田正夫名人
1950年 第9期名人戦 大山康晴八段 2-4 木村義雄名人
1950年 第1期九段戦 大山康晴九段 2-0 板谷四郎八段
1951年 第2期九段戦 大山康晴九段 3-0 南口繁一八段
1953年 第2期王将戦 大山康晴名人 4-3 丸田祐三八段
1953年 第12期名人戦 大山康晴名人 4-1 升田幸三八段
1955年 第4期王将戦 大山康晴王将 4千千1 松田茂役八段
1955年 第14期名人戦 大山康晴名人 4-2 高島一岐代八段
1956年 第15期名人戦 大山康晴名人 4-0 花村元司八段
1959年 第10期九段戦 大山康晴九段 4-3 二上達也八段
1960年 第19期名人戦 大山康晴名人 4千1 加藤一二三八段
1964年 第4期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-2 関根茂七段
1964年 第5期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-0 本間爽悦七段
1965年 第14期王将戦 大山康晴王将 4-1 加藤博二八段
1965年 第24期名人戦 大山康晴名人 4-1 山田道美八段
1965年 第6期王位戦 大山康晴王位 4-0 佐藤大五郎七段
1966年 第7期王位戦 大山康晴王位 4-1 有吉道夫八段
1967年 第8期王位戦 大山康晴王位 4-1 大内延介六段
1968年 第13期棋聖戦 大山康晴名人 1-3 中原誠棋聖
1969年 第18期王将戦 大山康晴王将 4-0 内藤國雄八段
1969年 第10期王位戦 大山康晴王位 4千2 西村一義五段
1970年 第29期名人戦 大山康晴名人 4-1 灘蓮照八段
1970年 第11期王位戦 大山康晴王位 4-1 米長邦雄七段
1976年 第28期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-1 桐山清澄八段
1977年 第30期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-1 森雞二八段
1989年 第15期棋王戦 大山康晴十五世名人 0-3 南芳一棋王

以上、26名の棋士と戦って、22勝4敗。やはり、初めて交えた棋士には滅法強かった。ちなみに、22勝はいずれも防衛、4敗はいずれも挑戦者としてだった。

2回以上の対戦成績を記しておく。

大山 15-5 升田実力制第四代名人
大山 4-16 中原十六世名人
大山 18-2 二上九段
大山 7-1 加藤一九段
大山 4-2 米長永世棋聖
大山 2-2 塚田名誉十段
大山 4-0 有吉九段
大山 3-1 内藤九段
大山 3-0 丸田九段
大山 2-1 山田九段
大山 1-1 木村十四世名人
大山 2-0 松田九段
大山 2-0 高島九段
大山 2-0 花村九段

タイトル戦登場112回、うち獲得80期。たいていの棋士に勝ち越しているが、目の上のタンコブだったのが中原十六世名人で、4勝16敗。勝負事にタラレバは意味がないが、もし中原十六世名人がいなかったら、大山十五世名人の記録はどこまで伸びていたのかと思う。
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タイトル戦初出場の棋士の戦績(平成編)

2018-11-19 01:15:48 | データ
タイトル戦初登場の棋士の戦績、今日は平成編。

1989年 第55期棋聖戦 屋敷伸之四段 2-3 中原誠棋聖
1989年 第37期王座戦 青野照市八段 2-3 中原誠王座
1989年 第2期竜王戦 羽生善治六段 4持3 島朗竜王
1990年 第31期王位戦 佐藤康光五段 3-4 谷川浩司王位
1991年 第32期王位戦 中田宏樹五段 2-4 谷川浩司王位
1990年 第57期棋聖戦 森下卓六段 1-3 屋敷伸之棋聖
1992年 第60期棋聖戦 郷田真隆四段 1-3 谷川浩司棋聖
1993年 第42期王将戦 村山聖六段 0-4 谷川浩司王将
1995年 第66期棋聖戦 三浦弘行五段 0-3 羽生善治棋聖
1996年 第54期名人戦 森内俊之八段 1-4 羽生善治名人
1996年 第37期王位戦 深浦康市五段 1-4 羽生善治王位
1997年 第10期竜王戦 真田圭一六段 0-4 谷川浩司竜王
1998年 第11期竜王戦 藤井猛七段 4-0 谷川浩司竜王
1999年 第47期王座戦 丸山忠久八段 1-3 羽生善治王座
1999年 第12期竜王戦 鈴木大介六段 1-4 藤井猛竜王
2001年 第26期棋王戦 久保利明六段 1-3 羽生善治棋王
2002年 第15期竜王戦 阿部隆八段 3千千4 羽生善治竜王
2003年 第51期王座戦 渡辺明五段 2千3 羽生善治王座
2005年 第8期竜王戦 木村一基七段 0-4 渡辺明竜王
2009年 第57期王座戦 山崎隆之七段 0-3 羽生善治王座
2010年 第51期王位戦 広瀬章人六段 4千千2 深浦康市王位
2011年 第60期王将戦 豊島将之六段 2-4 久保利明王将
2012年 第83期棋聖戦 中村太地六段 0-3 羽生善治棋聖
2013年 第54期王位戦 行方尚史八段 1-4 羽生善治王位
2014年 第27期竜王戦 糸谷哲郎七段 4-1 森内俊之竜王 
2015年 第63期王座戦 佐藤天彦八段 2-3 羽生善治王座
2016年 第87期棋聖戦 永瀬拓矢六段 2-3 羽生善治棋聖
2017年 第42期棋王戦 千田翔太六段 2-3 渡辺明棋王
2017年 第75期名人戦 稲葉陽八段 2-4 佐藤天彦名人
2017年 第88期棋聖戦 斎藤慎太郎七段 1-3 羽生善治棋聖
2017年 第58期王位戦 菅井竜也七段 4-1 羽生善治王位
2018年 第3期叡王戦 金井恒太六段 0-4 高見泰地六段
2018年 第3期叡王戦 高見泰地六段 4-0 金井恒太六段

平成時代のタイトル戦初出場者は33名。叡王戦を除く31名は、奪取5、敗退26だった。こちらは羽生竜王が強く、12勝1敗。
昭和時代と総合すると、72名がタイトル戦に登場し、獲得14、敗退58だった。初めてタイトル戦に登場してタイトルを奪取するのは、難しいのだ。
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